《1》ブラックホールとの出会い
僕はフィス。
まだ生まれて間もない小さな星。
僕の住んでる宇宙は銀河系。
太陽とか、地球とかいっぱいの先生がいて、 太陽先生が一番長生きしてるらしいんだ。
先生たちは宇宙の話をしてくれるんだ。
太陽先生は星の生まれ方とか難しい話をしてくれる。
地球先生は人間っていう生き物が僕たちを 面白い呼び方をしているって話してくれた。 例えば、目立ちがり屋なベテルギウスさんといっぱいお話をしてくれるリゲルさんたちをまとめて『オリオン座』っていう名前をつけてるんだって。
面白いよね。
僕たち一人一人名前があるのに、わざわざなんで他の名前つけたのか、僕にはわからないや。
あとの先生たちも人間とはまた違う生き物の話をしてくれる。
初めてブラックホールっていう場所を聞いたのは僕が銀河系学校に通い始めた日。
またまた、太陽先生と水星先生を立ち聞きした。
「また少しブラックホールが近づいてきてきましたね。他の星たちに伝えるべきでしょうか?」
「待ちたまえ、水星先生。このことを話すべきではない。なぜなら、混乱を起こしかねない。また一人流れ星として息を引き取る者が出ては困る。」
「そうかもしれませんが、近づいているのは事実。もう学校からも見える位置にあります。話しましょう。」
「だが…」
先生たちの話は深刻だった。
これ以上は僕は知ってはいけないかもしれない。
だけど、
ブラックホールってなんだ?
いけないとわかっていながらも
興味が湧いてきてしまい
ついに行動に起こしてしまった。
ここから見えるって行ってたな…
そっと見に行ってみよう。
フィスは学校を抜け出し、先生たちが見ていた方向へ行ってみた。
天の川橋までやってくると
そこには
真っ黒な大きい穴の開いた場所があった。
これがブラックホール!
フィスが考えていたものより
数倍も大きく、漆黒の闇だった。
もう少し、もう少しと
近づいていくと
少しずつ身体がブラックホールに吸い寄せられる気がした。
「フィス!」
と月先生が飛び出して
僕の手を引っ張って学校まで戻ってきた。
「フィス。なんであんなところにいたの!?あの場所は先生たちの秘密の場所よ!どこであの場所を知ったの?」
「たまたまあそこで遊んでいただけですよ。」
先生たちの話を立ち聞きしたなんて言ったら
もっと怒られる気がして言わなかった。
「もうあそこへは行ってはいけません。他の星たちにも言ってはいけませんよ!分かりましたか?」
「はい。先生。誰にも言いません。」
「早く教室に戻りなさい。」
月先生は僕をまた引っ張って、教室に連れてこられた。
その後の授業は何も頭に入らなかった。
あの吸い寄せられるかんじ。
あの真っ黒な見たこともない場所。
あの穴は何なんだろう
あの向こうには何があるんだろう。
行ってみたい。
僕はいけないとわかっているのに
興奮を抑えることができなかった。