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手負いの勇者を倒して、最弱から最強ダンジョン  作者: たっぺん
【第一章】〜ダンジョン製作〜
2/5

2  ダンジョン大変革

結構サクッと書いてます。描写不十分や誤字脱字、矛盾等ある可能性があります。気付けば訂正を行いますが、読まれている時に残っていれば申し訳ありません。

 勇者が死に、大量の魂が手に入った。初めは魔境の液晶を見て放心状態になったが、次第にそれは喜びへと変わり気付けば雄叫びをあげていた。


 そしてダンジョンへと戻った俺だが、既に勇者の遺体はなく、奴が吐き出した血ですら綺麗さっぱり消えていた。理由ならわかる。ダンジョンが吸い取ったんだ。ダンジョンは魂を得るために死んだ者を吸収する。奴が消えたのはそういう事だ。知っていた分驚きはなかった。


 それから自室に戻り、急な展開に疲れたのか、はたまた勇者の威圧で参っていたのか、理由はとにかく、大量の魂を手に入れた事も勇者を殺したという現実も、全てを後回しにして、ベッドに吸い込まれるように眠りに就いた。


 「やっぱり夢じゃないんだよな……」


 俺は液晶を見て魂の所持数の項目を見ながら、昨日の事を思い返していた。


 ーー

 【魂】15506。

 ーー


 本当に信じられねぇ。この俺が……百の単位すら見たことない俺が……万超えの魂を持ってるなんて……。あの勇者。一人で一万の魂を持つ実力だったって事だよな。


 負傷してなかったらと思うとゾッとする。でもあのタイミングで死んだって事は毒がかなり回っていた事になる。もしかするとバエル様に負わされた傷の痛みで毒が回るのに気が付かなかったとか?


 それなら既に死に掛けてた事になる。いや、まぁ見た目は血まみれだし、致命傷なのは間違いなかったけど、あいつの態度から見てそんな感じはしなかった。痩せ我慢だったとしたらヤバイな。本物のバケモンだ。俺なら死ぬまで悶絶してる自信がある。


 「よくよく考えたら、あいつが死んでなかったら俺やばかったよな」


 だってそうだろ? 俺の帰る場所はここしかない。あいつがあのまま解毒して、 俺が戻るまで待ち伏せされてたら終わりだ。それにもし居なくなっていたとしても、場所はバレてる。どのみち俺は殺される事になる。


 やべぇ。後先考えないってこういう事か。生き残るために無茶しすぎたよ……。


 「まぁ何はともあれ、結果が全てだ。ポジティブに行こう! 現に倒せたわけだしな」


 終わった事はもういい。そう自身に言い聞かせ気持ちを入れ替える。次からは気を付けようと心に決めながら……。


 「とりあえず今日は俺のこのクソ雑魚ダンジョンの大変革の日だ! やっと俺の道を切り開ける」


 魔境を起動。液晶が現れメニュー画面が出現する。


 ーー

 ■ダンジョンステータス。

 ■ダンジョン進化。

 ■魔物召喚。

 ■装備召喚。

 ■魔道具召喚。

 ■アイテム交換。


 まずはダンジョンを拡大からだな。いつまでもこの小さな洞窟って訳にいかないしな。それに俺はこの一年でもし魂があればって色んなイメージをしてきたんだ。早速試してみるか。


 『ダンジョン進化』を指先で触れ、それに液晶が反応し、画面が切り替わる。


 「ふむふむなるほど。ヤバイな……金銭感覚を忘れるような感覚だ。どれも安く感じてしまう。いくら大量に持っていると言っても無駄遣いは避けないとな」


 今までは高いと思っていた表示が、途端に安く感じる違和感を感じながら液晶を操作していく。


 まずは、メインの洞窟の拡大だ。小さな洞窟から大きな洞窟へと成長させる。これが30魂。ダンジョンの壁がググッと動き出し、小さな空洞のようだった部屋が物凄く大きく成長した。


 「十分だな。ちょっと大きくなりすぎくらいか。まぁその分魔物を多く配置出来るし、問題ないな。形は丸型のままでいいか」


 次に、繋がる道を作る。この丸型の部屋の左右に人五人程並んで通れる道を設置。一本20魂。そして更に大きな洞窟をその先に各一つずつ作成。計160魂。今の状況は横並びに丸型の大きな洞窟が連なっている感じだ。


 そして生活スペースを一旦消し、各三部屋の縦に三連洞窟を作成。300魂。通路付きの小さな洞窟サイズの部屋が縦方向に出来る。それらを全て大きな洞窟へと変える。270魂。そして左右の奥に真ん中へ戻れる道を作成40魂。


 これで部屋数は12。道があるのは入り口から左右。突き当たりに真ん中へ戻れるように道を作り、更に真ん中のルートの奥に俺が居る部屋を作る。勿論大きな洞窟で通路もだ。マスター部屋とでも言うかな。


 とりあえずこんな感じかな。説明すると入り口から入って、通路が三本。直進と左右に一つずつ。左右に行った場合、そこから縦に三連がつづき、真ん中のルートへ戻る道がある。直進は縦に三連。三連目の部屋にさっきの左右からのルートの道と縦へと続く俺の部屋って感じだ。


 そしてここから俺が考えていた事を加える。まず、入り口の洞窟にはモンスターを配置はしない。どのルートを選択するか悩ませるためだ。直進ルートを選んだ場合最も部屋数が少なく俺の元へと辿り着ける。だからこそ、このルートは強い魔物で埋め尽くすつもりだ。そして左右。この左右のルートは経由する部屋数が多い。だからあまりコストのかからない魔物を配置する。


 だが、余りにも有象無象だらけとはいかない。各最終エリアにはボスモンスターを配置したいなと思う。勿論真ん中ルートは一番強いモンスターを置くつもりだ。


 そしてここに罠がある。左右は部屋数が多い分、難易度は低めに考えられるが、実はそうじゃない。先に説明した通り、構造上必ず真ん中のルートに戻るようになっている。つまり、左右の最終エリアでボスモンスターを倒した後、最も強いボスモンスターの部屋へと移動するんだ。実質一番の当たりは真ん中ルートって訳。


 「うっし。とりあえずダンジョンはこれでよしっ! 次は魔物召喚だ。初めてだから緊張するな」


 『ダンジョン進化』の項目から戻り、次に『魔物召喚』へと触れる。またもや画面が切り替わり召喚の項目が出現する。


 ーー

 ■魔物召喚■

 ・ノーマル召喚。 20魂。

 ・レア召喚。 50魂。

 ・スーパー召喚。 100魂。

 ・レジェンド召喚。 500魂。

 ーー


 うーむ。やっぱ召喚ってランダム性高いよなぁ。ある程度、魂の消費量でランクを決められるとは言え、うっかりしてるといくら魂があっても足りなさそうだ。


 ある程度理解はしているが一応詳細を見てみる。


 ーー

 ・ノーマル召喚ーーランクG〜Eまでの魔物をランダムで排出。

 ・レア召喚ーーランクE〜Cまでの魔物をランダムで排出。

 ・スーパー召喚ーーランクC〜Aまでの魔物をランダムで排出。

 ・レジェンド召喚ーーランクB〜SSランクまでの魔物をランダムで排出。

 ーー


 うわぁ……。レジェンド召喚は、確かにSSランクが出たら嬉しいけど、排出ランクが多い分、闇を感じるな。でもボス部屋を任せるのはやっぱレジェンド召喚で出すしかないよなぁ。


 「まずは、レア召喚くらいからやってみるか。まだ魂には余裕があるし」


 とりあえず無難を取り、レア召喚へと触れる。すると俺の前の地面に魔法陣が現れ光り輝く。


 「ウォォォォン」


 輝きが消え、魔法陣から現れたのは一匹の狼型の魔物だった。毛並みは青色だが所々に白い毛が混じり、どこか高貴な感じを漂わせている。前足に鋭い爪がギラリと輝き、岩をも切り裂けそうな切れ味を思わせる。


 「えっと何々」


 ーー

 ■クローウルフ Lv1/20

 ■ランクC

 ーー


 当たりじゃん! レア召喚の中じゃあ最高ランクだ。ってか襲ってきたりしないよな? 今の俺は普通に勝てないぞ……。


 「クゥゥン」


 クローウルフは一歩下がった俺を見て、敵意は無いと示したいのか、小さく鳴きながら頭を擦り付けて来た。


 「おーよしよし。なんだ、全然大丈夫だな。やっぱ召喚した俺には襲ったりしないようになってるのかな」


 この召喚というシステムを全く理解していないが、襲って来ないなら問題無しだ。とりあえずコストのかからないレア召喚をメインで回して魔物を増やした方がいいな。ランクの高い魔物の召喚は後でまとめてやろう。




 ■ ■ ■



 「ふぅ。レア召喚はざっとこんなもんか」


 クローウルフを引き当ててから俺はレア召喚で魔物を大量に召喚した。回数で言えば20回程だろうか。結果だがーー


 ランクEが9体。

 ランクDが7体。

 ランクCが4体。


 統計だが、案外Cランクも召喚されるようになっているかな。ランクが高い分、確率は低くなっているが、気になるほどではなかった。


 ランクEの魔物は亜種系が多い。特にゴブリン種とスライム種だ。火を吐き出せるレッドゴブリンや、付着すると斬撃ダメージを与えるスラッシュスライム等の、原種とは違い少し特殊な力を持つ個体がそのランクに分類されているらしい。左右の部屋に半分ずつ配置させた。


 そしてランクDではレッサーデーモンやガーゴイル等の下等悪魔種の魔物が多く見られた。他にもトレイルと呼ばれる木型の魔物や、ダンゴロと言う名の昆虫型の魔物。幾分、被りが多くて他のレパートリーを見られていないのが少し心残りだ。こいつらも左右の部屋に振り分けた。


 そしてCランク。初めのクローウルフを入れると全部で5体だ。どれも、それなりに強そうだ。


 ーー

 ■ゾンビマン Lv5/20

 ■ウィッチ Lv1/20

 ■リザードマン Lv1/20

 ■オーガ Lv1/20

 ーー


 とまぁ、こんな感じなわけだが。ウィッチはこの中で唯一人型の魔物だ。めっちゃ小さいけど。魔法を使う戦闘が得意だ。リザードマンはトカゲの戦士。逆にこいつはめっちゃでかい。黒い体皮を持つ二足歩行で右手に剣を持ち左手には盾を持っている。


 オーガは、リザードマンより更にでかい。全身が緑色をしていて、腰布を巻き、背中には刺々しい棍棒がかけられている。チクチクしないのかな。そして最後にゾンビマン。こいつはマジでやばい。何というか生理的にやばい。見た目は肉が腐りすぎて何が何だか分からないやつ。特に異臭はしないが、何故か召喚されてからずっと俺の方を向きながらスクワットしてる。マジでやばい。しかもこいつだけレベルが5だし……。マジで意味わからん。


 「お前達は真ん中のルートを担当してくれ」


 俺の言葉に5匹は頷くと、各自移動を始める。ゾンビマンは他の魔物より、少し頷くタイミングが遅かったのを気にしたのか、あたふたしながら走っていった。何なんだよあいつ……。


 「さぁてと。お楽しみの高級召喚タイムだ」


 レジェンド召喚に必要な魂は500。調子乗ってやり過ぎると、いくら今が潤っていたとしても枯渇する。回数を決めよう。


 「んー。4回だな。それで消費は2000。まだまだ余裕はあるけど、暫くはこれで温存しよう」


 この先何があるかわからないからな。これからはダンジョンとして、今までとは違い人間を誘い込まなくてはならない。必然的に狩り続けると来る人間のレベルも上がって来る。そんな時に対応出来るように魂はいくらでもストックしておいて損はない筈だ。


 そんな事を思いながらレジェンド召喚の画面を表示して、心の準備をする。


 「何が出てもボス部屋担当なんだ。出来るだけ強い奴を頼むぜ!」


 気合いを入れて勢いよく召喚へと触れる。すると、レア召喚で出現した魔法陣は赤色だったが、レジェンド召喚では金色に輝き、一回り大きい魔法陣が出現した。


 ーー

 ■サイクロプス Lv10/30

 ■ランクA

 ーー


 おお!? なんか凄そうなの出た! オーガより更にデカい。一つ目の赤い巨人。腰には二本の剣がある。二刀流で戦うスタイルか? まぁとにかく、こいつのエリアは天井を高くしないといけないな。今でもしゃがんでるくらいだし。


 サイクロプスを座らせて待機させる。全部引いてから配置は考えるかな。続けてレジェンド召喚を行うため、液晶へと手を運ぶ。


 ーー

 ■ダークスライム Lv10/30

 ■ランクA

 ーー


 「Aランクのスライム!? そんなのいるのか……」


 出現したのはダークスライム。吸い込まれそうな黒の体色に、大の大人三人分を球体にしたような大きさのスライム。ダークと言う名前だ。闇魔法でも使うのだろうか。


 よし、次だ。


 ーー

 ■ヒーリングラビット Lv1/1

 ■ランクS

 ーー


 きたぁぁぁ!! ランクS! いや、でも変だな。レベルが1で限界を迎えてる。それにヒーリング……。


 「まさか、アシスト用の魔物なのか?」

 「キュウィー!」


 ヒーリングラビットは俺の言葉を理解したのか、鳴き声を出しながらコクコクと頷く。なるほど。戦闘要員では使えないが傷付いた魔物を回復させる力があるなら多少、部が悪い戦闘であっても戦う事が出来るな。それにSランクだ。例え、回復しか出来なかったとしても、その力きっと絶大なはずだ。


 「よし、ラスト! いい流れなんだ。頼む、来てくれ最高ランク!」


 両手を合わせて目を瞑り拝むポーズを取ってからそう言うと、俺はゆっくりと召喚へと触れる。


 ーー

 ■魔人 Lv20/30

 ■ランクS

 ーー


 いやいや。魔人とか無しでしょ。魔人は魔族と人間の間に生まれた、所謂ハーフだ。一昔前は人間と結ばれる魔族が多かったと聞く。その間に生まれた子供は人間と魔族の力を引き継ぎ強力な力を持っていたそうだ。


 だが、両族ともにそれを許す事はなく、結果絶滅したんだ。その前例がある事で今では人間との恋は禁忌だと教え込まれる事になってるはず……。まさか、ダンジョンでならその禁忌は許される事になってるのか? 考えてもわからないけど魔界も人間界もめんどくぇな。


 「我が主よ。ご命令を」

 「ぬぇ!? お前喋れんの?」


 唐突に響いたコイツの声に驚き、思わず変な声が出てしまった。


 「もちろんでございます。遅れましたが、御身の前に召喚されました事を心より感謝しております」

 「かたいな。もっとラフに行こうぜ。俺はアーセル。アーセルで構わない。会話できるってすげぇ助かるわ。お前の名前は?」

 「そうはなりません。私は主の忠実なる僕にございます。例え、何があろうとこれは覆せません。それと、私に名前はございません」


 この男の魔人は、そう言うと膝を曲げて俺に跪く。これもダンジョンの効果か? 忠誠を誓ってくれるのは嬉しいけど、誰かに敬まれる事なんて得意じゃないんだがな。


 「でも主とかそういうのは嫌かな。俺の名はアーセルだ。それだけは譲れない。それとお前に名前をつけてやるよ。せっかく喋れるのに種族名で呼ぶのもどうかと思うし。んー。『アンデ』ってのはどうだ?」

 「ありがたき幸せにございます。この私めに名を頂けるなど……。この『アンデ』。何があろうとアーセル様をお護りするとこの名に誓います」


 まだかたいけど、まぁいいか。名前も気に入ってもらえたみたいだし、俺の事も名前で呼んでるしな。ん? 名前をアンデにした理由? めちゃくちゃ適当だけど?


 「なら、配置を決める。まずサイクロプスとダークスライム。お前達は左右の部屋のボス部屋を担当してくれ。次にアンデ。お前は真ん中のラスボス部屋だ。ヒーリングラビットは可愛いから取り敢えず俺と居ろ。それとこの配置は侵入者が来た時のもんだ。普段から配置につく必要はない。何もない時は好きに行動してくれ」

 「御意に」

 「キュイー」


 ヒーリングラビットとアンデは返事を。サイクロプスは頷く。ダークスライムはわからん。それでも各自理解はしたようで。行動へと移る。


 とりあえず。大変革1日目はこんなものかな。いい感じなんじゃないだろうか。SランクとAランクを2匹ずつゲットできたし、なんならアンデは喋れるしな。これで退屈しないだろう。


 この先どうなるかわからんが、やっと迎えた俺の時代だ。後悔のないようにバエル様のような、皆から尊敬され、恐れられるような魔王に俺もなりてぇ。

 わかりづらいかもしれないので補足しておきます。

 アーセルの現在のダンジョンですが、図っぽくするとこのような感じです。


   ■

   |

 ◎ー◎ー◎

 | | |

 ◯ ◯ ◯

 | | |

 ◯ ◯ ◯

 | | |

 ◯ー△ー◯



 ■→マスター部屋。

 ◎→ボス部屋。

 ◯→魔物部屋。

 △→入り口


 線は通路です。

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