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第7話 初モンスター登場

「ずいぶんと楽しそうだねマコト」

ルルリアが俺の肩に座りながら聞いてきた。


「そうみえるか。やっぱり冒険っていったらわくわくしちゃうだろ」

「異世界人は変わってるんだね。普通の人間は一人で外に出たりしないし、出るとしても相当な実力者だよ」


ルルリアが言うには町の外に出るというのはいつ死んでもおかしくないことだという。

町がないところには魔獣が生息しているし、洞窟や森、山といったところには巣があったり、

上位の魔獣も多くて危険が多いらしい。


なので冒険者じゃない旅人や商人はよほど腕に自信がない限りはギルドに依頼して、

冒険者を同伴させることがほとんどのようだ。


「ギルドなんてものがあるの?」

「あるよー。出てくる前にユニコーンの看板あったでしょ?それがギルドのマークだよ」


異世界でギルドって言ったら情報源だし、

誰でも登録できるようなら依頼をすることでお金も手に入れられて一石二鳥だったのに。


「なんで教えてくれなかったんだよ」

「マコトは魔王なんでしょ?ギルドに登録するには職業と種族は登録に必須なんだよ。職業見せた瞬間に捕まえられちゃうんじゃないかな」



たしかに。ルルリアの言っていることも一理あるな。



「これからフェニルさんが言っていた通りまずは【火の神殿】を目指そうと思うんだけど、ルルリアもそれでいいか」

「もちろん。マコトにずっとついていくよ」


なんていい子、いやいい妖精なんだ。

下手したらこの異世界で一人旅だったかもしれない俺にとってルルリアの存在ははっきり言ってありがたい。

もともとクラスのやつらとはうまくいっていないんだし、下手に団体行動をとるよりも今の状況の方が気が楽だ。

何よりこの世界のことをわかっていいる者が近くにいることが何よりも心強いのが本音だ。




すでに城下町の門を通過して俺たちは【外】に出てきていた。

【外】は【フィールド】ともいって、国や町の外を意味している。

フェニルにもらった地図を見て【火の神殿】の場所を確認してみたが、はっきり言って遠い。


っていうかこの世界はどうなってんだ。

人間界と妖精界は大陸がくついているけど、ほかの国々はそれぞれ大陸が分かれている。

人間界の大陸を中心に考えたら、東には魔界、北に竜神界、西に獣人界があるのだ。


「これじゃあどこの国もまずは人間界を制服してから、他国に攻め入りたいよな…」

「まぁそれもあると思うけど、人間界が狙われる理由は3つあるんだよ」

ルルリアが俺と地図の間に頭をひょこっといれながら言う。


「一つ目は妖精を独占していること。二つ目は異世界人を召喚して自国を強化していること。三つ目は南の大陸への行くことができるルートが人間界にしかないとされていることかな」

指を折りながら解説してくれるルルリア。


確かにフェニルも【契約】とか言っていたから何かしらの拘束は受けているだろうことは想像できる。

そして二つ目に関してもなんとなく予想ができた。異世界からの人間を召喚し、育てて戦わせることで自国民の被害を最小限にしているのだろう。異世界人が死んでも痛くもかゆくもないといったところか。

他国からしたらそれはそれは卑怯極まりないことだろう。

そして三つ目のことが最も気になっていたことだ。



「地図には何も書かれていないこの大陸には人間界からしかいけないの?」

「実は何にもわかってないんだよね。大陸の名前は【最果ての楽園ラストピア】って言われてて、噂では神々が残した【ロストマジック】や【ロストジョブ】、神器があるって言われてる。でも大陸は雲まで伸びる山にグッルと囲まれてて、周りの海には渦潮がたくさんあって近づくこともかなわないんだよ。。でも昔からの言い伝えがあって人間界からなら入れるって言われてる。だから人間界は狙われる要素が盛りだくさんってことだね」

いきつく暇もなく一気に説明してくれたルルリアはちょっと得意げだ。



「説明ありがとうルルリア。とりあえず南の大陸は無視しよう。それで行こうと思ってた【火の神殿】なんだけど、地図を見るとかなり距離があるように見えるけどここまでどのくらいでいけると思う?」

「う~ん。私もマコトと契約して初めて人間界を出るようなものだから知識でしかないけど、たぶん1~2週間ってところかな」俺も同意見だ。神殿自体は等間隔で存在しているようで、人間界に1つ、魔界に2つ、獣人界に2つ、竜神界に1つ、妖精界に1つの計7つ。

人間界の神殿は西に在り、ほとんど獣人界との境界に位置していることから距離がかなりあると思っていた。


「俺も一週間ぐらいはかかると思ってたよ。目的地の変更はなしでこのまま西の【火の神殿】を目指す。途中にある小さな村を経由しながら行こう。さいわい買い物も済ませて一週間分の食糧はあるから何とかなるだろう」

「了解です。マコト隊長」

ビシッと額に手を当てて敬礼をしているルルリアは本当にかわいらしい。


「それじゃあ改めて出発しよう」

「おぉー」

嬉しそうにこぶしを上にあげながらルルリアのかわいい声が響いた。




西に向かって歩き始めて1時間ほど経過したころ事件が起こった。




ガサガサッ


茂みから音が聞こえてきたと同時に腰に装備していた剣を抜き音の方を警戒した。

「なんだ?」


ガサガサッ


「ぷびゅーーー」

変な鳴き声と共に出てきたのはまん丸のピンク色をしたおめめがとっても可愛らしい豚で、体長は1メートルぐらいの魔獣だ。


「あれは…?ブタか?」

「違うよ。【ピブタ】だよ。初級の魔物だけど突進力と機動力があるよ」

ピブタって…もう豚でよくないですかルルリアさんって心で思ってしまったが、

こいつなら何とか魔法がなくても倒せそうだ。


「マコト。ピブタっておいしいからやっつけて食べようね」

え?魔獣食べるの?

ルルリアは目をキラキラさせながら俺を見ている。



こうして異世界に来て初めての戦闘が始まった。

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