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さよなら

(ガラガラ)

「全員席につけー、今日は転校生を紹介する。」


(ザワザワ)


「今日からこの学校に転校してきました、加藤春です。よろしくお願いします。」


(ちょっとカッコいいじゃん)

(イケメンキター)


「一番後ろの空いてる席に座ってくれ。」


(ザワザワ)


「静かにしろ!授業に集中!教科書56ページ…」


(キーンコーンカーンコーン)

(ガラガラ)

(休み時間か…。)


「ねぇねぇ春くんってどこから転校してきたの?」

「兄弟はいるの?」


「えっと、一人っ子です。あはは…」


(ザワザワ)


(ねぇねぇ隣のクラスの転校生イケメンらしいよ)

(さっき見てきたちょーっカッコよかった!)


この学年の女子は例の転校生の話題で持ちきりになっている様子だ。


上級生まで見に来る始末とは女子の噂好きって本当にすごいもんだな。


私はそれを客観視していた。


次の日。


今日も相変わらず例の転校生くんは注目の的で話題の的になっている。


私は相変わらずの日常を過ごしていた。


(ガチャ)


「ふぅー」


今日もここ(屋上)の静けさは変わらない。


「さてお弁当食べよ」


「明日も来ていい?」


昨日の彼の言葉が一瞬リフレインした。


今をときめく転校生くんはここには来ないのだろうと思っていた。


ただ…あの笑顔が「太陽みたいだったな…」


そう口ずさんだ最中。


(ガチャ)


「おじゃまします」


「えっ?」


「んっ?」


「どうしたの?」


「いやっ」


もう来ないと思っていたから少し同様してしまった私がいた。


「あー大丈夫、この場所来る時はそーっと来たから誰にもバレてないよ!」


「この場所の先の住人は結花ちゃんだもんね。迷惑掛けないようにあまり人が来ないようにしないとね!」


「いや…私の所有スペースじゃないので…」


「ここ静かでいいよね」


「まぁ…」


「あっ、次の体育合同だね確かバレーって先生が言ってたよ」


「はぁ…そうなんだ」


そんな会話しながら今日も一緒にお弁当を食べる事になった。


「はぁーご馳走さまー」


「それじゃ僕は先に戻るね、また明日!」


「また明日…」


(また明日…ね)


午後の授業はアイツが言った通りバレーだった。


「それじゃD組E組は合同で丸くなってレシーブの練習しててくれ」


(一緒にやろー)

(ザワザワ)


こういう時私はいつも1人取り残される。


別にどうって事ない。


逆に集団に合わせる事の方が苦痛だと思うから。


そう思ってただ立ち尽くしていると…。


「結花ちゃん一緒にやらない?」


「えっ?」


(ザワザワ)


「僕バレー苦手でレシーブしても変な方向に飛んでいくけど」


「いや、ちょっと…」


「いくよ!」


ボールがコッチに飛んでくる。


私は反射的にレシーブで返していた。


「結花ちゃん上手いね!」


周りの視線が刺さる。


「…もうやめる…」


「えっ?そか…ごめん」


そういって一度のレシーブでアイツとのバレーを私はやめた。


視線に怖気づいた訳じゃない。


ただ、この世界のレールを踏み外して面倒を避けたかっただけだ。


その日の帰り道ちょうど家へと続く河川敷に差し掛かった所。


「結花ちゃんー!」


振り返るとアイツがいた。


「ごめん追っかけてきて!」


息を切らして話しかけてきた。


「今日バレー誘ったの迷惑だったでしょ?」


「それ、謝りたくて」


「別に気にしてない」


「ただ、私が1人だから気を使ったんでしょう?」


「もしそうなら構わなくていいから、私が望んでる事だし」


「僕はそんな事…」


「別に怒ってないから、それじゃ…」


「だって笑わないじゃん…」


「えっ?」


「結花ちゃん笑った所見たことない…」


「…」


「だからさ、勝手に気になっちゃって…」


そう言ってアイツは悲しい顔をしている。


「お節介はやめて!迷惑だから!」


「ごめん…」


「さよなら…」





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