案内人と迷い人
第二話 案内人と迷い人
小さな港町スファ 3人のを降ろした汽車が徐々に島を離れていく。
「今年は3人かね?」
車掌は窓の外の海を見た。
リン、ライゼン、ドリーの3人は港のバス停に並んでいる。
「ねー 何でこんなにここのバス停には人が並んでるんだろうね」
「ん?そりゃおめぇ都市に行きてえからだろ?」
リンとドリーが話をする中、ライゼンだけが首を傾げていた。
「ライゼン、どうしたの?」
「あ、いやな、確かにドリーの言うことはわかるんだが、それにしては重装備すぎやしないか?」
3人が目を見やると列に並んでいる人々は重装備をしているものが多い。
「それにな、そもそもチェイサー試験とはどこで行われてるのか具体的な場所を知らないんだ。二人は知っているのか?」
「いや、俺も知らない」
「お前ら二人は何を言ってんだよ。だからこそ情報集める為に都市に行くんだろ?」
ドリーが自信満々に鼻を鳴らす。しかし、ライゼンは依然として眉を顰めた。
「そもそも情報収集が出来るだけの条件が揃っているならきっと試験参加者はもっと多いはずだ」
「チェイサー試験ってそんなに参加者いないの?」
「リン、おめぇ知らねえのか?チェイサー試験ってのはこの時期に行われるって噂しかねえ。それに噂ではチェイサー試験に参加できるのは一万人に一人、受かるのは五年に一人の確率らしいぜ」
「なるほどね、そんなにすごい試験だったのかぁ」
「おめぇはほんとに何も知らねぇんだな。よく来れたな」
「まぁね」
リンが微笑む。するとライゼンが列から抜ける。
「どうしたんだ?」
「俺はこのバスには乗らない」
「は?」
ドリーが眉を顰める。
「だから、俺はこの町にいることにする」
「んじゃ俺も」
続いてリンも列から抜けた。
「おいおい、二人とも冗談だろ?俺の話聞いてたか?情報が足りねえから情報収集をだな、」
「それがそもそもの間違いなんだよ。俺たちはもう既に必要な情報を持っているはずなんだよ」
「意味がわからん」
ドリーは列に並び続ける。
「それじゃあドリー試験会場で会おうね」
リンは手を振り、2人はお構いなしに列を離れた。2人は少し歩いたところにあったベンチに腰掛ける。ベンチには2人の人が間隔を開けて座っている。
「それでさ、ライゼン。どうして情報が足りていると思ったの?」
「よく考えてみると情報収集って考えが変なんだ。情報収集できると言うことは情報を持っていて提供してくれる者が複数存在していることになる。そうなると俺たちがその情報を全員が全員全く掴めないと言うことはないはず」
「なるほど」
「それにそんなに時間はあるのだろうか?時期、場所が唐突に告知されていると言うことはそれ自体がタイムリミットと考えるのが妥当。つまり、そんなに多くの時間はかけられないと言うことだと思う」
「なるほどね。納得」
「リン、君は何で俺についてきたんだ?」
「感!」
首を傾げたライゼンに、リンは笑顔で返事を返した。2人はベンチに座りながら空を見る。青く広がる空に2羽の小鳥が飛んでいる。
「そう言えばさっき情報は揃ってるって言ってたよね?」
「ああ。多分だけど」
「お互い知ってること整理しようよ」
「知っていることをか?多分同じ事だと思うが、」
「俺あんまり詳しくは知らないから一応」
「ああ、わかった」
2人は静かに顔を見合わせる。そして、ゆっくりと声を合わせ確認を始めた。
「1、スファと呼ばれる港町
2、10月末
3、老婆が鍵」
「3、お菓子が沢山」
リンとライゼンの声が食い違う。
「ん?リン、三番は老婆が鍵じゃないか?」
「いや、俺が教えてもらったのはお菓子が沢山だったはずだよ」
ライゼンは少し考えると大きな声を上げた。
「そうか、そう言う事だったのか!」
「え?何?」
リンが眉を顰める。
「リン、これは情報協力が必須だった。盲点だった。確かに同じ受験者は同じ情報を持っていると勝手に思っていた。それに受験合格率を考えライバルと協力しようなどとは到底考えつかない。だけどそれが盲点だったんだ」
「なるほど!」
リンの顔も明るくなる。ベンチに座っていた1人が立ち上がり立ち去った。
「それじゃあすぐにこの町の地図を入手しよう」
リンとライゼンは立ち上がり、郵便局へと向かった。ベンチから最後の1人が立ち上がり歩き出した。
2人が郵便局に着くと地図をもらい、広げた。
「何を探せばいいの?」
「恐らく駄菓子屋だな」
「駄菓子屋?」
「俺たちで食い違った情報から導き出されるのは恐らく駄菓子屋だと思う」
地図から駄菓子屋を片っ端からピックアップしていく。
「ちょっと待って。この町の駄菓子屋多くない?」
「ああ、全部で百一。小さい町にある量じゃない。ここに載っていないものまで考えるととてもじゃないがいけないぞ」
二人は地図をしまうとベンチへと戻った。
「どうしようか」
「んー手当たり次第に潰していくしかないのか、、。それとも、まだ情報が足りてないのか、」
ライゼンはあたりを見渡す。しかし、受験者らしき人は見当たらない。
「そもそも、同じ受験者がいたとしても正しい情報を教えてくれるとも限らないしな」
二人は再び空を見上げる。いつも間にか日が傾き始めていた。ぐー 2人の腹の虫がなく。
「そんなんで試験会場につけるのか?」
2人の目の前に肉まんが姿を現す。その手を辿るとそこにはドリーが立っていた。
「ドリー!」
リンは大きな声を上げる。
「よっ!腹が減っては何とやらだぜ!」
「戦ができぬだろ」
ライゼン言葉を放つと少し笑みを浮かべた。2人は礼を言い、肉まんを手に取ると今わかっている情報をドリーに共有した。
「なるほどな。それじゃ、俺も力になれねぇな。俺が知ってる情報も三つ目はお菓子が沢山だったからよ」
2人の顔が少し暗くなる。するとリンがベンチから立ち上がった。
「んじゃさ、明日片っ端から駄菓子屋当たろうよ!俺たちが手分けしたらきっと間に合うよ!」
3人は顔を見合わせると口角を上げ、ホテルへと向かった。