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デスゲーム  作者: 夜市
2/12

stage:1 いつもとは違う物


AM:7:00


いつもの時刻に起床。

ベットを降り、手櫛で軽く乱れた髪を直す。

そして、台所に向かうと、手早く朝食を作る。

これも、母親のいない私にとってはいつも通りのこと。


「オイ、由美。」


「はぁい。」


それから、父に頼まれ外へ新聞を取りに行く。

これも、いつも通り。

けれど、郵便受けを開けると、あるものがいつも通りではなかった。

とりあえず、新聞ともう一つの想定外の物を手に取り、家の中へ入った。


「なんだ、それは?」


父に新聞を渡すと、私の手の中にあるもう一つの物を問う。

黒くて薄いソレは手紙のようで、表には『立花 由美様』と記されていた。


「さぁ?郵便受けに入ってたの。」


「こんな時間にか?気味悪いな。」


「確かに…。」


「で、内容は?」


「ちょっとまって…。」



私はそう言うと、手紙の封を切った。


『おめでとうございます。あなたは当選しました。』


中には、そう記された真っ黒なカードだけが入っていた。



「新手の詐欺かなんかだろう。最近、署でもそういう事件を耳にするからな。」


「ふーん。」


「由美も気を付けろよ?」


「うん。」


私はそう返事をすると、手紙をゴミ箱に捨てた。




それから、何事もなく平和な日々が続いた。

父の言う通り、あれは詐欺だったらしく、なんの音沙汰もない。


流石、刑事だけの事はあるな。と感心しつつ、夕食の際、父の顔をマジマジと見た。



私の父、立花直幸はもうご存じの通り警察官だ。

本人いわく、優れた知能と運動神経をもっていたため、直ぐに警察官になれたと言っていたが、そこは少々疑わしい。

けれど、今は刑事としてがんばっている父は私の誇りだった。

しかし、実の所、父と私は血が繋がっていない。

私が十歳の頃、孤児院にいた私を、当時二十五歳だった父が引き取って、この六年間立派に育ててくれた。

だから、私も何不自由する事なく過ごせていたし、血の繋がりは無くとも、本当の親子のように思えた。


「ん?どうした?」


ご飯を口にしていた父が、私の視線に気付いて言った。


「べつにぃ。」


と私は笑いながら、食事を続けた。すると、父は、


「なんだよ、気になるな。」


と笑いながら言った。


今日も、いつもと変わらない平和な1日だ。




しかし、この時の私は、これから起きる恐ろしい出来事をしるよしもなかった。

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