観客の中に。
リョウタが最近イラついてる。
どうやらネットで、マサトが離婚危機という記事を見たらしい。
「やっぱ京子のこと、忘れられないんじゃないのか」
リョウタは勝手に想像して、勝手にイラついてる。
こんなんじゃ東京で、マサトに会ったことは黙ってよう。
「会うなよっ。絶対、マサトさんに会うなよっ。」
あー、ウルサイ。
日曜日、リョウタが真吾くん達と飲みに行った。
「マサトさんが、離婚?奥さんと不仲なんだろうか」
駿くんが言った。
「マサトさんの奥さんって、モデルやってたから綺麗な人だよね」
カンジくんが言った。
「マサトさん、京子のこと忘れられないんじゃないのー」
リョウタがビールを飲みながら叫んだ。
「それは、気にしなくても。京子さんは、リョウタくん一筋だから。あと恭ちゃん一筋。」
真吾くんが笑いながら言った。
「それじゃ一筋じゃないだろー。どーせオレは恭の次だよ」
恭ちゃんにまで嫉妬するのでは、まともに親身にきいてもムダと思ってた真吾くん、駿くん、カンジくんだった。
「そういやマサトさんのバンド、うちの県でライブやる次の日に、オレらのライブやるから見に来ますかね」
駿くんが余計なことを言った。
「はっ。オレらのバンドのライブを口実に京子に会いに来るよー。どうすんだよー」
リョウタは、もう気が気じゃなかった。
「リョウタくん。そんなマサトさんが気になるなら、RSKでマサトを超えてみせろ」
マネジャーの真吾くんが、ライブ前のリョウタを煽るように言った。
「うん。超える。超えてやるー」
リョウタは、立ち上がって叫んだ。
まあ目標があるほど、ライブに気合が入っていいけど。
RSKのライブの日。
オープン二ングアクトは、シンくんのバンド。BEAT DAYSだ。
メンバー、可愛いらしいビジュアル系で、東京からもファンが来ていた。
300人キャパのライブハウスは満員だった。
RSKが出てくると、すごい歓声だった。
ドラマの主題歌になる新曲のバラードを歌うと、かなりの反響だった。
バラードって歌いやすいようで難しい。
似たようなバラードになりがちだから、かなりリョウタは曲に苦労したようだ。
ライブが終わりバックステージに来た人に、シンくんは喜んだ。
「お兄ちゃんっ。来てくれたんだ」
「オヤジも来た」
健人くんと一緒に来たのは、シンくんの父親。
befreedのギターリスト、健志さんだった。
「お父さんー。」
シンくんは父親が来て、本当に嬉しそうだった。
健志さんは、ギターリストとして、音楽業界では、かなり有名である。
「ご挨拶遅れて申し訳ございません。私、シンくんの事務所の代表をしております笹原と申します」
そう言って、私は健志さんに名刺を渡した。
「こちらこそ息子がお世話になってるのに、挨拶が遅れて、すいません。かなり、やり手の社長さんと、お話は伺ってます。シンを宜しくお願いします」
健志さんは、私に頭を下げた。
RSKのメンバーは笑えるほど、突然、健志さんが来たので固まっていた。
「お疲れー。ライブ良かったよ」
そこにマサトが来た。
よりによって、なんでマサトが来るかな。
「おう。マサトも来たんだ」
健志さんは、マサトと仲良いみたいだ。
「健志さんっ。なんで此処にいるんですか?」
マサトは、健志さんがいたので、驚いてた。
「息子の晴れ舞台見に来てね」
健志さんは、マサトにシンくんが私の事務所にいることを説明した。
「あー。京子のマネージメントなら、息子さんのバンド売れちゃいますよ」
マサトは、意味ありげに笑った。




