お兄ちゃん。
日曜日にリョウタと恭ちゃんと都会に買い物に行った。
シンくんがバイトしてる古着屋に寄ってみた。
「わー。リョウタさん。京子さん。恭ちゃんもー。来てくれた」
シンくんは、私達が行って嬉しそうだった。
「どう?うちの県の暮らしに慣れた?」
私は心配して、シンくんに聞いた。
「うん。慣れたー。この都市好き。」
確かに、この地方都市は暮らしやすい都会だった。
中心部はビルが立ち並んでいるが地下鉄で15分も乗れば、のどかである。
「今日、お兄ちゃんが仕事で来てるから、夕方会う。だから、お兄ちゃんに会ってほしいー。」
シンくんのお兄ちゃんが来てるのか。
私は事務所の社長として、挨拶しておいたほうがいいだろう。
そういうことでシンくんがバイト17時までなので、一緒に食事することになった。
しゃぶしゃぶの店の個室を予約しておいた。
私とリョウタと恭ちゃんは、店に行った。
「シンくんのお兄さんって、何の仕事してんだろ?仕事で、うちの都会に来たんだろ。サラリーマン?」
リョウタが興味があるのか言った。
「さあー。よくお兄さんの話しはしてるけどね」
私も不思議そうに言った。
17時過ぎるとシンくんがやって来た。
「お兄ちゃん、今、仕事終わったから、もう少しで来るー」
何だかシンくんのお兄さんとはいえ、私は緊張した。
「お連れ様がいらっしゃいました」
店員がそう言って、個室の襖を開けた。
「お兄ちゃんー」
シンくんが嬉しそうに言うと、そこに立っていたのは、俳優の松坂健人くんだった。
「健人くんっー。健人くんがシンくんのお兄さんだったのー」
私は、びっくりした。リョウタもびっくりしていた。
「ライダーのお兄ちゃんー」
恭ちゃんが、健人くんを見て喜んだ。
健人くんのデビュー作はライダーだったのである。
「京子先生の息子さん?可愛いー。リョウタさん、そっくりだね」
健人くんはヨロシクと言って、恭ちゃんの手を握った。
健人くんとシンくんの両親は何年か前に離婚している。
その後、健人くんはお母さん側につき俳優になった。
シンくんは、お父さん側につきマンションで一人暮らしをしていたらしい。
「リョウタさん、ドラマの主題歌になるデモ聴きました。すごい良い曲です。ドラマのエンディングにぴったりですね」
今日は、ドラマの撮影で来たらしい。
「あっ。挨拶遅れました。京子先生、シンを宜しくお願いします。シン、こう見えても寂しがり屋のところあるので、知らない都会に行くの心配だったけど、京子先生の事務所なら安心です。リョウタさんも信頼できるし。」
健人くんは、私に頭を下げた。
しかしイケメンの兄弟である。
ご両親も、素敵に違いない。
「お兄ちゃん、今度、リョウタさんのバンドとライブある。ボクのバンドは、オープニングアクトで出るー。お兄ちゃんも見に来てー」
シンくんは、健人くんにライブの報告した。
「時間取れたら来るよ」
健人くんは、優しそうにシンくんに微笑んだ。
弟思いのお兄さんって感じがした。
クールそうに見える松坂健人くんだが、こういう一面もあるのが人気のわけである。
女はギャップに弱いものである。
「そういや、嫉妬するほどの彼女できた?」
リョウタは、健人くんに聞いた。
「いや。出来てないです。どういうのが愛か分からないです。両親が離婚したせいか永遠の愛なんてないと、どっかで思ってるとこあって」
「でもさ健人くんは、仕事で、綺麗な女優さんと会うんだから、出会いは沢山あるじゃん」
リョウタは、もっともらしいことを言った。
「女優さんは、仕事相手ですからね。なかなか感情入らないです。仕事と割り切ってしまいます」
健人くんは、なかば諦めたように言った。
「難しいねー」
「オレも恭ちゃんみたいな子供欲しくなった。だから結婚願望は出て来ましたよ。これでも」
健人くんは、優しい笑顔で恭ちゃんを見て言った。
明日は店なので帰らなきゃいけないので、20時頃に私達は、健人くんとシンくんと別れた。
帰り道、リョウタが車を運転しながら言った。
「確かさ、健人くんのお母さんって、女優さんだったはず。結婚して引退したらしいが。なんだっけな。松坂涼子とか言う女優さんじゃないかな。」
松坂涼子さんと言えば、今は40代後半くらいだと思うが、若い時に大ヒットした映画があった。私も大学生の時に見た。
ということは、シンくんのお父さんは、あのbefreedと言うバンドのギターリスト?




