第2話「破壊神バハム 神ヴァルキリー」
本の内容は、こうだった。
題名「ガイアス星の歴史」
我々が住んでいるこの星、"ガイアス星"は、西暦1055年に壊滅の危機を迎える事になる。
破壊の神バハムの登場である。
バハムは、我々の国の魔法が全く効かず、戦士の力でも対処が不可能であった。
我々は、バハムの事を"悪魔の末裔"と呼ぶ。
我々の星が壊滅状態になり、死を覚悟した時の事…神が現れた。
神ヴァルキリーの登場である。
神ヴァルキリーは、悪魔の末裔バハムを偉大な魔法で追い払う。さらに、壊滅状態となったガイアス星を修復し、楽園と化した。
そして、ヴァルキリーは姿を消すのである。
西暦1058年、我々はヴァルキリーの像を建て、星の平和を願う。
破壊の神、バハムが二度と現れぬようにと……
そして、最後のページは破られてあった。
…どういう事だ?バハムとか、ヴァルキリーとか、意味が分からない。
あっ。待てよ…
俺の父と母は毎朝こんな事を言っていたような…
「ヴァルキリー様、どうか今日も、生きさせてくだされ…」
毎朝言っていた事は、何か関係があるのか…?
「生きさせて」って、どういう事なんだ?何か悪い事でもしているのか?戦争とか…
あっ!!そうだ!俺は、ここに来る前、こんな事を言われた。
ー異世界で、"闘う事"を誓いますかー
何か関係性がありそうだ。
俺の予想は、こうだ。
この星では、戦争をしている。だが、ただの戦争では無い。
戦士、魔法使いが、闘う"異世界戦争"なんだ。
もっと思い返してみると、父は毎朝、剣を片手に持ち、反対の手に、盾を持って、架空の人物と闘っていた。
さらに母は、俺が家の階段から落ちて、大怪我をしそうになった時、ブツブツと何か呟き、落ちている俺の身体を止めた。結果、怪我無く済んだ…これは、戦士と魔法使いっていう事なのだろうか?
まぁ、異世界っていうくらいだから、こんな事がありえるぞ…
そんな事を考えている時だ。
深刻な顔の母と父が俺を呼んだ。
「カイナ、大事な話があるんだ。聞いてくれないか。」