ポンニチ怪談 その94 国際××博覧会
「おお、入場者数100万をもうこえるとは、盛況だな」
「確かに、超えましたね、有り難いことです。100万とはいえライブ中継アクセスの人数も入ってますんで、実入場者数は10分の1程度でしょうが」
「そりゃそうだろうよ、会場のあの場所で使用可能な土地は前回のほぼ10分の1。ガス爆発やら、木製巨大オブジェの倒壊やらで、安全なところなどほぼなくなったからな。そのうえ、異常気象による台風に大津波、最後は地震だし」
「跡地といっても、ほとんど残ってませんからね、パビリオンのたぐいも。突貫工事で建てたとはいえ、ほぼすべて破壊されるとは。あの跡地にはカジノが立つとかいってましたけど、そんな大型遊興施設なんかとてもできないでしょう」
「その代わり、この半分バーチャルな××博覧会を開催してるんじゃないか。アクセスだけでもきっちり金を取れるようにしてあるし」
「そうでなければ開催する意味がありませんよ。これは前の大失敗の博覧会の赤字に事故などの賠償金の穴埋めに開催されているんですから。金を払ってでもアクセスしてもらわないと」
「その点は大丈夫だ、世界初、いやこんな博覧会は二度とないだろうよ。極刑博覧会なんてな」
「ニホン国を壊滅状態に追い込んだアホどもを集め、世界各地の拷問、刑罰を味合わせ中継するという実に画期的なものですからねえ。R12指定やらR15指定が入ってしまうのが難ですが」
「それでもかなりの人気だろう。こんなエグいというか、グロいというか、残酷なものをみたがる人がそんなにいるのかと心配する声もあったが。良くも悪くも予想を大きく外れたな、提案者の私としても結構なことなんだが、それにしても」
「まあ、こんな世の中になってしまいましたからねえ。気象災害に人口爆発に、資源の枯渇に。数十年前から危機を叫ぶ学者やリベラルなどの声を政府や財界が軽視し続けたあげくの大恐慌に、世界的災害。終末説が蔓延り、悪は裁かれる、いや裁かれねばならんって感じですから。世界をニホン国をぶっ壊した連中が阿鼻叫喚の叫びをあげると、天罰が下ったように思えるそうで」
「あのオーサカンの国際博覧会を強行したメイジの党やら、それに金を出したニホン国元与党のジコウ党の連中や乗っかったマスコミやら、自分勝手な経済理論モドキを推進したダケナカ・ヘイゾーやらは諸悪の根源。奴らが悲鳴をあげつつ、鉄の処女だの様々な拷問道具の餌食になるさまはまさに残酷な神の裁きというわけか」
「まあ、奴らだけではないですけどねえ。SNSでデマをまき散らしたダチバナだの、パワハラ知事たちだの、アノふんぞり返った偉そうに暴言を吐いた連中が泣きながら許しを請うというのが、かなりのカタルシスになるそうですし」
「それだけではない、世界各国の拷問道具を実地で試すことができることも売りの一つだ。どれが一番苦痛を長引かせられるか、グロテスクではないが効果的かなどが文献でよんだだけではわからないからな。なかには、どう使うか今回、何人かで試してはじめてわかった器具もあったそうだし」
「ああ、あのメイジの党の歴代トップに試させたアレですか。三人試してやっと最後のヨジムラで使い方がわかったようですね。前の二人は死にきれず、他の道具に回されたそうですけど」
「ああ、半死になりながら、例のアレに入れるというのはかなりヒドイのではないかという声もあったのだが、“いや、アイツらはニホンの西の大都市を壊滅状態にした張本人、アレのお陰で女性、若者、老人、いやありとあらゆる層が地獄の苦しみを味わったのだから”とね。悲鳴も上げられず、じわじわと刺されていくのを見て、歓声を上げた老人もいたらしい、相当恨みを買っていたんだな」
「まあ、わざわざ危険極まりない会場に足を運んだご高齢者ですか。わずかな新世界政府からの支給年金をすべてぶち込んで現地チケットを買ったそうですよ。一応避難船を待機させ、防護服なども装備しているとはいえ、会場は結構危険ですし、オマケに狭い。それでも生で奴らが罰せられるのをみたいっていうんですからねえ」
「先進国だの№1だの言っていた我が国が、新世界政府の管理下で主権も奪われ、再建もままならない。自暴自棄になる若者も少なくないしな。自分らの利権やらエゴやらを優先しすぎて国をぶっ壊した連中を罰して少しスッキリしたいっていうことなんだろう」
「それに目をつけた部長はすごいですよ。各国からそれ関係の道具、器具、装置を展示するだけでなく、奴らに実演させ、その効果のほどをみつつ、刑に処して見物料をとるというんですから。世界各国にある処刑見物を博覧会にしてしまうんですからね。死刑廃止論もありましたが、こういった前世界の権力者やいわゆるネトウヨ、マスコミ連中を罰して喜ぶような風潮は世界的に広がってるらしいですね。そういえば昨日、元アメリカ地域よりあのドランプやらそれをかついだアノン連中に一番効果的なのはどういったものか、という問い合わせが来ましたよ。イズラエルからの質問の回答と同じでいいですかね」
「うーん、そうだな。同じだとマンネリというか。精神性はともかく身体特に体格がなあ、ニホン国人は連中より小柄で太っているといっても…そうだ、ダチバナ・タカシやヨジモト芸能の芸人のなかで体型が似たやつらがいたなあ、あいつらにあの道具類を試すか」
「あの中東地域から届いたアレですか。秘密組織が裏切り者やスパイに使用したという。中央アジアからの出展のあの道具もいいんじゃないですか。それらを一度に使用して中継するというのは」
「うん、あの道具類は今回の目玉の一つにはなると思っていたんだ。SNSデマ吐きユーチューバー連中が拷問道具の餌食になるのを中継するなんて最高のブラックジョークだ、これはアクセス数、すなわち入場料がかなり期待できるぞ。さっそく展示入れ替えの準備だ」