27 転送者を決めるため・勇者1
大丈夫だと思います。だと思うんですが。
僕の名前は天神竜聖。
ちょっとだけ賢い高校一年生さ。
あんなに賑やかだったクラスが今ではどんよりとしている。
クラスから二人が居なくなった。
一人は大葉夜空くん、もう一人は霧ヶ峰武志くん。二人とも刃物でめった刺しにされて亡くなっている。
通り魔によって殺されたんだ。
それにまだ通り魔は捕まっていない。今もどこかに潜んでいるんだ。
次は自分が殺されるんじゃないかって皆思っている。
あっ瑠花さんだ。
「おはよう!」
「あっ…おはよう」
この子は雨音瑠花。
美少女で有名な子だ。
「ぼーっとしてどうしたの?」
「大葉くんがどこかで生きてるんじゃないかって…」
「夜空くんは通り魔に殺されたんだよ?」
「うん…でも、生きてる気がするの」
夜空くんが通り魔に殺されてから、瑠花さんはずっとこの調子だ。目が虚ろな感じで今にでも窓から飛び降りそうな感じ。うーん、心配だなぁ。
「雨音さん天神さん、もうすぐチャイムが鳴りますよ?」
「はい…」
「はーい」
席についてから、前の席に座っている仲が良い友達、犬神竜太の肩を叩く。
「おーい竜太、昨日の帰りにさ、怪しいおっさん見かけたんだけど、あれって例の通り魔だったのかな?」
「あ?知らねぇよ」
「竜太竜太、昨日貸したゲームなんだけどさーー」
「うるせぇ、少し黙っててくれ」
何だよつめてぇ。いつもならノリノリで返してくんのに。
あっ、後三分くらいでチャイムが鳴るな。
準備しとかないと。
「ねえねえ、瑠花?先生来るの遅くない?」
「えっ…?うん、遅いかも」
今、瑠花さんに喋りかけた子は青葉鈴。
気が強い感じ、ガードが固い。瑠花さんに続く美少女。僕のクラスには何で美少女がこんなにもいるんだろうか。あぁ幸せだなぁ。
あっ、もうチャイムが鳴る。
3…2…1……あれ?
チャイムが鳴らない?故障か何か?
それに先生もまだ来ないし、おかしいなぁ。
「皆、僕が先生を呼びに行って来るよ」
「あ、お願い」
「頼む」
全く、先生は何をやってるんだ。腹でも下したのか。確か、今日は一階で皆に挨拶してたよな。
最近寒いから、やっぱり腹下してるんだろう。
ガラガラガラ
あー寒い!凄く寒いんだけど。廊下が少し凍ってる?どうなってるの、これ。
そんなことを考えていた時だった。
キーーンという音が頭の中で響く。
『おはよう諸君。諸君らに、今からやってもらいたいことがある』
何だ何だ!?僕だけに聞こえてるのか?と思ったが違うらしい。
僕のクラスや他のクラスがざわざわとし始める。何か嫌な感じがする。
『まず、ステータスオープンと念じ、自分のステータスを確認してほしい』
す、ステータスオープン?何を言ってるんだろうか。まあ、とりあえず念じてみようか。
ステータスオープン
------------
天神竜聖 LV1
職業:勇者
ステータス
HP:200/200
MP:300/300
SP:250/250
攻撃能力:110
防御能力:100
魔法能力:110
速度能力:140
抵抗能力:100
スキル
「神剣LV1」「宝具召喚LV1」「身体強化LV1」
スキルポイント:1000
称号「人類の希望」「勇者」
------------
なんだこれは…まるで…まるで……ゲーム世界じゃないか!
それに職業は勇者!?僕が勇者だって!?それにスキルもすごそうなものばかり。
後、称号『人類の希望』だってさ!僕が人類の希望…人類の運命は君にかかっている…なんちゃって!
って、そんなこと考えてる場合じゃない!とりあえず教室に戻ろう。
あれ、開かない?このぉ!このぉ!開いてよー!うん、無理だね!。扉が開かない。
「おーい、皆!そっちから開けれない?」
教室の扉をバンバン叩いて皆に言う。
え、誰も気づいてない?あっ、皆ステータスを確認してるのか。こんなに叩いてるんだから誰か気づいてよ。
項垂れてる子が何人か、自分のステータスを他の人に見せびらかしてる子が何人かいる。
『どうかな?自分のステータスを確認できたかな?だいたい確認できてるようだ。諸君らは選ばれた者。大半が質の良い者、だが、残った者を連れていきたいと思っている。なので諸君らにはーー』
「あ!先生!そんなところに居たんですか!」
先生はトイレではなく廊下の椅子に座っていた。
「うぅ、天神か?ちょっと頭痛がしてな、それに何故か体が重たいんだ」
「先生、背中に乗ってください。僕が教室まで運びます」
「いや、先生重たいぞ?天神はそこまで筋肉質じゃないだろ?」
「大丈夫です!…たぶん」
スキル欄に身体強化とか書いてあったから、もしかしたらムキムキになるんじゃないかってね。
『身体強化』
あれ、何も起きないけど…別にムキムキになったわけでもないし、化け物になったわけでもないし。
試しに先生を背中に乗せて立ってみる。
「なっ!?あ、天神!?お前、結構ムキムキだったりするのか?」
「いや、違いますよ!スキルを使ったんですよ」
「スキル?何だそれは?薬か?」
うーん、先生はゲームとかやんないのかな?
やる暇がないのか、興味がないのかな。
『ーーおっと、間違えて切ってしまったようだ。仕方ない、もう一度言おう。諸君らにはデスゲームのような事をしてもらう。仲間はクラスメンバー、決まった時間に体育館に数人集まり、殺し合ってもらう』
クラスのざわめきが強くなる。
「うぅ、天神、お前にも今の聞こえたか?」
「はい、何者かが僕達の脳に直接喋りかけてるみたいです」
「殺し合うとか何とか言ってたな」
「まず、仲間が居る教室に向かいましょう」
何かヤバイことになってきたぁ。デスゲーム?殺し合う?なにそれ意味がわからない!
本当に殺しあったりしないよ…な。いや、ステータス、そしてこの声。あり得ないことが続いてる。本当に殺し合いみたいなのが始まるのかもしれない。
僕は先生を背中に乗せて、教室に向かって走り出した。
少し長くなりました。




