9話 同棲九日目 深夜の彼くんの解釈
彼女は疲れたのか、スーツ姿で眠ってしまった。
すうすうと寝息を立てている。
彼女を持ち上げて、ベッドへと運ぶ。
スーツだけはしわにならないように脱がせて片づけておいた。
キスか…。
僕は自分のくちびるを指でなぞった。
同棲してから、キスは初めてのことだ。
お互い、引っ越し作業で落ち着いておらず、彼女の仕事も忙しい時期のようなので、こういったことはできていなかった。
土曜日と日曜日がもうすぐだ。
休みの日は二人でどこかに…。
「…ふう」
作った料理は明日食べることにしよう。
食事の片づけをし始めた。
結局、この行為はどういうことだったのだろう。
秘密のある女性はモテるとどこかで聞いたことがあるが…、うーん。
キスができたからOKってことか?つまり、彼女は、同性愛者ではない…?
…やはりしっかりと言葉で聞きたい。
ここだけはうやむやにすることはできない。
他にも問題がある。
もし、小田さんがこういった本を作るということは、その作ることに時間がとられる。
必然的に自分との時間が減るわけだ。
ましてや働きながらだ、無理があるだろう。
結婚するならば、そういった『時間の使い方』や『僕たちの在り方』も決めておくべきだ。
放置しておくとトラブルの種になりやすい…と聞いたことがある。
小田さんはそういったことをまだ考えていないのだろうか?
…まあ同棲しようって言ったのはこっちからだし…そんなものか。
僕は彼女の寝顔を見た。
何しても起きそうになさそうなくらい熟睡している。
僕も急ぎすぎたのかもしれない。
時間はまだたっぷりあるはずだ。
これまでじゃなくてこれからでいられるようにしよう。