第3話「悲劇の真相」
「カイナ、大事な話があるんだ。聞いてくれ。」
父と母が言った。
こんなに真剣な顔をしている父、そして、悲しそうな母を見たのは、初めてだった。
「ナーニーー」
俺は、弱い唇の力で、精一杯答えてあげた。
「カイナ、パパとママは、もうちょっとで戦いに出るんだ。異世界戦争に…今からカイナは、パパとママと一緒に居られない。だから、カイナの年頃の子がいっぱいいる所、"ラギアス魔法保育所"っていう所で住むんだ。」
「ラギアスマホウホイクジョ?」
俺は、そう返した。
やはり、俺の予想は合っていた。
今は、異世界戦争中。父と母は、戦争に出る事になったのだろう…
赤紙でも来たのだろうか。戦争に自分から行こうと思っているとは思えない。
「カイナは、そこで、魔法を教えてもらうんだ。」
魔法だと…?
このような時に何を言っているんだこの親は。
戦争に行く前に、最後にからかいたかったのだろうか?
いや、流石にそうではなさそうだ。真剣な顔だ。
これは、全て本当の事。真実なのだろう。
「カイナ、そろそろ時間が来たよ。じゃあね。また、会えるから……良い子にしてるんだよ。」
そう言うと、父と母は、外へ出て行った。玄関の外には、大型のトラックの様な物が着いていた。
あの時の事を思い出す。トラックは嫌いだ。
…?涙が出てきた。何故だろうか?
本当の父と母とでも、俺は思っているのだろうか?
ずっと、俺は涙が止まらなかった。
そういえば、前の父と母より、優しく、一生懸命育てて来てくれた。
優しく、暖かい母の手。
明るく、元気の父の顔。
優しかった…
そういう所から、涙が止まらなかった。
だが、泣いても仕方ない。
俺は涙を我慢して、拭った。
俺は、ラギアス魔法保育所に行って、魔法を覚える。
決意が固まった。
この世から、戦争を終わらせる為。
そして、父、母の為にも。