桜の神様──公安刑事の夢を諦めきれない男が出向先で仲間と共に足掻く物語

　幼い頃に公安の警察官になろうと誓った兄弟の深雪と雅輝。深雪は「刑事になった」と雅輝に連絡を貰ってから、気づけば弟と音信不通となっていた。

　おそらく公安の刑事になったのだろう──と弟が着々と夢を叶えているなかで、深雪は警視庁捜査一課の匿名係で係長不在の窓際族を率いて他係のサポートをする毎日。

　そんな深雪にある辞令が下った。防衛省の自衛隊が軍に改変されることに伴い、新設される軍捜査局に捜査のアドバイザーとして無期限に出向するというもの。

　深雪が出向先で出会ったのは、深雪同様に不可解な人事命令を受けながらも上意下達に従うしかない自衛官たちだった。

　新しい仲間たちと出会い、半ば左遷のような辞令であることを認識して絶望していた深雪。出向先で出会った新たな窓際族と共にそれぞれが目指すべき場所に戻るため、協力して無理難題の任務に食らいついていく。

　深雪が置かれた場所で必死に咲こうとしている一方、雅輝にある事件の容疑がかけられ、兄弟の運命が大きく動き出す。

※このお話はフィクションです。実在の人物、組織、場所とは一切関係がありません。筆者の妄想です。