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倉庫マニア ~付与術師の師弟の悲哀~

作者: あさひん

※汚い表現があります


初の投稿となります、色々と大きな(つもりの)構想を練っていたのですが

脱線脱線を繰り返しなかなか進まない中で浮かんだ話を一気に書きました


拙く読みづらい所も多くあるかと思いますが最後まで読んでいただければ幸いです

とある大陸の小国に仕える空間魔術師がいた

彼の名はソーコマニア

彼のテーマは空間魔術による物品の収納、取り出しであった

長き研究の末、彼は魔力により亜空間を隔離

その空間に収納し、再度その空間に接続することで取り出すことに成功する

しかし、その術式は難度が高くソーコマニア以外では数少ない空間魔術師のなかでも

高い実力を有した数名のみが使用可能であった


ソーコマニアには弟子が数名いた

それぞれ専攻する魔術は違っていたがソーコマニアが空間魔術《物品収納》を完成を機に

それぞれの専攻する魔術の知識によって汎用化を目指したのである

弟子の一人に付与魔術を専攻していた者がいた

その名をバキム

彼は師の《物品収納》を『魔石』に付与すれば誰にでも使用が可能になると考えた

だが、ただでさえ高位の魔術である空間魔術を『魔石』に付与するのは誰もが不可能と思われた

バキムもまた天才であった

数年の研究、開発により『魔石』に《物品収納》を付与することに成功

さらに、簡略化することにより物量は減るものの付与が簡易化され『魔石:物品収納』の量産を可能とした


さて、当時は世が乱れ戦争が絶えない日々であった

そんななか大量輸送を可能とする物が開発され、さらには量産化された

『魔石:物品収納』は生物と強力な魔道具は収納することはできなかったが

水、食料や一般的な武器防具、石材土塁など運搬に革命を起こした

簡易版である『魔石:物品収納』では水だけだと1000リットル前後を収納できるのだが

重さは『魔石』1個分であるし、必要であれば複数個の『魔石:物品収納』を持てばよいだけある

また、地面から直接土を収納すれば簡単に堀ができ土を順に取り出し積み上げれば土塁ができる

一夜にして地形を変えてしまう事すらできた


故に、実戦投入後は小国は負けなしであった

気付けば小国は近隣諸国を併呑し大国として名を馳せた「魔道大国」と


その大国となる基礎となった『魔石:物品収納』であるが、当然のごとく生産方法は国家機密となっていた

ただ、バキムのみでは量産化は不可能であったためバキムが国により選抜された付与術師に指揮指導し

秘密裏に生産を行っていたのだが量産による人員の増加に伴い秘密を守ることは難しくなる

国により選抜された魔術師とはいえ人間、最後に入った未熟な付与術師が隣国のハニートラップにより陥落

未熟故に簡易である『魔石:物品収納』よりも容量が少ない物とはいえ生産方法が漏洩

しかし、その時すでにその隣国との武力国力の差は戦争にすら発展しないほどの差であり

機密を奪取したことが「魔道大国」知られればどうなるかは考えるまでもなかった


現状、『魔石:物品収納』は「魔道大国」のみが生産し運用している

その利便性は語るまでもなく、隣国諸国もどうしても欲しいが「魔道大国」に睨まれるのも怖い

そこで、生産方法を奪取した隣国は生産方法を遍くバラ撒いた

これにより責任の所在を薄くさせつつも『魔石:物品収納』を利用しようと企んだのである


これに慌てたのが「魔法大国」である

気付いた時には規制も間に合わず市井の付与術師による劣化『魔石:物品収納』が出回っていたのである

それも、周辺諸国からさらに遠方の国々まで一斉にである

品が劣悪であることを理由に早々に収拾を諦め、正規品として『魔石:物品収納』を販売する方向に舵を取った

しかしながら原因の追究まで諦めたわけではない

事実確認から数日でハニートラップにかかった付与術師を特定、捕縛である


捕縛された未熟な付与術師はカーと言う名であった

彼は国により選抜されたことにより気が大きくなり、酒場で酔った折についつい選抜されたことを漏らしてしまう

元々『魔石:物品収納』を探っていた隣国の密偵の一人に知られてしまう

彼は若くして付与術師として選抜されるほど有能である反面、それ以外に優れたるものはなく自信もなかった

そんな彼に隣国の密偵により選び抜かれた美女を宛がわれたのだ、骨抜きになっても仕方ないのである


そんな青年付与術師カーは機密漏えい罪にて地下牢の個室にて悔いていた

自分なぞにあのような美女が理由もなく好いてくれるハズもないのに

選抜に浮かれた挙句、聞かれるままに機密を漏らしてしまった…と


彼を擁護するのであれば

密偵の実力の高さと、宛がわれた女密偵の美しさ

そして盛られていた薬

といったところであろうか


なんといっても「魔道大国」最大の機密の漏えいである

カーの死罪は免れず、一族にまで責を取らせろという声も多かった


しかし、これに助命嘆願を行ったのがバキムである

バキムは自分の責任のある部署からの漏えいであること

カーがまだ若いが実力ある付与術師であること

漏れた内容が劣化であったこと

を理由に国に助命を嘆願したのである


これを聞いたバキムの師、ソーコマニアもまた助命を願う

ソーコマニアはこう言ったという

「術が漏れてしまったのは確かに残念である。

しかし、我が開発せし術を我が弟子バキムが改善改良開発し『魔石:物品収納』が完成した。

ならばカーにも何かしらを研究開発させることにより責を取らせよ。

カー自身の功績にて罪を贖うまでは、師であるバキムの師

つまりは我の責とせよ」と


国側は非常に困った、カーの行いは国益を大きく損なわせたのだ許せるわけがない

しかしながら助命嘆願を行ったソーコマニア、バキムは『魔石:物品収納』の開発者で国にとっての英雄である

国民の全てがその功績を知り、認め、称える存在である


紆余曲折あり付与術師であるバキム管理下に置いて研究開発生産に携わり

私生活では監視がつくことを条件にカーの死罪は取り下げられた

許されたわけではない、むしろ英雄に頭を下げさせたのだ

これ以上なく罪深い

贖うためにカーは研究を進めていく、テーマは『魔石:物品収納』の改善改良、利用法の発案や効率化など多岐に渡る

元々、若くして国に選ばれるほど有能であったカーは徐々に功績をあげていく


そして十数年が過ぎ、ついに許される時が来る

『魔石:物品収納』の利用法で衛生面の改善につながる発見にて大きな功績を得る事となったカーは

ついに国から感状を得るまでとなった

そして感状をもって機密漏えいの罪を贖ったとされる


さてカーの功績である衛生面での『魔石:物品収納』の利用法は様々な試みによる結果である

その試みの中にはカー自身を実験体としたものもあり今もなお継続して経過を観察している状態である

それは尻の穴に『魔石:物品収納』を詰め排泄物の全てを『魔石:物品収納』によって収納するといったものであった

最初のうちは違和感も大きかったカーであるが生来腹を下しやすく便所に籠る事が多かったのだが

『魔石:物品収納』の術式改変を成功させ指定の物のみを収納できるようになったため

ふと思い立って試してみれば便所に籠らなくて済み便所への移動時間や排泄物の処理などに手間を取られなくなり

それなりに快適になったのだ、故にカーは経過観察ついでに『魔石:物品収納』を尻に付けっぱなしにしていた



そして事故は起こるべくして起こったのである



カーが師、バキムと感状を受けるため登城した

バキムは弟子としたカーがついに罪を許される時が来たことを我がことのように喜んでいた

そして、こう言うのだ

「やはり私は天才だな、カーに才能があることは自明の理だった

だが大きな、大きな罪を償うためだけに努力を、研究を続けられるかだけが心配だった

今日は居られぬがわが師ソーコマニアも鼻が高かろう、そしてやはり私は天才だ」と


カーは国家機密の漏えいといった大罪を犯した自分を庇い助命嘆願し

弟子として厳しく鍛えてくれたバキムとソーコマニアに深く深く感謝していた

「師バキム、師ソーマニアのおかげです。何から何まで…この恩、どう返してよいか…!」

二人は王城は謁見の間の前の控室にてお互いを称えあっていた

そしてカーの腹具合は今日も悪かった

だがカーは今日も『魔石:物品収納』を付けっぱなしにしていた

だから大丈夫なはずであった…しかし…


そして近衛兵により謁見の間への呼び出しがかかる

「国家付与術師、バキム様

その弟子カー!お呼びだついて参れ」

二人は並んで謁見の間を進んでいく、カーはわずかに気おくれしているのか師バキムより進みが遅い

しかし、広い謁見の間とて直線距離では20~30歩であろうか

玉座の前にて停止し跪く、バキムに続きカーも焦ったように勢いよく跪いた…



その時…


ポンッ!という音が静まり返った謁見の間に響く…


一瞬の静寂の後…


ブリブリブブブミチミチミチミチブホッブチュブブブ…

「ンッアアアアァァァァァアアアアァァァアアアアァァアアア!!!」

カーの悲鳴が響き渡るとともに異臭が謁見の間に立ち込める


カーが付けっぱなしにしていた『魔石:物品収納』が容量をオーバーしたため押し出された結果であった

ここまでならばカーが漏らしただけの話である、許されないが許されないが

問題は『魔石:物品収納』であった、容量をオーバーしているのである…カーの排泄物で

『魔石:物品収納』は水ならば1000リットルを収納可能である

また取り出しには所持者による手順を踏まねば取り出せない

だがこの『魔石:物品収納』は尻に突っ込みっぱなしであった、そして飛び出てしまっている勢いよく


誰もが動けない、こんなことは過去に一度もなかったのである

ここは「魔道大国」の謁見の間である、玉座にいるのは王である、周囲にいるのは宰相に貴族の方々、近衛兵である

誰もが動けない、バキムも何が起こっているのか理解が及ばない、ただただ臭いだけである


呆けていたのは一瞬だろうか、事態を収拾させようと宰相が侍女を呼ぶのか近衛に命ずるのか逡巡し

目を謁見の間の隅にいる侍女を見遣ろうとした時であった


大理石の上で「カカカカッ」と震える『魔石:物品収納』


近くで見ればわかったのかもしれない、『魔石:物品収納』に入った微細なヒビを…すでにクソ濡れであるが


徐々に『魔石:物品収納』の震えは大きくなり見るからにヤバい


『魔石:物品収納』が破壊された場合にはいくつかのパターンがある


まず、収納品諸共消失

魔力にて亜空間を切り取るように維持しているが、それがなくなれば亜空間に物品が流失


第二に収納品強制排出

緊急排出機構の動作にてその場にて収納品が全量排出される


第三に爆発

能力の高い付与術師によって作られた緊急排出機構が開発、導入される前の『魔石:物品収納』にて起こる

収納品は亜空間流失もその場に排出もありえる

爆発自体はそれほど大きくはないが排出品は近距離で爆風を受けるため飛散し悲惨である



ちなみに収納品諸共消失の場合は破壊された時点で『魔石』が粉々の砂状に

強制排出の場合は『魔石』を包み込むように魔力を放つ

今回のそれは、どう見ても上記二つに当てはまらない


ここにきて、我を取り戻したのはバキムであった

付与術師の権威である彼には『魔石』の状態が爆発寸前であることを把握した

そして、この場が謁見の間で爆発することが避けられない事もわかってしまった


バキムにとれる手段は少なかった

謁見の間に武器、魔道具などは基本持ち込めない

英雄たるバキムには一つだけ許されていた、それは指輪型の魔道具で術者を中心に球状の物理防御壁を発生させる物であった


バキムは視線を『魔石』、カー、王、宰相の順にやり

わずかに移動し物理防御壁を生じさせた


爆発から守るため王と宰相を防御壁内に? ―――いいえ

近場にいた自身と弟子カーを守る為に? ―――いいえ

では自分だけを守ったのか? ―――いいえ


彼は魔石とカーを防御壁内に納めた


数瞬の後「ボムッ!」という低音が謁見の間に響き渡る

稀代の付与術師自ら手掛けた防護壁の指輪は正しく効果を発揮し謁見の間を守ったのだ

その師弟を犠牲にして


死んだわけではない、内容物はカーの排泄物故に

爆発の規模も小さく、飛散物も腹の弱いカーの物故に


防御壁が解除され、大量の排泄物が流れ出る…

師弟は立ち尽くしていた


王と宰相は困っていたバキムは英雄である

国にとってなくてはならない偉大な人物である

そして罪人であるが功績を積み重ね認められしカー

王たちは処分に困っていた彼らの処遇について、そしてこの謁見の間をどうするか―――


結論から言うと彼らは許される事になる

機密漏えいを犯したカーの時と同じ処遇をバキムとそして改めてカーに課したのだ


後にこの事件を「バキム・カーの悲劇」として知られる事となる



正直、初投稿でキタナイ話でオチもどうなんだと後悔しかしていない


よくある無限バッグとかインベントリとかの設定とか考えてて

なぜかバキュームカーに思考が飛んでしまった、自分でもよくわからない

本編書ける日は来るのだろうか

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