40 獣人と地竜
忙しくなかなか更新できなかったのですが、時間が出来たので更新させてもらいます。
う、眩しいな…。
眩しそうにしている俺の横にゴレが寝ている。
「おいおい聞いたか?近々魔族が大陸の侵略を企ててるとか…」
なんだなんだ…?魔族?大陸の侵略?
「あー王様が言ってたな。確か、今の魔族の勢力って相当だろ?」
「昔の魔族よりも強くなってるらしいとか…まぁ裏切り者が多いからな」
「獣人の勇者であるバルム様も魔族側についたみたいだし」
裏切り者?獣人の勇者?
気になった俺は草むらの影から、声のする方向へと視線を向ける。
そこには狼のような人が3人立っていた…ってこいつら獣人じゃね!?
この世界に来てから魔物や人くらいしか見てなかったが、獣人なんかもいるんだな。
『ふはぁ…ご主人様?』
『ゴレ、今は動くなよ』
『へっ? は、はい!』
今動くとこいつらにバレる。俺達は魔物、獣人という存在がどういうものなのかは分からないが、まず魔物と友好的な種族はまず居ないだろう。
「ん?今そこの草むら動かなかったか?」
「確かに、気配を感じた」
「そうかな?僕は何も感じなかったけど」
やばい気づかれたか…仕方ない、やるしかないか。
「魔物か…この付近の魔物なら襲ってくることはそう無いはず…」
「こちらから手を出さない限りはな」
「そうだね。避けれる戦いなら避けた方いいしね」
手は出してこないのか…今のところ人間より好印象だぞ獣人。
「グガァァアア!!」
見上げるほど大きな竜が木々をなぎ倒しながらこちらに向かってくる。
「地竜が何故ここに…!?」
「地竜なんてこの大陸には居ないはずだよ!」
「隣の大陸、タナトスから渡って来たとでも言うのか?一体どうやって渡ったというんだ!」
あの竜、地竜って言うのか。なかなか強そうだけど、こいつら獣人の強さがどれ程のものか確かめるチャンスだ。獣人、お前達の強さを見させてもらうぞ。
「龍種じゃないだけマシか…いや竜種でも十分脅威なんだけどな」
「死ぬ気で戦うぞお前ら!!」
「うおおおお!!」
滅茶やる気やんお前ら。てっきりしっぽ巻いて逃げるのかと思ったんだけど…勇敢にも戦うのか。
「はぁあ!『地底蹴り』」
胸ポケットに金バッジを付けた1番体格のいい獣人が地竜の顎に勢いよく蹴りをお見舞いした。
「まだまだ!ふんっ!『旋風蹴り』」
次は銀バッジを付けている腰に短剣を2本さしている獣人が地竜の頬に風を切る音ともに蹴りを叩き込んだ。
「まだ僕が残ってるよ?『獄卒蹴り』」
最後に銅バッジを付けた1番小柄な獣人が地竜の体に蹴りをくらわした。
地竜は蹴りに耐えきれず、木々を倒しながら横に吹き飛んだ。
なんで1番小柄な獣人が1番強そうな技を使ってんだよ。地竜めっちゃ吹き飛んだし。
後、銀バッジのやつ、何で腰にある短剣使わないんだよ。
「グガァアァアァア!!」
地竜は天に向かって残りの体力を使い咆哮した。
「何とか倒せたみたいだな」
「お前が一番強いのに、銅バッジって言うのが納得いかないわ」
「一番遅く生まれたし、小柄だから仕方ないよ」
本当に3人だけであんなにでかい地竜を倒しやがった…普通の人間なら足折れてるぞ。
『ご主人様、嫌な予感がします。ここから離れた方がいいかと』
『なんでだ?何か来るのか?』
『先程の地竜の咆哮に違和感を感じたので、もしかして仲間の地竜を呼んでいるのではと思ったのですが』
『確かに、その可能性も十分にあるな』
わざわざあそこで咆哮する必要があったのか。それとも竜種はみんなそういうものなのか。
「とりあえず、王様にこの事を知らせに行かないとな」
「タナトスで何かあったのかもしれない」
「魔族が関わっているのかも…急いだ方が良さそうだね」
そう言って3人の獣人は一定の方向へと走りだした。
『ゴレ、俺達も後を追うぞ』
『どうするつもりですか?』
『獣人達の口から王様という単語が聞こえた。つまりこいつらについて行けば王国に着くという訳だ』
『なるほど、でも王国を見つけてどうするんですか?』
『そ、それはだな!獣人の調査のためだ!』
『そういうことですか!流石はご主人様!』
獣人の女の子を拝みたいから、だなんて言ったら殺されるだろう。
異世界といえばケモミミ、もふもふしたい。いや待てよ、この姿じゃ無理がある…。
まぁ、見るだけにとどめておこう。後、獣人の調査も兼ねてな。
走る獣人達の後を追いながら獣人達の会話を盗み聞くことにした。
「王様に報告した後にギルドの方にも報告しに行こうか」
「秘密裏に地竜の話を進められるか、公にして地竜討伐隊を編成するか」
「もしこれが魔族の仕業であるなら、これからもっと荒れることになりそうだね」
「どうせ俺らも呼ばれるんだから、今のうちにパーッといこうじゃねえか!」
「生きて帰れる保証なんて無いしな…今夜は飲み明かすか」
「お酒は苦手ですけど、今日くらい付き合いますよ」
「そーこなくっちゃな!」
なんか色々盛り上がってんなぁ。
それにこいつらの話を聞く限り、この大陸には地竜なんてのはいないらしいし、地竜が一体だけとは限らない。魔族とやらが関与してる可能性が高いな。
経験値稼ぎも兼ねて、地竜さんでも倒しますか。王国にとっても、脅威になり得るものを排除してくれるのはどんな奴でも歓迎だろ? お礼にご馳走なんかも振舞ってくれるかもだしな。
「少し飛ばすぞ!」
「おう!」
「はい!」
急に速度あげるなよ…ほら、ゴレがついてこれてないじゃん。
このままだと見失う可能性が出てきたぞ…仕方ない。
『ゴレ、嫌かもしれないが少し我慢してくれ』
『ふぇ…は、はぃ』
俺はゴレをお姫様抱っこし、気づかれないように『隠密』と『身体強化』を使い、木々を避けながら獣人達の後を追った。
「止まれーい!」
あれからどれくらい経ったか分からないが、城壁に囲まれた城が見えてきた。
獣人達は門の前で止まり、門番らしき獣人にカードのような物を提示して、話をしているようだ。
「よし、入って構わん!」
「見たら分かるだろ。何でいちいち見せなきゃなんないんだよ」
「不法入国とか、色々あるからしょうがないさ。それが彼らの仕事なんだし」
「分かるけどよー…毎回だぞ?顔パス効いても良いだろ」
「まぁ、そうカッカせずに、中に入りましょうよ」
なるほど、何回も行き来している獣人ですら、あの身分証のようなカードの提示が必要とされているんだな。
『これは入国も一筋縄ではいかないな…』
『あの、ご主人様…?もう下ろしてもらっても…』
『ああ、ごめんごめん。今下ろすよ』
獣人達に夢中になるあまり、ゴレを持ち上げたまんまだった。
身体強化を使ってたから重さとかもあまり感じなかったからな。
『ご主人様?まさか、入国をしようとしているんですか?』
ぎくっ…自我を持つ魔物だとしても、魔物は魔物。人々を襲い、喰らい、時には災害にもなる。見つけ次第殺され、強くなっても弱くても狙われる存在。
俺も元は人間、いつしか人を殺す事に躊躇しなくなっていた。魔物の本能なのか…。
少し前まで、ただ平凡な学校生活を送っていた男子高校生が、今ではいつ殺されるか分からない植物の魔物なんかにされて…瑠花さん…お元気ですか?俺は色々ありましたが元気にやってます!…はぁ、何やってんだろ俺。
『はは、まさかね。こんな姿じゃ皆に怯えられて、攻撃されるのがオチだよ。場所は分かったし近くを探索して食料を確保しようか』
『わ、分かりました…』
悲しくなるな…今頃、瑠花は楽しい学校生活を送っているんだろうなぁ。
通り魔にだけは気をつけて欲しいもんだ…秋雄…。
ダメだダメだ!ゴレの前だぞ…俺がしっかりしないとな。
「そこの若いの…」
ん?今なんか聞こえなかったか?
「若いの〜聞こえとらんのか」
ん??何処からか声が聞こえるぞ?
周りを見渡すが人らしきものはいない。
「どこを見とる。上じゃ上」
顔を上げるとそこには白い顎髭を伸ばした猿のような獣人が尻尾を枝に巻きつけてぶら下がっていた。
『なんだあんた?やる気か』
見つかったからには即戦闘、生きていく上で大事なことだ。
「まあまあ、そう慌てなさるな。それ以上動くと死を早めるぞ」
『どういうことだ?』
「お前さんの背中に引っ付いとる虫じゃ、気づいとらんのか?」
虫?なんの事だ…?そう言えばさっきから貧血のような目眩が…。
「まあ、わしはお前さんらの敵ではない。そのまま放置しておけば一日足らずであの世行きじゃぞ」
『その虫を引き剥がせばこの目眩も治るのか?』
「そいつを無理に剥がすとお前さんの神経組織を滅茶苦茶にされてしまうぞ」
『他に方法は無いのか…うぅ』
だんだん目眩が酷くなってきた…立っているのがやっとだ。
「あるぞ?助かりたけりゃ、わしに付いて来い」
『ご主人様…行きましょう』
『罠かも…しれないんだぞ』
これ以上、ゴレを危険に晒す訳には…。
『あなたを失う方がもっと怖いんです…だからここはこの方の言う通りにしましょう。お願いですご主人様…』
『ゴレ…』
そうだな…この目眩と言い、獣人の爺さんの発言といい、本当のことを言っているのかもしれない。もし万が一罠だったとしても、全スキルを駆使してゴレだけでも逃がしやる。
『ほれ、早くついてこい』
『はい!』
『うぅ…ゴレ、すまない。スキルが上手く使えないみたいだ…体もだんだん痺れて動けなく…』
状態異常耐性が役に立っていない…これは麻痺か?毒の類か?背中に違和感を感じる…。視界もぼやけてきて、意識もどんどんと…遠くなって…。
俺はそっと意識を手放した。
久しぶりに書くので多少の違和感を感じるかもしれませんが、ご了承ください。




