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ミリアとライの、背徳的で罪悪風味な、積み重なる罰のような日々

 

 

「強度が、足り無すぎるわ」


 ミリアが言う。

 言いながら、上方に飛び上がり、回転しながら、剣を振るう、典型的な凪ぎ払い。

 アクロバティックに、そして、超能力のようにサイキックに、超自然的な不自然な動きだ。

 これで強度不足とは、サイケデリックにイカレているのか?

 最後に、

 スチャと、何か金属が硬い、コンクリート地面に接地する音が響く。

 彼女の鉄製の靴底が、この敷地の、時計塔のある公園地面を踏みしめた音だ。

 

「超絶実体剣スキル、スタースタースター、と、名づけたわ」


「名づけんでいい、馬鹿が」


 ネーミングセンスも、イカレていた。

 こちらにスタスタ歩いてきて、得意げに、馬鹿豊満な胸を張ってきて、なんか挑発気味な目、視線の流れ。

 この態度は、一体なんだ? どんな意図があるのか、俺には深遠すぎて、イカレてないからか、至極不明、分からない。


「馬鹿とは、なによ?

 ムカつくのよ、そのワード、これより一切合財、禁止、ねっ」


 うるさい女だと思う。

 このように、無意味に突っかかってくるのは、

 客観的に見てツンデレっぽいとか、自覚に欠けているから成せるのだろう。

 挑発系少女とも言えようか、音だけだと、長髪系少女って間違われるのか、知らない。


「あんたー、私の話、聞いてるの?」


 ツッコミすらしないと、途端、不貞腐れたように、してくれる、

 何事か、突っかかるような事を言ってくる、

 何時もの、至極必然とも言える、典型的なテンプレートかマニュアルのような、何度も成されたやり取りだ。


「なんだ? 聞いて欲しいのか? 寂しがり屋だなぁ?」


「はあ? 馬鹿、知らない!」


 そして、ちょっとこっちから攻めてみると、途端に臍まげてしまう、扱いが難しいにも、自分勝手にも程がある。

 そのまま、スタスタ、公園を出て行こうとする。

 しかし、入り口付近で、こちらを振り返り、戻ってくる。


「馬鹿!!なんで、追ってこないのぉお!」


「知らんがな」


「知らんじゃない!

 傷ついた女の子を放っておくなんて! この外道!馬鹿! 変態!」


「いや、変態は、違うだろ!」


「違わないわよ!

 外道は馬鹿だし、馬鹿は変態だって、絶対の相場が決まってるのよ! この馬鹿!馬鹿!馬鹿ぁあ!」


 なんか、凄い剣幕で罵られているなあ、と、客観的に批評する、冷静な自分が、彼女を見ていた。

  

「ほんと、レディの扱いが成ってない、だからあんたはモテないのよ」


 プイッと、ソッポ向いて、不機嫌を表明したいのだろうか。


「ふん、モテなくて結構、お前にな」


 お返しとばかりに、こちらも不機嫌そうに言ってやる。


「くぅ!! この馬鹿は、、、

 本当に、躾が成ってないっていうかぁ、調教してやりたいんだけどぉおお」


「調教って、お前、言葉分かってるのか?」


「知ってるわよ、知ってて、使ってるの。

 つまり、あんたを縛り付けて、鞭で引っぱたいて、手ずから、生尻ペンペン百回の刑とか、

 してやりたいって、あたしは思ってるのよ?」


 なんか彼女の底に秘められた、暗いくらい本性が見え隠れする、

 ダークで刺激的な暴力の雰囲気が漂う、

 てか、それ、SMしたいだけだろっと、

 言ってやりたかったんだが、彼女の名誉のため、我慢してやったのだった、優しいな俺。

 

「怒ってるんだからぁっ、、、」


 なんか、切実な、可愛いと思えなくも無い、声で言われると。


「ごめんごめん、分かった、俺が悪かったと、認めてやる」


 なぜか、絆されたような振る舞いを、してやっても言いと、思ってしまうのだった。

 俺の態度に、機嫌直した証か、何時もの距離に戻ってきた、

 そして開口一言。

  

「馬鹿馬鹿」


「ああ?」


 いきなりの罵り、反射的に不審を露にした。


「ムカつく奴、あんたは本当に分かってないわ、駄目な奴よ」


「なんだよ、今日は、

 てか、初めから今まで、問いたかったんだが、

 なんか、変な萌えキャラにでも、影響受けたのか?」


「本当にムカつく、わたしを見下して、馬鹿にして、軽蔑して」


「軽蔑って、別に、ちょっと何時もと違うなって、思った「うるさい!」はいはい「はいは一回!」はい」


 何時もの語りである、

 対応もおざなりに成らざるを得ないのは、そろそろ分かって欲しいものである。


「ふんだ。

 あんたが、ステレオタイプなレッテルを貼ってるだけ、

 そうなだけ、

 なんだからね、勘違いしないで、

 本当に、勘違いしないでよね?」


 そこで一泊、次には、こちらを上から見下し叩き落すような、爆発的発声。


「てかっ、あんたに定義されたくないのよ!

 あたしは何時ものあたしなんだから、ほんと、馬鹿しないで!」


 唖然とする俺だった。


「お、おい、落ち着けよ」


「あたしは何時も冷静よ」


「冷静では、ないだろ」


「あによ、文句あるの?」


「あによって、なによだろ」


「うるさい! あによって言いたい気分なの! あんた文句、てかケチ付ける気?!」


「分かった分かった」


「分かったも一回で十分!」


「分かった」


 こちらが素直に従うのに、満足したのか、なんか偽物っぽい微笑んでくれる。


「ふん、分かればいいのよ。

 あんたは、わたしに従ってれば、しあわせに成れるんだからね」


「なんだ、その幸福の詐欺師みたいな口上は、、、」


「文句は受け付けません、

 あんたはあたしに従ってれば、それでいいの、分かった?」


「すごく、分かりたくないんだが」


「分かった?」

 

 強圧的に、恫喝するような声、ふざけてるのか冗談なのか、微妙なんで、判断が難しいんだが。


「分かったよ」


「ふぅ、あんたがあたしに従ってくれるって、凄く気分いいわ」


「そうかい、それは良かったね」


「なに? 拗ねてるの? いいじゃない、あたしの幸せは、あんたの幸せ、そうでしょう?」


「そうかもしれないね」


「そして、わたしの幸せは、わたしの幸せ、ってね。

 うん? なによ、

 気に食わなそうな顔してるわね、あたしのこと、好きじゃないの?」


「なにを言わせたいんだが、予想もしたくないね」


「認めればいいのよ、自分は、ミリアに従うのが、無常の幸福ですぅっ、てね」


「頭が壊れない限り、そんなの言わない」


「この、壊してやりましょうか?」


 頭に掴みかかるようなジェスチャ、悪乗りで本当にやられたら、たまらない。


「やめて、やめてくれ」


「本当に、そう想ってるの?

 被虐趣味で、恥辱趣味持ちのライ君?」


「その語りも、凄くやめて」


「そう? あたしは好きなのだけれど、この語りも、このシチュエイション、全てまるっと含めてね」


「そりゃ、ミリアにしちゃ、」

 

 お決まりの弄りみたいなもんだろうさ、とまでは、余りに自虐的になるので、言わなかった。

 次に、彼女は、空を仰いだ。


「今日も、空が青いわね。

 ねえ、そう想うでしょう?」


 胸張って、そんな自分を見せ付けるように、手を広げる。


「そうだね、青々しい」


「突然だけど、しりとり、しましょう。

 りんご」


 唐突過ぎたけど、スルー、

 こんな程度で、うろたえるのはカッコ悪いと反射的に判断できたのだろう。


「ごりら」


「らっぱ」


「ぱせり」


「りんご」


 吹きそうになった。


「ちょ、りんご二回目!」


「いいじゃない、わたしだけの特権、

 これからは、あんたとあたしのしりとりでは、

 わたしは二回だけ同じワードを使っても、いいこととす、するの」


 指を、なにか意味があるのか、ぴっと立てる。


「ふっふ、喜びなさい、あんたとあたしだけの、秘密の法律よ、

 どう、嬉しいでしょう? 

 こんなこと許すのは、金輪際一生、あんだだけよ」


「なにが許されたのかなぁ!? 全然うれしくないのだけれどぉ!」


「なによ生意気、あんた、あたしに許されたくないの!」


「もう意味が分からない! 

 あーいいよ! そうだね、そうだね! ゴールド!」


「分かればいいのよ、初めから素直に従っていれば、疲れなかったのにね、ドミノ」


 確かに疲れてしまった、息が乱れたように、なっていることだし、

 彼女の言うとおり、初めから従っていれば、被害は少なかったのか、

 と、屈服されそうになった、ほんと、これは不味い流れである。

 

「ノート」


「となかい」


「インコ」


「コアラ」


「ランドセル」


「ルビー」


「ビール」


「ルクセルム反応」


「え、ちょ、それって、有りなんですか?」


「うん? ありだけど?

 それじゃあ、わたしだけアリって、ルール、法律つくる?」


「あーもういいよ、アリねアリ、右脳!」


「アリよ、なんか、あんたを従えてる、女王様みたいな気分で、

 いま、凄く、正直にいえば、気分がいいわ、ウクライナ」


「そういうの、言わなくていいよ、胸に秘めてて、傷つくってか、胸が苦しいから、納豆」


「そう、なら、今度からは、言わないで置いてあげる、存分に感涙して感謝してよね、右脳」


「あれ、あ、そうか」


「そうよ、わたしだけの、特権」


「くぅ、そんな顔で言わなくても、いいだろが、う、、う、、」


「ちなみに、時間制限、あるからね、さっさと言って、

 しりとり程度で、時間を掛けてもらいたくないわ、

 あんたもあたしに、低脳なんじゃないの?って疑われたくないでしょ、

 この程度の遊戯で、そういう風に馬鹿にされたくなければ、即刻でタイムリーに返答して頂戴」


「くぅぅ、、くぅ、、そういう言葉攻めが、思考力集中力を奪ってるのかもしれないよ!」


「ふっふ、これも作戦の内ってね、クック」


 嫌な感じの笑い方に、なってきた、彼女の本領が発揮させる前に、終わらせたいところだ。


「ウラン!」


「あっ、あんた!」


「はい! 終わり!」


「この! 待て!」


 走って、公園から逃げ出した。

 その入り口で、袖を掴まれそうになったが、紙一重で回避してやった。

 それが、今日で最大の、そして最初で最後の戦果といえた。

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