(新学期と作業)
新学期に新しいクラスになって、ぼくは古い友達関係の調整やら、新しい友達関係の構築やらで忙しかった。新しいクラスメートに対しては初見でその印象を決め、二、三回接触してみて性格やら相性を判断する。
ぼくはわりとそういうことが得意だった。簡単だ、うまくできないことを忘れてしまえばいいのだ。そうすれば、うんざりするような自然の摂理と、やんごとない人間の習性によって、クラスでのポジションは納まるところに納まっていく。
それは大体が作業であり、コツはそれが作業であることをごまかさないことだ。ぼくは概ねそれでうまくやってきたし、二年になってもやはり、それはうまくいった。
勘もよかった。こいつとはうまくやれそうだな、と思う相手とはまず間違いなく仲良くなったし、逆にこいつとは死んでも友達になれないな、という相手とはお互いに距離をとった。たぶん、相手にもそういう感情が伝わるのだろう。
それ以前に、男子の友達関係なんて子犬がじゃれあっているようなもので、複雑でもなんでもないのだ。
空中でわけの分からないあやとりをしているような女子のかけひきを傍目で眺めながら、ぼくはぼんやりと学校生活を送っていた。
クラスの委員決めのとき、ぼくはさっさと図書委員を選んだ。一年の時もそうだった。
他のろくでもない仕事を押しつけられてしまう前に、さっさと自分で選んでしまおう、というわけだ。
想像通り、立候補者はぼくしかいなくて、定員一名の図書委員はすぐに決まった。
ぼくの平和な学校生活は、そんなふうに何の支障もなく築かれていった。




