33 姫の誘惑
ちょいエロ(?)なシーンがあります。
入って暫くして分かったことがある。
第二層の主要なモンスターは三体だ。
コボルト、ホーンラビット、そしてモンスターの代表格ゴブリン。
コボルトは第一層にもいたソルジャー系を始めとしたマジシャン、シールド、アーチャーの四種類。名称通り、兵士、魔法使い、盾、弓だ。
ホーンラビットは角の生えた青色の兎で、全長1メートルほどのモンスター。兎をそのまま大きくした感じで、素早いだけが取り柄の雑魚だった。
厄介なのがゴブリンで、最低でも5体で行動しており戦闘時には連携をとる。中にはダークウルフを手懐けている個体もいるくらいで、前衛と後衛に分かれて攻撃してくる。統率性があって面倒だ。
人型のモンスターを殺すのには。第一層のコボルトで慣れているので姫の『災禍の種を撒く者』を使う必要はなかった。
姫はもういらない子になりつつある。
四日掛けて全容を把握。宝箱から『錬金キット【中級】』を手に入れた。【上級】じゃないのが惜しいが、贅沢は言えない。当然の如く押収。
「こんなの横暴だ!」
「黙らっしゃい!」
ブーイングの嵐の中、『ヘルネ草』を素材にポーションの作成に取り掛かった。
『錬金術』のスキルレベルを1から3に上げて挑戦する。(スキルレベルは5がMAX)
素材が高級なためスキルレベルは最低3ないといけないようだった。馬鹿にできない量のスキルポイントを消費した。
失敗はできない。
手探りで作成すること一時間。
一本分のポーションが完成した。品質は並。手順も分かってきたので数本纏めて作る。品質は、並、並、良だった。入れる容器が心許ないので、ガラスを作り加工する『細工』のスキルを取る日も近いかもしれない。
四本中二本を慎太と皆月さんに、残りをその辺でブーイングしていた男子に渡す。
ブーイングは称賛へと変わった。人間って現金だね。
四日目の探索はそこをもって終了となった。
深夜。床を叩く硬質な足音が耳朶に触れて目が覚めた。
衛兵が女子を慰み者扱いするのはこれで三度目となる。
僕はチラリと皆月さんを見る。今、ここで心を折られるわけにはいかない。彼女だけは、どんな手段を用いても守る。
何人もの視線が衛兵を絡め取る。衛兵はその悉くを無視して矯めつ眇めつ牢を一瞥。そして、一人の女子に目を止めた。
釣り上がった強気な目、腰まで届く長髪、華奢な体躯、そのひとつひとつが合わさって可憐な印象を抱かせる、魔性の女、姫。
姫はされるがまま、抵抗することなく衛兵に連れて行かれた。
「…………」
「…………ん?」
今、気のせいかもしれないけど……。
姫が、笑ったように見えた。
自嘲か?
さほど疑問は覚えなかったので、皆月さんが選ばれなかったことに安心感を覚えて僕は眠りについた。
―――――――――――
陽炎が揺れるように、かがり火が踊り部屋を淡く照らす。壁面に設えられたそれは狭い室内に浮かぶ二人の影をくっきりと浮かび上がらせる。
咽るような甘ったるい香と噴き出る汗、そして男の眼前で肌を露わにする女の艶やかさに三半規管が狂わせられるようだった。
部屋の隅には取って付けたような粗末な寝台。敷かれたシーツが皺だらけになっている。
寝台の上で荒い息を上げる二人。
喘鳴の度に目が焼けるような錯覚に陥る。
三度目でも慣れない。そう思いながら男は女に手を伸ばす。
女、いや、うら若き少女は端正な顔を男の視線に合わせる。そして艶やかな笑みを浮かべると、美々しい挙措で静かに男の手を払った。
男は疑問と焦りを露わにして少女を見る。少女は妖艶に目を細め、人差し指を唇にあてて、
「ねえ、衛兵さん?」
お預けとでも言わんばかりに、まるでバスローブを羽織るかのように貫頭衣に身を通す。そして、僅かに肩を胸元をはだけてクスリと笑う。
「私と取引しない?」
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