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(魔女の彼女)

 ぼくが彼女、香月美夜乃こうづきみやのとはじめて出会ったのは、中学二年になったときのことだった。

 彼女は同じ中学の三年で、だから先輩だった。ただ、ぼくは今でも彼女のことをあまり先輩としては考えられないでいる。

 そう考えるには、彼女は規格外すぎたし、先輩というとらえかたに大した意味があるとも思えない。何しろ彼女は〝魔女〟だったのだから。

「魔女は歳をとらないのよ」

 彼女はそんなことを言っていた。



 はじめて顔をあわせたとき、ぼくは彼女のことを知らなかったし、彼女はもちろんぼくのことなんて知らなかった。

 図書室の一画で行われたその邂逅は、特に感動的なものでも、物語性にあふれたものでもなかった。空から天使の羽が落ちてきたわけでも、空を埋め尽くすような流星群が出現したわけでもない。

 小さな図書室にはどこかくたびれた感じの放課後の陽射しが射しこみ、それ以上にやる気のなさそうな生徒たちが着席している。

 ぼくの前に座っていた彼女は、手元の本に目を落としたまま、顔を上げようともしなかった。時計の針さえ渋々といった感じで、気だるそうに動いている。

 世界は錆びついて、ネジを巻くのを諦めてしまったらしい。

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