14 野蛮な剣
こうした方がいいっていうのがあったら教えてください。
僕は改めて自身のステータスを眺める。
そこで『勇者の窓』を開いた時に気付く。
「ドロップ一覧……」
これは、ゲームでいうところのモンスタードロップのことを指すのだろう。
僕たちは先ほどワイルドウルフを一体倒している。もしかすると、何か入手しているかもしれない。
「慎太、皆月さん。ドロップ一覧っていうのを確認してみて」
「分かった」
「うん、わかったよ」
ドロップ一覧に意識を集中。
すると、脳内に浮かぶ光景が切り替わる。
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【ドロップ一覧】
現在のドロップ数1
・野蛮な剣+
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け、剣……!
僕は少し興奮気味に取り出すよう命じた。
燐光が手に収束し、ひと振りの剣をかたどっていく。
現れたのは、灰色を基調とした西洋風の長剣。斬ることよりも、叩き潰すことに特化したような剣だ。
日本で持って歩いていたら確実に銃刀法違反で逮捕される代物だ。
「恭平おまっ、それ!」
慎太が瞠目し、物欲しそうな目で僕を見る。
名残惜しいが、これは戦士職の慎太に譲るべきだろう。
まあ、タダじゃやらないけど。
「慎太、そっちのドロップと交換しようか」
「ああ! こっちは、『野蛮な皮』だ」
トレード成立。
と言ったものの、今はまだ『アイテムボックス』がないので、素材は慎太にそのままドロップ一覧に保管しておいてもらった。
それから僕らは互いにステータスと取得したスキルや魔法について確認してから、HPとMPが全快になるまで休むことにした。
1時間くらいだろうか、それくらいで全快した。
姫たちの安否も気になるが、今は自分たちのことを優先しよう。
「辺りを探索してみよう」
僕は提案した。
当初の目的通り、宝箱を探す腹積もりだ。
「き、危険なんじゃないかな?」
「でも、このまま手を拱いていられねーしな」
少し補足しておこう。
「基本的にモンスターは回避していく。ただ、単独で行動している奴には強襲を掛ける。それで宝箱のある部屋を探していこう」
「いや、モンスターもワイルドウルフ相手なら二体までならいける。今の俺にはそこそこ強い剣もあるし、『剣術【初級】』スキルもある。それに加えて、俺らのステータスは段違いに上がっている。多分、いけるだろ」
僕は少し思案する。
確かに、慎太の言うことはもっともだ。だが、僕らはまだ戦闘やスキル、魔法の扱いに慣れていない。
折衷案を出すことにする。
「僕らはまだスキルや魔法、戦闘という行為に疎い。新しく取得したものもあるから、いきなり多数と戦うのは危険だ。けど、慎太の言うことも一理ある。だから、最初は一体と戦闘し、慣れたら二体以上と戦闘。これでいいかい?」
「ああ、それがいいだろうな」
「私もそれで構わないよ」
二人が納得したのを機に、僕らは探索を開始する。