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れん  作者: 萌葱
19/20

19

とても、小さな変更なのですが、18話の最後をほんの少し変えました。

些細だとは思うのですが、どうにも違和感があったので…


 私の様子がおかしいと、図書室に来て早々、私に話しかけてきた柏木君に言われてしまった。

 何でもないって答えてたんだけれど、勘のいい彼には、私が瀬名君を好きだと分かってしまったみたいで、必死で否定したけれど、もう、これ以上は隠し切れないと…

「柏木君……そうなの、好きなの」


 だから彼には絶対言わないでって続けようとした途端、瀬名君が図書室の扉を開けた。

っ……」

 驚いた顔をして、そのまま行ってしまう瀬名君を反射的に追いかけようとして思いとどまる。

 追いかけても、言える言葉は何も無い、ましてや、誤解しないでなんてそんな思い上がった事は言えない…そう思って、扉の前で立ち止まると


「ねぇ、先輩、そんなになるまで自分の気持ちを否定して、瀬名先輩を避けまくって…、もしかして自分の気持ちから逃げてる? でも、いま、追いかけようと思ったそれは、先輩の本当の気持じゃないの? 良いの? 俺が好きだとこの先ずっと瀬名先輩は思うんだよ」

 そう言われて、必死に、距離を置いて殺そうとしていた思いが溢れ出すのがわかる…。

 このまま無かった事にするのを拒否するかのように

「先輩は優しすぎて、少し考えすぎてるんだよ、大丈夫、瀬名先輩はどんな形でも先輩の気持ちはちゃんと聞いてくれるって! 追いかけて話してきてみなよ」

 迷う私に言い聞かせるように、ゆっくり、けれどじっと私を見ながらそう言われて…。

 でも、ここは…? 委員である自分を思い出して戸惑う私に、閉館時間までは面倒みてあげるから追いかけて! 何て笑いながら

「瀬名先輩は、多分この横の階段を上った屋上の前の踊り場が一番確率高いよ」

付け加えつつ、背中を軽く叩かれて、私は思いっきり駈け出した。


 屋上の前の踊り場、柏木君が指摘したそこには本当に瀬名君が居て、壁に背を預けて座り込んだ姿勢で俯いて居た。

 何だかその姿が辛そうで、どうかしたのかと心配になりつつ

「瀬名君…?」

 声を掛けると、ピクリと肩を揺らして顔を上げて私を見ると驚いた顔をした。

「どうした?」

「どうしても聞いて欲しい話があって…、さっきの」

 誤解を解こうと話始めると

「…あいつに会いたくて当番変えたんだな、俺を避けていたのは、誤解されたくなかった…か?」

「ちがっ…」

「馬鹿だな…、一人で悩まないで、相談すれば良かったのに…」

 何故か苦しげに私を見つめて、そんな事を言われて初めて、きちんと告げない事はこんな辛いんだと知った。

「違うっ…」

 こらえきれず、涙が溢れてきてしまい、慌てた様に立ち上がった瀬名君は、触れていいのか迷うようにそっと私の肩に手を当ててくれて…そこ感じる体温が優しくて。


 やっぱり、私は瀬名くんが好きだって、そう思うと、伝えたくて苦しくて…、泣き顔を見られるのは恥ずかしかったけど、顔を上げて

「ごめん、瀬名君が好きなの」

 そう言うと、瀬名君は置物の様に固まってしまって…けれど、私は想いを吐き出したら今迄の苦しさがすっと消えて、何だか心が軽くなった気がした。

「お…まえ、さっき柏木に…」

 固まったまま、やっとそれだけ小さく呟く瀬名君に

「今日の放課後すぐ柏木くんが図書室に来てね、私の様子がおかしいって、どうしたのって聞かれて…話しているうちに、その…瀬名君が好きなんじゃ無いのって聞かれて、違うって言ったんだけど隠しきれなくて…、認めた途端ドアが開くから…」

 驚いた…、って続けようとしたら、ぎゅっと抱きしめられた。

「ごめん、少しだけ…」

「あのね、そういうの私が辛いと思わない? 諦められなくなるよ? 折角距離置いたのに…」

「ふざけるな! 諦めさせたり何か出来るか…、こうしている分だけ、お前が俺を好きになるなら、俺はずっとこうしている」

「はい?」

「俺はお前が好きなんだ、お前より前から、お前よりも…」

そういいながら、私の存在を確かめる様に更にキツく抱きしめられてしまった


後一話で終わりになります。

本当に此処までおつきあい有り難うございました。

最後までおつきあい頂ければとても嬉しく思います。

よろしくお願い致します。

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