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小6の夏

「やっばい雨降ってきた…」


俺は、友達と公園で遊んだ帰りに雨が降ってしまい、近くの屋根付きの駐車場で雨宿りをした。


「どうしよう、傘なんて持ってきてないし…」


ここから家までは少し遠いが、充分歩いていける距離だ。

俺は、仕方なく駐車場から出た。すると


ピカッ


どこからか強烈な光が放たれた。その光のまぶしさに俺は思わず目を閉じた。


「うわ、今のなんだったんだろう?雷でも降ったのかな?」


光がおさまると俺はそう呟き、急いで家に帰った。その後、雷特有のゴロゴロという音が鳴らなかったことに気づかずに。




カーンコーンキーンコーン


「それではみなさん気を付けて帰りましょう。日直さんお願いします」


「気を付け。さようなら」


『さようなら』


そうしてみんなはぞろぞろと教室を後にした。小6にもなると、帰りの挨拶も雑になってくる。最近、一年生の世話をするときにそう思う。


「さて、俺も帰るか」


そうして俺はランドセルを背負って教室を後にした。


いつもは友達と帰っているのだが、今日はみんな学校が休みだったり放課後に先生に呼び出されて説教されてたりで俺一人で帰ることになった。別に、もう六年生だし一人で帰れるけど、少し寂しい。


「でさぁ?その時川越先生が偶然教室の中入っちゃって~」


「え?まじ?運ないね」


近くの中学に通う女子とすれ違った。その中学は俺が小学校卒業後通う予定の中学なのだが、噂によるといじめとかがひどいらしくお母さんも心配していた。正直あの人たちを見ると俺でもやばいところなんだなとわかる。


そんなことを思いながらも下校していると、俺はとあるところで足を止めた。横を向くとそこには細い道がある。別に俺が物心ついた時にはすでにあったので何も不思議なことはないが、無性にこの道を通りたくなってきた。そういえば、人生でまだ一度もこの道を通ったことがなかった。

先生からは寄り道は良くないと言われている。でも、少しくらいいいかな…?


俺は、少しビビりながらもその道に足を踏み入れた。

その道は薄暗く、あたりの建物が所々ボロボロになっているので怖さを感じるが、逆に言えばそこ以外は何も変わったところはない。


「ねぇ君、こんなところで何してるの?」


後ろから声が聞こえた振り向くとそこには、学生服を着たお姉さんがいた。でも、見たことのない学校の制服だ。


「お姉さん、誰?」


「私?私は小鳥。君は?」


「知らない人に名前教えたくないんで」


「へぇ、真面目だね…」


小鳥さんは少し引きみな笑顔を浮かべながらそう言った。怪しさ満載だ。でも、どこか完全に怪しめない。それどころか、なぜか親近感もわいてきた。


「君、今家に両親いる?」


「いや、いないです」


「じゃあ、今留守?」


「妹がいます」


初対面、しかも怪しさ満載の人にここまでの情報を出してしまった。正直、自分が一番驚いてる。


「じゃあ、早く帰らないと妹さん、寂しくて泣いちゃうよ」


「なんですか?なんでそんなに早く帰らせようとするんですか?」


俺がそう聞くと、小鳥さんは少し困ったような顔を浮かべた。


ミーンミンミンミン…


突然、あたりのセミの声がうるさくなってきた。


「君、私が守れる範囲にいて」


小鳥さんがいきなり険しい表情を浮かべながら、カバンからテニスのラケットを取り出した。


ミンミンミン…


蝉の声は相変わらずうるさい、そう思った時


ミーンミンミンミッ…


いきなり蝉の声がやんだかと思うと、あたりの壁や木から、蝉が落ちてきた。そして、その蝉たちは体がえぐれていたり、真っ二つになっていたりで近づかなくても死んでいるということが分かった。


ブウォォォォ…


上空から、大きな羽音が聞こえてくる。俺は、上空を見て驚いた。

そこには、俺よりも確実に大きい蝉が五匹飛んでいた。


ミィィィィンミィンミィンミィン‼


その蝉の声は耳の奥に刺さるような痛みを感じる。


「はぁ!」


小鳥さんは、蝉に対してとびかかり、テニスラケットで攻撃を仕掛けた。


ミィン!


蝉たちも小鳥さんを迎え撃っている。


スパンスパンスパーン!


戦ってる様子は素早くてよく見えないが、その何やってるのかがわからないという情報だけ伝えてくる残像とテニスラケットで何かをたたく音が何かとんでもないことになっているという当たり前の情報を感じさせてくる。


ミィン…


ふと、後ろから何かいやな声が聞こえてきた。恐る恐る振り返ってみると、そこには案の定、例の大きな蝉がいた。


「マジかよ…」


ミィン!


蝉は勢い良くこっちに突撃してきた。俺は転がるようにそれを避けようとした。しかし


「った…」


特別武道とかボクシングをやってるわけではない小学生にとって、あれほどの速度で迫ってくるものを完全に避けるのは至難の業だ。左腕にかすってしまい、そこから血が出てしまった。


「クソッ、どうすれば…」


小鳥さんは自分のことで手一杯なようでこっちを助けられそうにない。俺一人でこいつをどうにかしないといけない。でも、どうすれば…


ミィン!


蝉がまたこっちに突撃してきた。今度は避けられそうにない。いや、そもそも避けること自体諦めてる。迎え撃つしかない。

俺は、蝉が突撃してくるタイミングに合わせてパンチを入れた。すると


ドシャ―ン!


蝉は頭からつぶれ、倒れてしまった。


「うっわグロッ…」


頭からつぶれた蝉の死骸を見て、俺は吐き気がした。


パコーン!


「君、大丈夫⁉」


他の蝉を倒した小鳥さんが俺の方にやってきた。そして、俺の殴った蝉の死体を見ると少し笑った。


「やっぱり、君も選ばれてたんだ…」


「え?選ばれてたってなんですか?」


「いや、君みたいな小学生はまだ知らない方がいい。まだ、早すぎる」


「いや教えてくださいお願いします!」


俺はそう言って頭を下げた。


「わかった。じゃあ、君があの蝉を殴り潰せた理由を少しだけ教えてあげる」


小鳥さんは、いやいやそういった。


「君、この前の雨の日に何か変な光見なかった?」


「あ、はい。見ました」


「その光を認知できた人って実はごく少数なの」


そういえば今日友達に光の話をしても知らないって言われたな…


「そして、その光を認知した人、及び浴びた人がとある力に目覚めたの」


「とある力?」


「そう。その名は【エスカトロジー】君たちぐらいの子には超能力と言ったらわかりやすいかしら」


「超能力…もしかして、俺それに目覚めたの?」


「そういうこと。超能力って言っても、人によって内容は様々あるの。炎を出す人もいれば、水を出す人、エスカトロジーを使う人の数だけ内容も様々よ」


「え?じゃ、俺の能力って何なんですか?」


「わからないわ。別に私はその道の専門家じゃないからね。それじゃあ、そろそろお別れだね」


そういって小鳥さんはテニスラケットをカバンに戻した。


「まって!まだ聞きたいことが…」


「いったでしょ?私が教えるのはあなたの能力についてだけって。私が知ってることは全部話したわ。それとあと、二つだけ守ってほしいことがあるの」


「守ってほしいこと?」


「まず一つは、このことは誰にも言わないこと。大きな蝉に襲われたことも、エスカトロジーのことも、私のことも」


「もう一つは?」


「もう一つは、二度とエスカトロジーについて関わらないこと。この二つは守ってね。それじゃあ」


そういって小鳥さんは走ってどこかに行ってしまった。追いかけようとも思ったが、足の速さを見て不可能だと察してあきらめた。


エスカトロジーか…小鳥さんは関わるなって言ってたけど、正直気になってしょうがない。超能力持ってると小学生が知ったら、そのことについて詳しく知りたいと思うのは当たり前のことだ。小鳥さんには申し訳ないけど、家帰ったら早速調べてみよう。あ、でもやっぱり、みんなには内緒にしといたほうがいいかな?それだけは守ろう。




その後、彼はエスカトロジー、そしてそれに絡んでくるある組織について知ることとなり、一人で戦うことになるのであった。



読んでくださりありがとうございます。

そして、活動一周年を無事に迎えられました。ありがとうございます。

あまり知名度もないし、固定ファンもそんなにいないので特に何もしないでいいかなと思いましたが、せっかくなので元・3-Dのとある人の過去をざっくり、更には序盤も序盤ではありますが記録してみました。

今思えば、去年の今頃、「クリムゾンディサピア」で海野宅人のことを観測、及び記録したのが始まりでした。

当時は「記録」ではなく「考えて書いている」と認識していましたが、今でははたから見たらやばい人になってしまいました。まぁ、つい最近のことですが。

それから、「化け物祓い」や「転生ハイファンタジー」、「1-5異世界転移学級日誌」などを記録し、そして今「元・3-Dの命がけ初見プレイ」を記録しています。正直、一年前の自分にこのことを伝えたら「ちゃんと最後まで書けや」と怒られると思います。ごめん、過去の俺。

さて、そんなわけでありえないほど記録が増えてしまったのですが、暁たちが脱出するまではあの物語を記録し続けると決めましたのでしばらくは一途に暁たちの物語を愛していきます。

最後になりましたが、いつも読んでくださっている皆さん。そして、一度でも僕の記録を見てくださった皆さん。本当にありがとうございます。これからも暁たちの記録を見てくださると幸いです。

一年間ありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いします。

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