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ミリアとライの、背徳的で罪悪風味な、積み重なる罰のような日々

掲載日:2015/11/01

 

 

「強度が、足り無すぎるわ」


 ミリアが言う。

 言いながら、上方に飛び上がり、回転しながら、剣を振るう、典型的な凪ぎ払い。

 アクロバティックに、そして、超能力のようにサイキックに、超自然的な不自然な動きだ。

 これで強度不足とは、サイケデリックにイカレているのか?

 最後に、

 スチャと、何か金属が硬い、コンクリート地面に接地する音が響く。

 彼女の鉄製の靴底が、この敷地の、時計塔のある公園地面を踏みしめた音だ。

 

「超絶実体剣スキル、スタースタースター、と、名づけたわ」


「名づけんでいい、馬鹿が」


 ネーミングセンスも、イカレていた。

 こちらにスタスタ歩いてきて、得意げに、馬鹿豊満な胸を張ってきて、なんか挑発気味な目、視線の流れ。

 この態度は、一体なんだ? どんな意図があるのか、俺には深遠すぎて、イカレてないからか、至極不明、分からない。


「馬鹿とは、なによ?

 ムカつくのよ、そのワード、これより一切合財、禁止、ねっ」


 うるさい女だと思う。

 このように、無意味に突っかかってくるのは、

 客観的に見てツンデレっぽいとか、自覚に欠けているから成せるのだろう。

 挑発系少女とも言えようか、音だけだと、長髪系少女って間違われるのか、知らない。


「あんたー、私の話、聞いてるの?」


 ツッコミすらしないと、途端、不貞腐れたように、してくれる、

 何事か、突っかかるような事を言ってくる、

 何時もの、至極必然とも言える、典型的なテンプレートかマニュアルのような、何度も成されたやり取りだ。


「なんだ? 聞いて欲しいのか? 寂しがり屋だなぁ?」


「はあ? 馬鹿、知らない!」


 そして、ちょっとこっちから攻めてみると、途端に臍まげてしまう、扱いが難しいにも、自分勝手にも程がある。

 そのまま、スタスタ、公園を出て行こうとする。

 しかし、入り口付近で、こちらを振り返り、戻ってくる。


「馬鹿!!なんで、追ってこないのぉお!」


「知らんがな」


「知らんじゃない!

 傷ついた女の子を放っておくなんて! この外道!馬鹿! 変態!」


「いや、変態は、違うだろ!」


「違わないわよ!

 外道は馬鹿だし、馬鹿は変態だって、絶対の相場が決まってるのよ! この馬鹿!馬鹿!馬鹿ぁあ!」


 なんか、凄い剣幕で罵られているなあ、と、客観的に批評する、冷静な自分が、彼女を見ていた。

  

「ほんと、レディの扱いが成ってない、だからあんたはモテないのよ」


 プイッと、ソッポ向いて、不機嫌を表明したいのだろうか。


「ふん、モテなくて結構、お前にな」


 お返しとばかりに、こちらも不機嫌そうに言ってやる。


「くぅ!! この馬鹿は、、、

 本当に、躾が成ってないっていうかぁ、調教してやりたいんだけどぉおお」


「調教って、お前、言葉分かってるのか?」


「知ってるわよ、知ってて、使ってるの。

 つまり、あんたを縛り付けて、鞭で引っぱたいて、手ずから、生尻ペンペン百回の刑とか、

 してやりたいって、あたしは思ってるのよ?」


 なんか彼女の底に秘められた、暗いくらい本性が見え隠れする、

 ダークで刺激的な暴力の雰囲気が漂う、

 てか、それ、SMしたいだけだろっと、

 言ってやりたかったんだが、彼女の名誉のため、我慢してやったのだった、優しいな俺。

 

「怒ってるんだからぁっ、、、」


 なんか、切実な、可愛いと思えなくも無い、声で言われると。


「ごめんごめん、分かった、俺が悪かったと、認めてやる」


 なぜか、絆されたような振る舞いを、してやっても言いと、思ってしまうのだった。

 俺の態度に、機嫌直した証か、何時もの距離に戻ってきた、

 そして開口一言。

  

「馬鹿馬鹿」


「ああ?」


 いきなりの罵り、反射的に不審を露にした。


「ムカつく奴、あんたは本当に分かってないわ、駄目な奴よ」


「なんだよ、今日は、

 てか、初めから今まで、問いたかったんだが、

 なんか、変な萌えキャラにでも、影響受けたのか?」


「本当にムカつく、わたしを見下して、馬鹿にして、軽蔑して」


「軽蔑って、別に、ちょっと何時もと違うなって、思った「うるさい!」はいはい「はいは一回!」はい」


 何時もの語りである、

 対応もおざなりに成らざるを得ないのは、そろそろ分かって欲しいものである。


「ふんだ。

 あんたが、ステレオタイプなレッテルを貼ってるだけ、

 そうなだけ、

 なんだからね、勘違いしないで、

 本当に、勘違いしないでよね?」


 そこで一泊、次には、こちらを上から見下し叩き落すような、爆発的発声。


「てかっ、あんたに定義されたくないのよ!

 あたしは何時ものあたしなんだから、ほんと、馬鹿しないで!」


 唖然とする俺だった。


「お、おい、落ち着けよ」


「あたしは何時も冷静よ」


「冷静では、ないだろ」


「あによ、文句あるの?」


「あによって、なによだろ」


「うるさい! あによって言いたい気分なの! あんた文句、てかケチ付ける気?!」


「分かった分かった」


「分かったも一回で十分!」


「分かった」


 こちらが素直に従うのに、満足したのか、なんか偽物っぽい微笑んでくれる。


「ふん、分かればいいのよ。

 あんたは、わたしに従ってれば、しあわせに成れるんだからね」


「なんだ、その幸福の詐欺師みたいな口上は、、、」


「文句は受け付けません、

 あんたはあたしに従ってれば、それでいいの、分かった?」


「すごく、分かりたくないんだが」


「分かった?」

 

 強圧的に、恫喝するような声、ふざけてるのか冗談なのか、微妙なんで、判断が難しいんだが。


「分かったよ」


「ふぅ、あんたがあたしに従ってくれるって、凄く気分いいわ」


「そうかい、それは良かったね」


「なに? 拗ねてるの? いいじゃない、あたしの幸せは、あんたの幸せ、そうでしょう?」


「そうかもしれないね」


「そして、わたしの幸せは、わたしの幸せ、ってね。

 うん? なによ、

 気に食わなそうな顔してるわね、あたしのこと、好きじゃないの?」


「なにを言わせたいんだが、予想もしたくないね」


「認めればいいのよ、自分は、ミリアに従うのが、無常の幸福ですぅっ、てね」


「頭が壊れない限り、そんなの言わない」


「この、壊してやりましょうか?」


 頭に掴みかかるようなジェスチャ、悪乗りで本当にやられたら、たまらない。


「やめて、やめてくれ」


「本当に、そう想ってるの?

 被虐趣味で、恥辱趣味持ちのライ君?」


「その語りも、凄くやめて」


「そう? あたしは好きなのだけれど、この語りも、このシチュエイション、全てまるっと含めてね」


「そりゃ、ミリアにしちゃ、」

 

 お決まりの弄りみたいなもんだろうさ、とまでは、余りに自虐的になるので、言わなかった。

 次に、彼女は、空を仰いだ。


「今日も、空が青いわね。

 ねえ、そう想うでしょう?」


 胸張って、そんな自分を見せ付けるように、手を広げる。


「そうだね、青々しい」


「突然だけど、しりとり、しましょう。

 りんご」


 唐突過ぎたけど、スルー、

 こんな程度で、うろたえるのはカッコ悪いと反射的に判断できたのだろう。


「ごりら」


「らっぱ」


「ぱせり」


「りんご」


 吹きそうになった。


「ちょ、りんご二回目!」


「いいじゃない、わたしだけの特権、

 これからは、あんたとあたしのしりとりでは、

 わたしは二回だけ同じワードを使っても、いいこととす、するの」


 指を、なにか意味があるのか、ぴっと立てる。


「ふっふ、喜びなさい、あんたとあたしだけの、秘密の法律よ、

 どう、嬉しいでしょう? 

 こんなこと許すのは、金輪際一生、あんだだけよ」


「なにが許されたのかなぁ!? 全然うれしくないのだけれどぉ!」


「なによ生意気、あんた、あたしに許されたくないの!」


「もう意味が分からない! 

 あーいいよ! そうだね、そうだね! ゴールド!」


「分かればいいのよ、初めから素直に従っていれば、疲れなかったのにね、ドミノ」


 確かに疲れてしまった、息が乱れたように、なっていることだし、

 彼女の言うとおり、初めから従っていれば、被害は少なかったのか、

 と、屈服されそうになった、ほんと、これは不味い流れである。

 

「ノート」


「となかい」


「インコ」


「コアラ」


「ランドセル」


「ルビー」


「ビール」


「ルクセルム反応」


「え、ちょ、それって、有りなんですか?」


「うん? ありだけど?

 それじゃあ、わたしだけアリって、ルール、法律つくる?」


「あーもういいよ、アリねアリ、右脳!」


「アリよ、なんか、あんたを従えてる、女王様みたいな気分で、

 いま、凄く、正直にいえば、気分がいいわ、ウクライナ」


「そういうの、言わなくていいよ、胸に秘めてて、傷つくってか、胸が苦しいから、納豆」


「そう、なら、今度からは、言わないで置いてあげる、存分に感涙して感謝してよね、右脳」


「あれ、あ、そうか」


「そうよ、わたしだけの、特権」


「くぅ、そんな顔で言わなくても、いいだろが、う、、う、、」


「ちなみに、時間制限、あるからね、さっさと言って、

 しりとり程度で、時間を掛けてもらいたくないわ、

 あんたもあたしに、低脳なんじゃないの?って疑われたくないでしょ、

 この程度の遊戯で、そういう風に馬鹿にされたくなければ、即刻でタイムリーに返答して頂戴」


「くぅぅ、、くぅ、、そういう言葉攻めが、思考力集中力を奪ってるのかもしれないよ!」


「ふっふ、これも作戦の内ってね、クック」


 嫌な感じの笑い方に、なってきた、彼女の本領が発揮させる前に、終わらせたいところだ。


「ウラン!」


「あっ、あんた!」


「はい! 終わり!」


「この! 待て!」


 走って、公園から逃げ出した。

 その入り口で、袖を掴まれそうになったが、紙一重で回避してやった。

 それが、今日で最大の、そして最初で最後の戦果といえた。

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