13 スキルポイントの振り分け
二人は頷くとステータスと呟く。レベルが上がったことも然ることながら、職業を得たこともあるので初見とは大分差異があるはずだ。
僕も遅れながらステータスを開く。
―――――――――――――――
柊恭平 16歳 男 レベル6
人族
職業:呪術師
称号:異世界からの勇者
HP 308/322
MP 67/714
筋力 28
体力 32
敏捷 47
耐性 111(+30)
魔力 93
魔防 59
適性属性 『風』『闇』『無』
[スキル]
勇者の窓
鑑定【初級】
状態異常耐性【小】(呪術師による補正)
状態異常付加【小】(呪術師による補正)
[魔法]
キュアlv1
カース・パラライズlv1
ウィンドカッターlv1
リカバリーlv1
―――――――――――――――
初期の頃と比べると大分強くなってる。というか、MPがヤバイ。HPの倍以上あるよ。
ヘルプによれば、勇者の称号の効果でステータスの上昇具合は通常の約2倍だそうだ。半端ないね。
それと、適性属性に『闇』が増えている。レベルの上昇に伴って? それとも『呪術師』になったからだろうか。まあ、いずれにしても取得出来る呪文の系統が増えるのはいいことだ。
僕は皆に結果を報告する。
「……って感じかな」
「俺はMPが恭平と比べると低いがHPは1000超えてるぜ」
「さすが『光の勇者』! おれたちに出来ない事を平然とやってのけるッ! そこにシビれる! あこがれるゥ!」
「お前結構余裕あるな、恭平」
てへぺろ。
皆月さんが口を挟む。
「わ、私は二人の中間くらいかなっ! 一応魔法職? らしいけど……」
「良くも悪くも普通といった感じか……」
「それでね、スキルポイントが溜まったから『召喚』魔法と『契約』を覚えることができるんだけど……」
「だけど?」
躊躇うような口調には何か言い含むようなものがあった。
「召喚は、召喚者と触媒、そして環境に左右されるんだって。こんなとこで召喚したら……」
「ああ、ぜってーヤバイのが来るな……。曲がりなりにも、俺たちは勇者なワケだし」
冷や汗が慎太の額を伝う。
古今東西、身の程に合わない魔物を召喚してしまった召喚者は惨い最期を遂げるのが常となっている。
今のところは保留にしておいた方がいいだろう。
「じゃあ、『調教』とかは出来ねーのか?」
「『契約師』は『調教師』から派生するから取得できなくもないけど、『調教』は『契約』と違ってそのモンスターが死んだらそこまでなんだって」
「『契約』っていうのは?」
「『契約』は、召喚した対象と結んでいつでも召喚に応じてもらえるようにしてもらえること、らしいよ。契約したら、一度死んでも時間が経てば再度召喚できるみたい」
うーん、判断に迷うところだな。
召喚は契約しないと使えない。かと言って調教すれば死んだらもう一度調教し直さないといけないし、魔物相手に手加減は難しい。
今召喚なんてしたら殺される可能性もあるわけだし……。レベルが上がるまで待つか。
「召喚は一旦保留することにしよう。いずれレベルが上がって僕らが強くなったら……そうだね、レベルが20くらい上がって良い触媒を手に入れたら行うとしよう。今は魔法とスキルを均等に覚えればいいと思う」
「うん、柊くんが言うならそうするよ」
慎太は……。
「慎太は、どうする?」
「今の俺たちはレベルが低くて弱い。だから、直接ステータスを上げるスキルを優先して取るべきだな」
「そうだね。それと、僕からは『罠解除【初級】』と『気配感知』、そして『アイテムボックス【小】』を推奨する。全部レベル10以上からの取得なんだけど、今の僕たちなら比較的レベルは上げやすい。取り敢えず、これらの為にスキルポイントは20取っておいてほしい」
「随分とスキルポイントを消費するんだな」
慎太が当然の疑問を投げかける。
消費するポイントが多いということは、それだけそのスキルの使用性や重要度が高いということになる。
「これらは絶対に必要になってくる。だから、高いんだと思う」
「まあ、そりゃそうだろうな。じゃあ、これから溜まる分も考えると、今使っていいのは7ポイント分か」
1レベルで獲得するスキルポイントは3。このままスキルポイントを消費せずに10レベルに至ったとすると30ポイントとなる。
慎太の計算は正しい。
「私たちも7ポイント分だね」
「そうだね。でも、何が起こるか分からないから少しは残しておこう」
そういうわけで、僕らは貴重なスキルポイントを慎重に消費していく。
僕が取ったのは以下のスキル。
・魔力上昇【小】
・MP上昇【小】
・詠唱簡略【小】
本当は体力上昇【小】を取りたかったんだけど、そこまでの余裕はなかった。僕の役割を果たす以上、これが最適だからだ。
スキルポイントが15から10へと減った。
読んでくださりありがとうございます!