魔王様は意外とナイーブでおられます。
フフフだから言ったであろう、貴様程度では我に勝てんとー!!ハーッハッハッハッハー!!
「魔王様?一人将棋で連勝中すいません・・・」
「ん?ダーク・リオンか何だ?」
魔王は手で将棋盤の上の駒を払落し立ち上がる
「耳・・真っ赤ですよ魔王・・・」
「はーっ?恥ずくねーし!何言っちゃってくれてんのリオン!」
「くたばれ死ね!」
「荒れてますね魔王」
「お前がノックのせずに勝手に入って来るから悪いんだろうが!!」
「無ノック禁止ね~今日からノックしなかったらシカトしま~す!!」プンスカ
玉座に座る魔王
(「魔王ちっちぇー」)
「それより魔王様遂に四天王の一人『ファビリアーノ』が倒されたそうです」
驚き立ち上がる魔王
「ファ、ファビリアーノが!」
ダーク・リオンに背を向け天井を見上げる魔王
「そうか、アイツが逝ったか・・・」
振り向き歩き出し四天王と魔王が一緒に写った写真を手に取る魔王
「出来の悪い子程可愛いとよく言うがホントに手のかかるヤツだったよ・・・」
「初めて四天王に名乗りを上げた時にはホントにコイツに務まるのかってもう心配で心配で・・・」
「アイツちゃんと俺がこれだけは最後に言えってセリフ言えたかなぁ・・・」
「どんなセリフですか?」
「ん?あぁ、『やるな勇者共よ!だがな俺を倒しても四天王は後三人居る、しかも他の四天王は俺より遥かに強いぞ!心して掛かれよ!』って感じのヤツだよ」
「そうなんですか・・・それなんですが倒されるのを目撃していた魔物達によりますとですね『だがな』の所を『だぎゃな』って噛んでしまってやり直そうとした所を有無を言わさず勇者達に止めをさされたそうです」
「えっ!?何それ外道じゃん。引くわ~勇者~。最後位華持たせてやっても良いのにな~マジ引くわ~正に『下衆の極み』って感じだな」
「何?選択肢出たの?『とどめをさしますか?』勇者『はい』『いいえ』みたいな」
「そいつ嫌いだわ~その勇者の名前調べといて出禁にしよ!出禁に!」
「いや~出禁はちょっと・・・」
「じゃあ何だ!お前は仲間がやられて黙って見過ごすって言うのか!!」
「そうじゃなくてもっと違う方法で懲らしめた方が良いのではないでしょうか・・・」
「ん~?じゃあちょっとした悪戯してやろうぜ~!」
「例えばさそいつ等だけ一歩歩く毎にモンスターエンカウントさせようぜ!どうせ暇な奴ら多いだろ?」
「それは良い考えですね!何か『黄金の爪』を思い出しますよ~」
「友達に教えて貰って獲ったは良いが歩く度に『ミイラ男』やら『マミー』やらがわんさかで半泣き状態でしたわ~」
「その時教えてくれた友達が半笑いだった意味がようやく解りましたよ~」
「そう」
(「あれ?魔王様やけに冷たい・・・」)
「どうされたんですか?魔王様」
「俺あのピラミッド笑えない程トラウマ何だよね」
哀しそうに俯く魔王
「魔王様・・・」
(「ファビリアーノが倒されたって聞いた時より落ち込んでんじゃねーか!」)
今日も魔王様は空気の読める勇者達を待っておられます。