オンリージョブ
更新が定期的でなくて大変申し訳ないです。
よしっ。いったん落ち着こう。
これは何かの間違いってことも大いにあるかもしれない。
深呼吸してもう一度自分の能力値を確認してみた。
うん。結果は変わらないな…。
どうやら異世界に来たのは【魔王】としてらしい。
どうなってんだ?イジメなのか?
異世界に来てまでいじめられなくちゃいけないのかよ。
ってか俺いがいは(仮)勇者なんだろ…。
勇者=魔王倒すって図式があるだろうが。
こいつら俺が【魔王】って知ったら確実に全員総出で倒しに来るんじゃないか。
「絶対にばれちゃだめだ!!」そう心に強く誓った。
「皆が【(仮)勇者】とは驚いだな。皇王様いかがいたしましょう?」
ライトが皇王に問う。
「皆が勇者になれる素質を持つということはとてもうれしいことだが【真の勇者】になれるのは1人だけ…。勇者が一人に絞られるまでは皆を勇者候補として教育してくれ。」
「かしこまりました。では(仮)勇者の諸君よ今日は疲れただろう。一人一部屋とまではいかないが、2~3人で一部屋なら用意できるので案内しよう」
「ちょっと待ってください。聞きたいことがあります」
秋山が皇王に対して質問をした。
「なんだ?」
「勇者になれるのは一人だけなんですか?異世界から来た僕らは特別なんですよね?だったら今ここにいる全員が勇者になれる可能性があるということではないんですか?」
もっともな意見だ。勇者は一人でなくてはいけないということではないんじゃなかろうか。まぁ俺は【魔王】なんだが…。
そう!!要はばれなきゃいいんだよ。ばれなきゃ。
いかにも俺も勇者ですみたいに堂々としてればいいわけだ。
「ふむ。ライトよその者達に職業について説明してしんぜよ。我らは職務があるためこれで失礼する。皆よ。明日からの稽古頑張ってくれ」
そういうとカイザー一族はその場を後にした。
「では部屋に向かいながら職業について説明するのでついてきてくれ」
ライトの案内で部屋に向かいながら職業についてレクチャーを受けた。
職業とはこの世界に存在するものが全員持っているもらしい。
生まれたその時から決まっており、自分の意志で職業を変えることは不可能。
職業は星の数ほど存在するが、【オンリージョブ】というものが存在するらしく、それが【勇者】なのだという。
その名の通りこの世界に1人だけの職業ということだ。故に全員が【勇者】になることはありえないんだとか。
ちなみに今現在わかっている【オンリージョブ】は
【勇者】【獣王】【皇王】【魔王】【竜王】【妖精王】【覇王】の7つらしい。
このオンリージョブを持っている者がこの世からいなくなったときに、
素質近いものがランダムに選ばれるらしい。
くっそ!!【勇者】と一緒に【魔王】も死んだから俺にこんなことが起こってるんじゃないのか?
そもそも【魔王】の素質あるってなんか嫌だ…。
そのほかにも【ナンバーズジョブ】という人数の決まっている職業や、【ロストジョブ】という失われた職業などがあるんだとか。
つまりだ。自分の意志で職業は決められないということと、職業はある日突然変わることがあるかもしれないということだ。
もしかしたら俺よりも【魔王】の素質がある人が現れたら職業変わるんじゃね?
「あぁ。言い忘れてましたが、オンリージョブを授かったものは死ぬまで職業が変わることはありません。まぁ死んだら職業もくそもないんですがね」
ぐはぁ。俺の淡い期待はライトの一言によってはかなく散ったのである。
「それでは皆様本日はお疲れ様でした。各々の部屋割りは皆様に任せますので、ご自由にお使いください。明日からは訓練が始まりますので、時間になったらお迎えにあがります。」
そういって一礼したライトは来た道をもどっていった。
部屋割りはというと、仲のいい友達もいない俺は一人だ。
まぁ3人部屋を一人で使えるんだからラッキーだと思えばいいだろう。
今日はいろんなことがあったから早く寝て明日に備えたいところだ。
というかどうやって明日からみんなをごまかそう。
そんなことを考えながらもう一度自分のステータスを観てみた。
■ステータス■
名前 :轟 真
職業 :魔王
職位 :タマゴ(孵化すらしていません)
称号 :異世界から来た魔王のタマゴ
魔法 :無
スキル:身体超強化、対魔法体質、
装備 :制服
う~ん。どう見ても【魔王】と書いてある。
しかもだ。かな~り気になることが書いてある。
そう!!魔法が無ってなんなんすっか?
異世界に来た醍醐味って言ったら魔法でしょ!!
魔王でしかも魔法まで使えないとか…。
異世界来てもいいこと全然ないなぁ。
明日が憂鬱で仕方がないな…。
みんなが訓練している中で、一人だけ魔法使えないとかなったら疑われるだろ…。
いやいや。異世界に来てまでなんでこんなことで悩んでんだ?
もういっそ自由に生きてもいいんじゃないか?
魔王ってばれたらやらる可能性もかなり高い。
朝になる前に逃げ出すのも一つの手なんじゃないだろうか?
そんなことを考えているとドアから音が聞こえてきた。
コンコン。
「お休みのところ大変申し訳ございません。フェリア=フェニールです」
ビックリしてとびあっがった。
なかなか話が進まない!!