stage:8 一億の命
生存者:残り190人(95組)
「お前は、これ持ってろ。」
と、彼から渡された物はハンドガンとその弾。そしてバタフライナイフに手榴弾。
どれも軽い物で、きっと彼は私に気を使ってあえて軽い物を選んでくれたのだろう。
「銃の使い方分かるか?」
「…たぶん大丈夫。」
「そっか、じゃあ安心だな。」
と、彼が持った武器はマシンガンを中心に小さい銃や刃物とした色々な武器。
なかなか重そうである。
けれど、彼はものともせずにそれを持っている。
その上、
「荷物重くないか?重かったら言えよ。」
「うん。」
私の荷物まで持つと言うのだ。
内心、すごいと感心してしまう。
「じゃあ…覚悟はいいな?」
「だ…大丈夫。」
「なら行くぞ。」
ガチャ……――
ケイトは死の舞台への扉をゆっくり開けた。
「由美……。」
同時刻。
立花宅のリビングで、直幸は頭を抱えていた。
突然姿を消した愛しい娘。
由美が寝ていたはずのベットの上には、
『先日のお送りした手紙通り、立花由美様はお預かりいたします。もし、ゲーム中に立花由美様がお亡くなりになられた場合、我々が貴方様に慰謝料として一億ほどお支払いいたしますのでご安心を。』
と書かれた手紙しかなかった。
「ふざけんな!!金なんていらねぇ!!由美を…由美を返せ!!」
直幸は叫びながら、荒々しくテーブルを叩いた。
俺は、由美が全てだった。
こんなこと言えば、子離れ出来ていないなど罵られるかもしれないが、俺は由美を愛している。
由美がいてくれるからこそ、俺は今日まで頑張れた。
けれど、それがどうだ。
得体の知れない連中に奪われ、生きて戻ってくるかも定かではない状態。
それに、ゲームだぁ?
死んだら金払うだぁ?
ふざけんな!!
由美をもて遊びやがって…
直幸は、いつもは夜しか飲まないビールを、昼にそれもビンのまま飲み始めた。
口に入りきらないビールが、滴り落ちる。
「畜生!!」
由美…由美…
彼は中毒のように、二本目のビールに手をつけた。