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(本当のところ)

 今から考えると、彼女は〝魔女〟という呼び名について、自分から積極的に同化しようとしていた気がする。

 そうして彼女は、世界と距離をとったり、口を閉ざしたり、冷たいまなざしを覚えるようになった。

 彼女は魔女という押しつけられたキャラクターに自らを進んで重ねあわせていた。魔法の手引き書を持っていたり、自分で自分のことを魔女だと言っていたのは、そのせいだろう。

 とはいえぼくがそんなことを思いはじめたのは、もうすべてが終わってしまってからだった。この時のぼくはやはり、ほとんどそのことを気にしてはいなかった。

 だからこそ、先輩はぼくといろいろ話をしたのだろうし、ごく普通に接してもいたのだ。

 ぼくは本当に、何も考えてはいなかった。

 彼女がどうして自分のことを魔女だと名乗っていたのか。

 けれど今思えば、それはたぶん――

 そうでもしなければ、この世界の重みに耐えられなかったからだと思う。

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