34 災厄の人魂再び現る
グゴゴゴゴゴゴッッ!!
ん?何の音だ?……まるで巨大な何かが此方に向かってくるような……。
グゴゴゴッッドンッ!!
やっぱり何か来やがった!このでかい扉の向こうに何か居る!
『ご主人様、この扉の向こうに先程戦った魔物より強い魔力を感じます!』
『アイツより強いってなると、今の俺でも勝てるか分からない』
『ここは一旦、逃げた方が良いと思います!』
そうだな、そんなに強い魔物なら、挑んでも負けるだろうし?ここは一旦逃げるとしますか!
バゴォォンッッ!!
大きな音と共に巨大な扉が砕け散った。
なっ!?扉が砕け散った!?
『ご主人様!伏せて!』
その念話と同時に炎の刃が飛んできた。
やべぇ、今の魔法、下級魔法にそっくりだが中身は別物だ。
『へぇ念話が使えるのねぇ?珍しいわねぇ』
おぉ、見た目はスレンダーな女の人だ。ただ額に触角が生えてるだけ。鎧を体に引っ付けた感じだ。
こいつも念話が使えるのか……てか何で念話を使ったことがバレてんだ?
『あなた達の念話、駄々漏れよ?ちゃんとレベル上げてるの?』
駄々漏れってマジかよ……ショックだわ。
『ご主人様、後ろの方から嫌な感じがします』
『嫌な感じ?』
『この魔力は……ご主人様、逃げてください!ここから逃げないと!』
ギィィィバタンッッ!!
『あっ……来た……』
いったい何が来たって言うんだ!この触角女でいっぱいいっぱいだというのに!
「ミナヒトシク……シヲアタエル」
人魂か?でもただの人魂じゃないのは見て分かる。
『何こいつ、マエダ様からの援軍?私一人で十分よ、マエダ様の元に帰りなさい』
この人魂はこの女の仲間なのか?
「コロシガワレノスベテナリ……メザワリナモノハアヤメルノミ」
『もしかしてマエダ様の魔物じゃない?なら遠慮なく殺れるわっ!』
「オロカナツミヲカゾエルト」
人魂の周りに青い炎が複数現れた。その数40を軽く越えている!
『火炎魔法ごときで私に敵うとでも思ったの?バカねぇ!あなたとは格が違うのよ格がねぇ!!』
「イナ……ゴクエン」
40を越える青い炎が触角女の方に飛んでいった。
『マエダ様から貰った、この魔刀で一つ残らず切り捨ててくれるわぁ!』
触角女は宣言通り、青い炎を一つ残らず切り捨てた。凄まじい剣捌きだ。
『やっぱり弱いわねぇ!下層の魔物相手にも負けるんじゃなーい?』
「ワレモツミブカキモノヨ……セイヲモテアソブナド」
今度は50、いや倍に増えた!?100を越える黄色と緑色の炎が人魂の周りに現れた!
『いくつ出しても、色を変えても、無意味なものは無意味なのよっ!!』
「ナントアワレデ……ツミブカイ」
人魂の周りにあった黄色と緑色の炎が触角女を囲むように飛んでいった。
『一撃でも当てたら倒せるとでも思ってるのねぇ?本当におバカさんなのね?いいわ、教えてあげる、私は攻撃より防御力に優れているのよ?魔法攻撃や物理攻撃、その両方に対応しているの!だからそんな火炎魔法ごときではこの体には傷一つもつけられやしないのよ』
「カエン……イナ……ゴクエンナリ」
100、全ての炎が触角女に降り注ぐ。
『獄炎?そんなはず……!?』
緑色の炎と黄色の炎が触角女に触れる。すると緑色の炎と黄色の炎は触角女の体の中にすっと入っていったのだ。
『あぁあっ!熱いっ!体の中が燃えるようにあづぃ!!』
「チカラノカゲンモカノウナリ……ミドリハウチガワヲモヤシ……キイロハココロ……タマシイヲモヤシツクストナ」
『マエダ様に報告せねばぁぁ……』
さっきまで黒く艶かしかった触角女は灰に変わっていた。
『ダチョモド、ゴレも俺も乗った!早く、全力で走れっ!!追い付かれたら、俺達もあの女みたいに灰になっちまうぞ!』
「クワァ!(分かってるよ)」
「マタアウヒガクル……」
何故か人魂は追いかけてこようとはしなかった。
『何故追いかけて来なかったんだ?』
『見逃してくれたとかですかね?』
『見逃して何の得があるっていうんだ?』
『分かりませんが、生きているんですから、まず喜びましょうよ』
まぁ、生きているんだし、良いか。
その頃、迷宮最深部、ダンジョンマスターの部屋では仲間の死を悲しむ声で埋まっていた。




