stage:9 動く甲冑
生存者:残り190名(95組)
ガシャン――
「ひっ――。」
ご忠告通り、部屋を出ると扉に鍵がかかったらしく、完全に中に入れなくなっていた。
由美は音に驚いて少し悲鳴を上げていたが、すぐに何事も無かったように俺の後ろについてくる。
そして、使ったことも無い武器を構え、後ろを注意深く見ていた。
廊下の造りは、部屋の造りと打って変わって中世の城のように思えた。
所々にある今にも動き出しそうな甲冑に、得体の知れない奇妙な絵。
それに、床には血のようなものがこびり付いている。
正直、気味が悪い。
そう感じながらも、俺と由美はゆっくり歩みを進める。
カシャ――
暫く歩いた頃、何かが動く音がした。
「今…何か聞こえなかったか」
「え?…別になにも。」
由美に聞いても、彼女は聞こえていないらしい。
気のせいか。
そう思ってまた進もうとしたが、
カシャ――
また、あの音が聞こえてきた。
しかも、今度は近くで。
「動くな。」
「え?」
「…誰かいる。」
俺は由美にそう伝えると、辺りを注意深く見渡した。
カタカタカタ……
すると、自分に一番近い甲冑が震えていた。
銃を構えながらゆっくり近付いてみると、甲冑の目のあたりからギラリと光る目が見えた。
「いたぞ!!銃を構えろ!!」
俺はそう言って、甲冑を蹴飛ばした。
ガシャンッ――ガラガラガラ―――
と甲冑が音を立てて倒れ、衝撃で甲冑の兜が外れる。
「ひぃっ―――」
中にいた者…いや、男が声を上げた。
「残念だったな、ゲームオーバー。」
そう言って俺は男の頭に銃を突きつける。
「まっ…待ってくれ!!」
「あ?」
「てっ手を組まないか?あんた達とだったら生き残れそうなきがする!!」
「なんだと?」
「俺…いい考えがあるんだ。」
とニヤリと笑うと、男はチラッとどこかを見た。
「ケイト!!危ない!!」
パァン――――
由美の叫び声と銃声が重なった。