年上の女性(ひと)
花江が土曜日のディナータイムにも手伝ってくれることになった。
土曜日は旦那さんも、大学生の娘さんも休みだから無理しなくてもいいとは言ったが、大学生の娘さんは土曜日は友達と遊びに行くし、旦那さんは家で適当に気楽にやってるので問題ないらしい。
正直言うと、土曜日の夜も花江に手伝ってもらうと、かなり助かる。店は日曜日は店休なので土曜日の夜は、かなり混んで忙しいのである。
だからホールはリョウタとアルバイトの潤くんで、キッチンは私と花江でやると、かなり回せる。
買い物に行った時、高校の後輩でもある朝子ちゃん会った。
「潤が家に帰って来ないんですよ」
朝子ちゃんは、うちの店でアルバイトをしてる大学生の潤くんの母親である。
「えっ。うちのアルバイトには休まずに来てるよ」
「大学で彼女が出来たらしく、彼女のアパートに入り浸りみたいなんです」
朝子ちゃんは困ったように私に言った。
彼女っ?!
彼女が出来たって聞いてない。
花江だって知ってたら絶対、騒ぐはずだ。
「あー。聞いてたけど。言わなかった。京子と花江さん騒ぐと思ったから」
休憩時間にリョウタが、私と花江に言った。
「別に潤くんに、京子と花江さんに言わないで欲しいと口止めされてないけど男同志の方が、気持ちわかるだろし」
なんでも大学の先輩で、大学院で3歳年上らしい。
その彼女は地元の人ではないので、アパートを借りてるらしい。
「潤くんみたいな年下イケメンに、アパートに転がりこまれたら拒めないわっー」
花江は妄想が始まったみたいで興奮気味に言った。
「まあ花江さんなら、そうでしょうね」
リョウタは、呆れたように言った。
「リョウタくんっ。なによっ。京子だって、そうなんだからね。10歳も年下イケメンにマンションに転がりこまれて、イケナイと思いながら拒めなくて、ズルズルと。でっ今があるんでしょー」
花江は、リョウタに怒って言った。
「えっ。京子、オレとズルズルと仕方なく結婚したのかよー」
確かにマンションに転がりこまれた時は、拒めなかった。別れられなくてズルズルと言われれば、そうである。
「なんかさ。潤くん言ってた。うるさそうで年上の女性って考えられなかったけど、京子さんと花江さん見てると、仕事出来る女性で、大人の女性もいいなって。でも、さすがに母親くらいの人と付き合う気はないらしいーアハハ」
リョウタは、私と花江をバカにしたように笑った。
当たり前だ。潤くんのお母さんは、私の後輩だ。
母親より年上のオバサンと付き合うわけがない。
私と花江はリョウタを睨んだ。
「でも潤くんの彼女。今年で大学院卒業したら、実家に帰るらしい。実家のほうの会社に就職するらしい。そう親と約束したらしい。だから、あと一年しか彼女と居られないわけ」
「そんなのっー。潤くんを好きなら親なんて関係ないわよっ」
花江が、また妄想が入って感情移入した顔で言った。
「まあ花江さんなら、そうでしょうね」
またリョウタが、呆れたように言った。
期間限定の恋愛、それでは盛り上がるでしょうね。
あー、青春だ。
土曜日のディナータイム。
やはり土曜日は忙しい。
「いらっしゃいませ」
綺麗な若い女性が入ってきた。
ホールにいた潤くんの顔が嬉しそうだった。
どうやら潤くんの年上の彼女らしい。
朝子ちゃんは、反抗期のまま親とロクに喋らないと言ってた。確かに口数は少ない。
でも、そんな潤くんが嬉しそうに笑った顔が、ぐっと感じるくらい素敵だった。
と思い、隣にいる花江を見ると
「潤くんの笑顔、可愛いっー」
萌えてる最中だった。
潤くんに華をもたせてやるために、私は潤くんの彼女にデザートをサービスした。
チーズケーキと、アイスのセットである。
「美味しいー」
潤くんの彼女は、デザートを食べて喜んだ。
私がホールに行くと潤くんの彼女は、私にお礼を言った。
「潤くんの友達だから、美味しいものを食べて頂きたかったので、今日は来てくれて嬉しいです」
私が彼女に言ってると、なぜか花江も付いて来て後ろにいた。
「私は、シェフの片腕でもあるキッチンヘルパーの花江と申します。潤くんには、いつも一生懸命働いてもらって、とっても助かってます。」
一生懸命働いて貰ってるって、それは私が言うセリフじゃないのかね。花江よ。
あと2日。みなさん。良いゴールデンウィークをお過ごし下さい。




