stage:10 殺人への恐怖
生存者:残り190人(95組)
「いたぞ!!銃を構えろ!!」
いきなり、ケイトはそう叫びながら甲冑を蹴飛ばした。
私は何事かと思い振り向く。
「残念だったな、ゲームオーバー。」
するとそこには、兜の取れた甲冑から顔を出した同年代くらいの横たわる男の人と、その人の頭に銃を突き付けるケイト。
あぁ…あの人…殺されるんだ。こんなくだらないゲームのために命を落とすなんて…。
私は彼等から目を逸らした。
これ以上見たくない、そう思ったからだ。
そして、遠くを見つめる。
あぁ…そういえばお父さんどうしてるかな…。
ちゃんと朝ご飯を食べたかな?
ちゃんと朝ご飯の用意出来たかな?
ご飯は自分で炊けたかな?
不器用な父だから出来てるだろうか不安だ。
それに、私がいなくなって大騒ぎしているのではないだろうか。
こんな時に不謹慎かもしれないが、それでも心配で堪らない。
でも、それよりも…早く帰りたい。
帰りたいよ…。
「あれ?」
そう思いながら、私は何気なくケイト達から少し離れた甲冑を見た。
すると、キラリと何かが光っている。
よく目を凝らしてみると、
あれってまさか…
女の人が、震えながら銃を構えているのが見えた。
彼女の狙いはきっとケイトだ。
銃口がハッキリと彼を捉えていえている。
しかも、肝心のケイトは気付いていない。
このままじゃ殺される。
ケイトが…殺される…。
殺…され…る。
ケイト!!
「ケイト!!危ない!!」
「え?」
パァン―――
私の叫び声と、銃声が辺りに響いた。
気づけば私は、銃を女の人に向けて 引き金を引いていて。
「あ゛…う゛…あ゛ぁ゛…――。」
女の人は、唸りながらゆっくりとその場に崩れ落ちた。
「ハァハァハァ……。」
妙に鼓動が速くなる。息が荒くなる。
妙に体が震える。
妙に……いや、死ぬほど恐い。
撃った自分が…恐い。
恐い恐い恐い恐い恐い恐い。
「……恐いよ…。」
私の目から一粒の涙が零れた。