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デスゲーム  作者: 夜市
8/12

stage:7 準備

生存者:残り200名(100組)



パァン――


「ぎゃあぁ――!!」



あれから、ケイトは窓から外の様子を伺い、私は必要な物だけを用意されていた大きめのリュックに詰めていた。


その間、幾度となく、外から銃声や悲鳴が聞こえてきて、その度に私は体をビクつかせ、涙が溢れ出しそうになるのをこらえた。



「早川君、入れ終わったよ。」


暫くして、準備を終えた私は、窓の前に立つケイトに言った。


「そっか。じゃあ、俺は武器のチェックするから、交代してくれ。」


「うん。」


「あぁ、それと…――」


「何?」


「ケイトでいいよ。」


ケイトは、ポンッと私の肩を叩くと武器を選び始めた。


「分かった。」


私も彼の言葉に頷くと窓の前に立った。




パァンパァン――


私が見張りをしている間も、銃声が鳴り止む事はなかった。

ここから見える森や山、そして、その向こうには広大な海は、どれも美しく、そんな場所で殺し合いをするのかと思うと、私は胸が痛くなった。


どうして、こんな事になってしまったのだろう。


どうして、こんな事に巻き込まれてしまったのだろう。


なにも悪い事はしていないのに。


何不自由なく、楽しく過ごしていたのに。


どうして?


私はそう思いながら、それを眺めた。




ピンポンパポーン



「「ッ!?」」


そんな時、今の今まで静かだったスピーカーが音を発した。


それに反応した私とケイトは、一斉にスピーカーに目を向ける。


『午前10時現在、五組失格。』


スピーカーはそれだけ発すると、また静かになった。


"五組失格"つまりそれは、10名の人が死んだ…と言うことになる。



「もう、五組も消えたか。早いな。」


ケイトはそれだけ言うと、再び作業を続けた。

特に気にしている様子もなく、念入りに銃を見ている。


私は、そんな彼をチラリと見た後、私はまた窓の外へ目をやった。




彼にとっては、この出来事はなんの変哲もない"殺し合い"という名の遊びなのかもしれない。

だけど私は、彼のように強くはないから、遊びとも思えないし、そう簡単に人の命を奪う事も出来ない。


こんな私は、弱いのだろうか。


ダメな人間なのだろうか。


いずれにせよ、彼の足でまといも、死ぬのも嫌だ。暫くこの事については苦悩しそうだ。


「はぁ…。」


私は小さくため息を吐いた。




「由美、そろそろ行こうか。」


最後にハンドガンを念入りに見ていた彼が、立ち上がって言った。


「うん。」


私は返事をすると、窓から離れ、彼の元に近寄った。


「ところでさ…。」


「ん?」


「お前それで行くつもり?」


「え?……あ!!」


彼が苦笑混じりに私を指さすので、何事かと思って自分を見た。


私は忘れていた。

寝てる間に誘拐された事を。

今着ている服は薄いパジャマだけだということを。

このままじゃ、確実に足手まといだ。


「あ…え…どうしよう!!私、パジャマしか持ってないよ!!」


赤面しながら、私は慌てふためく。

しかし、一方のケイトは、


「プッ……心配しなくてもちゃんと用意されてるみたいだぜ。つーか、お前気付いてなかったの?マジ、おもしろすぎ。」


クローゼットを指差すと、お腹を抱えて大笑いしていた。


「……もう、早く教えてよ!!」


それに対して腹を立てた私は、荒々しくクローゼットを開けた。

クローゼットを開けると、そこには、


『立花 由美様専用』


と書かれた袋と寄り添うように置かれた靴があった。

袋を開けると、自分にピッタリのサイズの上下の服が入っていた。

見た目は、まさに軍隊仕様のものだった。

そして、その隣には


『早川 ケイト様専用』と書かれた袋と大きめの靴が置いてあった。

きっと彼専用のだろう。


「ケイト、あなたのもあるわよ。」


私は、そう言うと備え付けの脱衣場でそのまま入った。


それから、脱衣場のドアの向こうでクローゼットの開く音が聞こえた。

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