イケメン達、キャバクラに行く。
「35歳の憂鬱。」の続編です。短編から連載に移動しました。
リョウタ達がキャバクラに行きました。
最近やたら、仲良くなって、三人で飲みに行っている。
リョウタ、真吾くん、駿くんの三人衆。真吾くんと駿くんの奥さんは、私の料理教室の受講生である。
「京子ー。迎えにきて」
電話口のリョウタは、上機嫌である。閉店まで、飲んで、タクシー来ないから、11時に迎えに来いと言うわけである。
あっ、田舎の居酒屋は、日曜日は、閉店が早いです。
迎えに行くと、真吾くんは、ベロベロに酔っていた。駿くんは、お酒が強いのか、変わらない。リョウタは、ほろ酔いか、上機嫌である。リョウタも、お酒は強いほうだから、これでは相当飲んだらしい。
「あっ、京子、会計足りなかったから、払ってて」
足りないって、いったい、いくら飲んだの。
6万円?!田舎の居酒屋で、3人で6万円分飲むって、なんなの。
「あっ、ワイン、ボトルで3本飲んだ」
3本飲んだ?なら、こんだけ酔うわけだ。
「あと、日本酒も、全種類の地酒飲んだ」
リョウタは、ヘラヘラ言っている。
「京子先生、もう飲めないすっよー。」
真吾くんは、もう立てない状態である。駿くんが、支えている。
酔っ払い三人を車に押し込んで、それぞれの家に送った。駿くんは、大丈夫だが、真吾くんは、ベロベロなので、紀香ちゃん電話して、玄関まで、来てもらった。
「先生、すいませんー。真吾っ、こんなに飲んでっ」
紀香ちゃんは、真吾くんの酔っ払いぶりに、呆れていた。
はあー。飲みに行くなとは言わないが、毎回これじゃ。思いやられる。
「おはようございます。京子さん、昨日は送ってもらってすいませんでした」
駿くんは、まだ26歳で若いのか、二日酔いもなく、爽やかに配達に来た。
「駿くん、朝起きれたの?」
「はい。5時に起きて、作業しました」
さすが、若いだけある。あれだけ飲んで、ちゃんと起きれるんだから。
リョウタといえば、ギリギリまで、朝御飯も食べずに寝ていた。
ちょっと二日酔いみたいだったらしいがソルマック飲んで、復活したみたいだ。
真吾くんは、二日酔いがひどく一日起きれなかったらしい。
料理教室の日。料理教室が終わったあとに、彩ちゃんと紀香ちゃんと三人で話をした。
「先生。やばいですよ。あの調子じゃ、そのうち三人でキャバクラ行きますよ。うちの真吾が誘うと思います」
「えー?でも、ここにキャバクラないから、大丈夫じゃない。スナックだって、若いホステスさんなんかいないし」
私が紀香ちゃんに言った。
「ところが、隣の市にあるんですよ。私、調べたんです。若いキャバ嬢ばかりいて、人気の店があるんですよ。」
「えー。駿、行ったら、どうしよう」
彩ちゃんが、心配そうに言った。
「でも、真吾くんは紀香ちゃんに夢中だし、駿くんは、クールだし、キャバクラなんて行かないよ」
私は、自分にも言い聞かせるように言った。
「ところが、真吾は、若い子が好きなんで、そのキャバクラのこと知ったら行くと思います」
紀香ちゃんは、断言した。
「でも、隣の市でしょう。店に行くまでも大変じゃない。帰ってくるのだって、大変よ。まさかキャバクラに迎えに来いって言わないでしょう。」
「先生、甘いですよ。一台の車で行って、帰りは代行頼べば、三人でワリカンにすれば、タクシーより安いんですよ」
紀香ちゃん、すごい調査力だ。なんだか、そこまで言われると不安になってきた。
若い子いるキャバクラかー。そこで、ピチピチの若いキャバ嬢に誘われたら、リョウタ行くんだろうか。
リョウタは、前にキャバ嬢と付き合ってたし、なんとなく心配だ。
家に帰ると、私が料理教室に行ってる間に、家に真吾くんが来たと母親が言った。
怪しい。
「リョウタくん。隣の市に、すごい可愛い子がいるキャバクラがあるんだけど、行こうよ。スマホでサイト見たら、ナンバーワンの梨花ちゃん、超可愛いんだよ。21歳だって。行こうよー」
「えっ?キャバクラは、やばくない?オレ、京子に知れたら、捨てられるよ。真吾くんだって、紀香ちゃん、怒るだろ。」
「隣の市だから、そこまで、気づかないから大丈夫だって。行こうよー。梨花ちゃんに会いたいー」
真吾くんは、行く気満々だった。
日曜日。リョウタは、飲みに行くといって出掛けた。
予想通り、リョウタ達三人は、隣の市のキャバクラに行った。
「確か、このビルだと思ったんだけどな。あっ、ビューティーナイト。ここじゃない?」
「いらっしゃいませ。ご指名ございますか」
男性の店員が迎えた。
「梨花ちゃんでお願いします」
「梨花さん。ご指名はいりましたー」
席に案内されて、座っていると
「ご指名ありがとうございます。梨花です。」
そこにやってきたナンバーワンの梨花ちゃんは、どうみても、50代後半にしか見えないオバサンだった。ウィッグなのか、すごい髪を盛っていて、紅い口紅をしていて、目の回りがパンダのように真っ黒だった。昔のボディコンのように、体のラインがハッキリ出ている衣装をきていた。スカートはパンツが見えそうなくらいミニである。
「わあ。イケメンばっかり。梨花嬉しいー」
ヘルプに入ったキャバ嬢も、60歳は過ぎてるオバサン二人だった。
リョウタと、真吾くんと、駿くんは、固まっていた。
「こんなイケメン見たことないー。三人ともステキ」
オバサンのキャバ嬢は、三人にそれぞれ、ついた。
「このお兄さん、ガタイがいいわねー。たくましい」
梨花ちゃんが、真吾くんの胸板を触り出した。
「このお兄さんも、若くて肌がピチピチ」
ヘルプのオバサンキャバ嬢も、駿くんの顔を触り出した。
「ふふふ。このお兄さんは、イケメン俳優みたいね。今日は、たっぷりサービスしちゃうわー」
そういってオバサンキャバ嬢は、たれた胸元がくっきりみえる服を着ていて、胸をリョウタに押し付けだした。
ぎえっー。京子、助けてー。
私は、恭ちゃんと、うたた寝をしていた。
「んっ。今、リョウタの声が聞こえたような?」
気のせいだと思って、私は、また寝た。
リョウタ達が行った店は、熟女パブだった。
真吾くんが行きたがったキャバクラは、同じビルの二階にあった。
偶然にも、熟女パブのナンバーワンの源氏名も、同じ名前の梨花ちゃんだったのである。
リョウタが、10時頃帰ってきた。
「あら、早かったね」
私がリョウタに言った。
「京子ー。酷い目にあったー。慰めてくれー」
リョウタは、私に抱きついてきた。
「よしよし」
私は、リョウタの頭をなでてやった。
三人衆は、かなり懲りたようで、二度とキャバクラに行こうとしないだろう。