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(初めての邂逅)

 その日の放課後、ぼくはさっそく最初の委員集会に向かった。

 図書委員が集まるのは、もちろん図書室である。ぼくは下校する生徒たちの間を通りぬけて、四階にある図書室にたどりつく。扉を開けると、中にはちらほらと生徒たちの姿があった。

 室内を見渡して、窓際のところに空いた席を見つける。長机には女子生徒一人の姿しかなくて、その前に座った。

 さっきも言ったようにぼくは一年の時も図書委員で、上級生の顔は大体覚えている。その女子生徒に見覚えはなくて、だから去年の図書委員にはいないはずだった。

 ぼくに分かったのは、制服のスカーフから見て彼女が上級生だということだけ。うつむき加減に本に目を落としていて、まるでまわりのことになんて何の興味もない、という感じだった。長い黒髪が印象的だった。

「――よろしくお願いします」

 と、ぼくはその人に声をかけてみた。何となく、ではあったけれど。

 彼女は読んでいた本から目をあげようともせず、

「……よろしく」

 と、ぼそぼそ答えただけだった。

 そしてそのことに、何のおかさしも感じていないらしい。

 ぼくはだからといって、特に何かを思うわけでもなかった。心の中で、(何なんだ、この人?)くらいに毒づいてもよかった気がするのだけれど、特に何も。まあこういう人なんだろうな、と思っただけだ。

 どういうわけか、ぼくは彼女に対してそういうところがあった。怒るとか、不思議に思うとかいう前に、納得してしまうのだ。ああ、この人はこういう人なんだな、と。

 それがどうしてなのかは、今でも分からないのだけれど。

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