41 寄生虫にはご用心
ギリギリ連続投稿出来ました。
引き続きご覧下さい。
頭が痛い…ここは何処だ…?
暗くて何も見えないが、人の気配は感じられないな。
体は動くが、どこかぎこちない。妙に体が軽い…もしかして死んだのか…?
《否、あなたは死んではいません》
この声は…いつもレベルアップの時に聞こえる中性的な声だ。
死んでないならこの空間はなんだ。異世界でも元の世界でもない、ここは一体どこなんだ。
《ここはあなたの精神世界、夢とでも思っていてください》
精神世界?夢? まあ夢と思えばいいのか。
てかお前、さっきから人の心読んでないか?
《はい、読んでいます》
何さらっと言ってくれちゃってんの。この世界にプライベートなる言葉はないのか?
あー魔物にはないんですねはい。
夢ってことは、現実世界の俺の体はどうなってるんだ?死んではいないんだろ?
《辛うじて生きてはいますが、時間の問題かと思われます》
辛うじてってなんだよ。死にかけてんのかよ。
《あなたの耐性と回復力が勝れば、生存の可能性は出てきます》
要するに、俺のHPが尽きるのが先か、運が尽きるのが先かって事だろ。
"雑草魂"で乗り切るしかないな。とにかく"可能性"を信じよう。
《もうそろそろ、時間ですね》
時間? 何を言ってるんだ?
《また会う日が来ることでしょう…それまでお元気で…》
ちょっと待てよ!お前にはまだ聞きたいことが!!
俺の意識が飛んだ。
《熟練度が一定に達しました。スキル『状態異常耐性LV3』が『状態異常耐性LV4』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『状態異常耐性LV4』が『状態異常耐性LV5』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『状態異常耐性LV5』が『状態異常耐性LV6』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『状態異常耐性LV6』が『状態異常耐性LV7』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『状態異常耐性LV7』が『状態異常耐性LV8』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『HP自動回復LV2』が『HP自動回復LV3』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『HP自動回復LV3』が『HP自動回復LV4』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『HP自動回復LV4』が『HP自動回復LV5』になりました》
えぇい!!うるさい!!
頭が割れるような頭痛が襲ってきたわ!いっぺんに流すな。
「お、目が覚めたかの」
目が覚めると、大木の空洞に作られたような部屋のベットの上に寝ていた。
『ご、ご主人様…?うぅ、うわあああん』
『ゴレ…よしよし、心配させてごめんな』
瞳から涙を流し、抱きついてきたゴレを見て、俺の心は締め付けられるような痛みを感じた。
『もう、戻ってこないかと思いましたぁ…ひくっ、戻ってきてくれて、本当に、本当によかった…』
安心と疲れの反動だろうか。眠ってしまったみたいだ。
俺が座っているベットにゆっくりと横にして布団をかけてやる。
ゴレは本当にいい子だ…。俺の1番信頼のおけるパートナーだ。
「よぉ帰ってこれたな。普通ならもう目を覚まさんはずなんじゃが」
『ああ、生死をさまよっていたが、何とか戻ってきたぜ』
「運の良い奴じゃ、まったく」
『それより猿の爺さん、あんたが治療してくれたのか?』
「猿の爺さんではなくベルムじゃ…わしがお前さんの虫を取り除いてやった」
『そうなのか…感謝するよベルムさん、でもなんで魔物の俺なんか助けてくれたんだ?』
「長くなるぞ? わしには2人の息子がいてな…1人は体格もよく、食欲旺盛な子バルム。小さい頃から武術の才に目覚め、武術の道を歩んだ。もう1人は小柄で病弱な子でな、名をブルムと言う。わしの妻がある日病気にかかってな、その治療薬になる素材をバルムとブルムの2人で一緒に取りに行くと言って門の外へと出て行ったのじゃ。じゃが結果は最悪、大猪の大群に襲われバルムは大怪我をおった。ブルムは目立った傷はなかったが背中に小さな赤色の黒い斑点模様の虫が引っ付いておったのじゃ。その時はその虫自体の知名度は低く、ただの無害の虫かと思って放置してたのじゃが…その考えは甘かった。みるみるうちにブルムの体は白くなり始め、小刻みに震え始めたのじゃ…」
『そのブルムって子はどうなったんだ?』
「あ、ああ、わしは原因が背中の虫であるとすぐに気づいた。炙っても冷やしても離れようとしない虫に痺れを切らした兄のバルムが虫を力ずくで引き剥がしたのじゃ。止めようとしたが力でかなうはずもなく、振り払われた。するとブルムの様態はすぐに回復したが、数時間後ブルムの体に異変が起き始めた。体中の穴という穴から体液が垂れ流れてきたのじゃ。拭いても拭いても出てきて、その内、体全身から血が吹き出てきて死んでしまった」
『そんなことが…俺に引っ付いていた虫がその虫なんだな』
「そうじゃ。その虫は他者の死角に寄生し、口から出す管を神経と繋ぎ、栄養と共に複数の毒性のある唾液を流し込み、弱らせつつ対象者の栄養を吸い取るという寄生虫なんじゃよ。無理に剥がすと繋がれた管が神経をずたずたにするため、絶対に無理やり剥がしてはならない」
『そんな恐ろしい虫がこの森には存在するのか…』
「門周りを探索していたらお前さんらの魔力を感じてな、近づいて来てみれば背中に見覚えのある虫が居る事に気がついたのじゃ。お前さんとブルムが重なって見えてな、魔物にしては知性を感じたから助けることにしたのじゃよ」
『なるほどな、でもどうやって虫を取り除いたんだ?』
「この虫が嫌がるものがあってな。それは銅じゃ。よく分からんが、銅の塊をこの虫に押し付けると一瞬、管を引っ込めるみたいなんじゃよ。その隙に引き剥がすという感じじゃな。一瞬でもタイミングを間違えれば寄生者はお陀仏じゃ」
『おいおい、だいぶ賭けじゃないか』
「慣れておるから安心せい。それにこの虫に寄生されて生き残る可能性は1%程、致死率99%の恐ろしい寄生虫なんじゃよ」
『致死率99%…?それってほとんど寄生されたら死んじまうんじゃ?』
「生き残った事例は非常に少なくての、じゃから驚いておるんじゃろうて」
致死率99%なのによく生き残れたな。たった1%の可能性に勝ったという訳か。
恐ろしく奇跡だ。まさに神が味方したと言うべきか。どの神かは知らんが。
「そこに寝ているゴーレムがおるじゃろ?そやつ、お前さんの傍で起きるまでずっとお前さんの名前を呼んでおったのじゃぞ。お前さんが倒れてからもう3日は経っているのにのぉ」
3日間ずっと、心配させていたのか。ゴレには本当に申し訳ないことをしたな。
グゴゴゴゴゴ
「なんじゃ?地響き?」
『嫌な予感がするぞ』
「ついてくるんじゃ」
『ゴレ、少しそこで待っていてくれ』
ベルムさんが階段を降りていくのを見て、俺も後ろを追うようにしてついて行った。
「な、なんじゃこれは…!?」
『こ、これは…』
木々をなぎ倒しながら進行する巨大な影が何体も…あれは一体、なんなんだ?
「もしや、あれは…地竜ではないか?」
『やっぱり仲間を呼んでいたか』
「なんじゃ、なんの話じゃ?」
『ここに来てから、金銀銅のバッジをつけた3人の獣人達が地竜達と交戦していてな、倒れる寸前の地竜が天に向かって咆哮したんだよ』
「バッジ…三脚兄弟の事かの…この地には地竜は存在しないはずなんじゃが、こんな大量にどうやって…」
『ベルムさん、考えるより先に行動を。俺は地竜にかなうか分からないが助けてもらった恩返しとして地竜に挑んでくる!ベルムさんは王国への報告、それとゴレをよろしく頼む』
「わ、分かった!せっかく助かった命、無駄にするんじゃないぞ!」
今の俺にかなう相手なのか分からないが物は試しだ!当たって砕けろの精神で乗りきってやる!
かかってこい地竜!俺が相手になってやる!!




