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6話 出会う前 小学生の頃 前半

幼いころから、妄想することが好きだった。


現実より理想の男。現実より理想の世界。

現実より美しく魅力的なものが私の頭を支配した。

一番美しくかわいいものだと思った。


しかし、理想を伝えようとして、周りに話しても伝わらなかった。



『夢見すぎだよ』

『そんな男いません』

『小田さんって変な子ー。それよりほかのことで遊ぼうよ』



両親、親族、学校の友達や先生や先輩、後輩……誰にどれだけ話しても、私の理想は伝わることがなかった。



「あ、これは伝わらないな」



そう悟ったのは小学生のころだった。

ストンと心の中で、心の中の何かが落ちていった気がして、だんだんと自分の好きなことを話さなくなった。



次第に私の頭の中は、自分の話したい理想のことではなく、ありふれた現実世界のことを話すようになった。



好きな服、流行りの本や漫画やアニメーション、日常生活の出来事。

どうでもいいこと、なんでもわかりやすいことを積極的に明るくおもしろおかしく話した。



そうしたら、友達が増えていった。4年生の友達、5年生の友達、6年生の友達…私の周りは賑やかになった。


楽しかった。笑いあって冗談言って、ドッヂボールなんかで遊んだりお買い物したりして。先生や母親に褒められたりして、誰の目から見ても私の生活は充実していた。




だけど私の心の何かは落ちていくばかりで、充足されることはなかった。

次第に、落ちていった部分が小さな穴になって、時間が経って成長するたびその穴は大きく広がっていった。けれど私が何か痛みやストレスを感じることはなかった。


ああ、これが大人になるということで、普通なんだなって思った。




『今日は将来の夢について書きましょう!』



学校の担任の先生が授業の中で言って、プリントが配られた。

ふと将来のことを考える。



「何をやってるんだろうな、私」



考えてみたが結局思いつかず、



「将来の夢は立派な大人になることです」



とクラスのみんなの前で発表して、プリントには当たり障りのないことを書いた。



その結果、担任の先生や周りには褒められて、悪い気はしなかった。

良い気分にもならなかった。


大人って何だろう。


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