行間
冷静になれなくて一人頭を掻く
部屋にこもっていてはやりきれないままだ
仕方なく外に出て
閑散とした夜を独り歩く
浮いた油みたいに不均衡に
満月はひどく霞がかっていた
なぜ
誰も見えない
なぜ
同じところに立てない
なぜ
言葉が通じない
なぜ
心が通じないんだ
昼間に降った雪は固まって
踏んだらひび割れの音が鳴ってしまった
暗闇といえど風は過ぎて
ジャンパーの裾はヒラヒラ揺れ
慌てて抑えたが間に合わず
ドロドロの俺の中身が こぼれる
なぜ
皆と違ってる
なぜ
なのに平凡だ
なぜ
悲しみが湧かない
なぜ
死ぬ気が湧かないんだ
遅効性の致命傷を負う
応急処置は無意味になって
倒れることもできなくなった
フラフラして足がもつれる
儚い、とか
そんなに綺麗じゃない
ただ無様に
脆いだけ
一個ずつ臓器が消えてく
喜劇か悲劇か分かりやしない
なぜ
全部不意打ちなんだ
なぜ
全部忘れられないんだ
なぜ
それでも悪びれないんだ
なぜ
視界がぶれてしまうんだ
自分が他人になれないのは
一体なぜなんだよ