表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/27

盗剣士の特技

 ここには〈盗剣士〉の特技より特徴的なものを抜粋してみた。〈盗剣士〉の特技には、動きが大きく派手であったり、あるいは優雅であったりといった特徴あるモーションのものが多い。また、アクション映画のような動作を行う特技も多く、〈大災害〉後においてはそのような副次的効果を活用する〈冒険者〉も現れだした。ビルドによっては短時間であれば戦士職の代わりを務めることも可能であり、全体的にユーティリティに強いメイン職業である。しかしそれは、武器攻撃職の本懐であるアタッカーとしての能力の不足を意味しない。その無駄とも思える華麗な動作から無数に放たれる攻撃は、決して他の攻撃職に引けを取るものではないのだ。


――――――

◆盗剣士の特技


〈フェンサー・スタイル〉

 自己強化・スタイル_片手に装備がない場合、装備をした方の手の武器の攻撃力を+160%~+220%(位階による)強化をする自己強化特技。さらに熟練段階によっては、攻撃速度上昇、クリティカル向上なども。使用の必要はなく、その状態になれば発動する。十分に鍛えたこの特技があれば二刀流や両手武器によらずとも攻撃力を確保でき、場合によっては二刀流や両手剣を越えることも可能だ。同様の特技は、暗殺者や吟遊詩人、武士などにも搭載されている。

 メリットとして両手剣や武器ふたつに比べ、ひとつの片手武器の入手や維持は経済的負担が小さいことがあげられるだろう。ただし、片手スロットを遊ばせると言うことは、本来その手で稼げたはずの能力値ブーストや魔法的効果を利用しないことになるため、一概にどちらが得かは言い切ることが出来ない。


〈ヴァイパーストラッシュ〉

 攻撃技・状態異常攻撃_腕の腱を傷つける攻撃で出血させ、数十秒の間出血による継続的なダメージと攻撃命中率のダウンを与える。蛇の牙が突き刺さるようなヒットエフェクトと共に出血状態を表すアイコンが敵に表示される。〈大災害〉後ではかなりの出血が実際確認できるが、失血死などの結果は起きないようだ。


〈アーリースラスト〉

 攻撃補助技_武器による先制攻撃を行なう補助攻撃特技。出の早い特技であり、対象の身体に「追加ダメージマーカー」(通称マーカー)を設置する。このマーカーは、相手の弱点を表示するという設定の者で、〈大災害〉以前はただのバッドステータスの一種だったが、〈大災害〉後は実際対象の身体に表示されるカードにも似たアイコンとなった。続く攻撃でマーカーを狙うことで発動し、マーカーそのものは消滅するが、追加ダメージを発生する。

 この「追加ダメージマーカー」は盗剣士の特徴とも言えるギミックであり、暗殺者と比べてダメージ出力が低いとされる盗剣士だが、熟練者は〈アーリースラスト〉だけではなくさまざまな特技からマーカーをくりだすことによって、最終的なダメージ量を大きく増加させる。一方でマーカーを余らせたまま戦闘終結を迎えることもあり、盗剣士の腕の良さをあらわすバロメーターともなっている。


〈ブレイクトリガー〉

 攻撃技・必殺技_相手に設置されているマーカーを、一度にすべて起爆させるフィニッシュ技。この技で一つでもマーカーの起爆に成功すると、そこから他のマーカーに次々と連鎖爆発を起こし、大ダメージを与える。再使用時間が長く連発は不可能だが、何より大量のマーカーを設置するチャンスはそうそう回ってこない。使うタイミングを逃がさない立ち回りが必要な大技。レイドボスなどの巨大HP、長時間戦闘などでは、当然のように設置チャンスも起爆チャンスも増えるために、それらのハイエンドプレイヤー御用達でもある。設置された大量のダメージマーカーが一斉に起爆する様は「爆弾」や「花火」と呼ばれることもあり、盗剣士にはその瞬間に魅了されたものが少なくない。


〈ワールウィンド〉

 攻撃技_構えた武器で自分を中心に周囲をなぎ払う範囲攻撃技。コストとダメージのバランスもよく、盗剣士の特徴である範囲攻撃の基本として末永く使っていける良特技。


〈クイックアサルト〉

 攻撃技・移動技_素早い突進攻撃を行う。威力は低いが発動が早く、硬直時間が極めて短いのが特徴。この特技に続いて別の攻撃特技を使用すると、格闘ゲームのコンボやキャンセルのように準備時間を省略して発動し、続けて素早く攻撃できる。〈クイックアサルト〉で間合いを詰めつつ先制攻撃を入れて、怯んだところにすかさず本命の一撃を叩き込む、という一連の流れが基本的な運用法。


〈ラウンドウィンドミル〉

 攻撃技_その場で跳躍し、空中で回転して攻撃を繰り出す。使用後の硬直時間が長いものの、ヒットすると敵を硬直させる効果があり、味方との連携の起点として扱いやすい攻撃技。敵よりも味方の方が多い戦闘で使い勝手が良い。逆に、ソロで敵に囲まれているとき何も考えずに使用すると為すすべもなく集中攻撃を受けるはめになる。

 跳躍モーションに一瞬無敵時間が存在し、熟達したプレイヤーはこれを緊急回避に利用することもあるが、回線ラグの影響も大きいために過信は禁物。使用すると武器の軌跡が輝き、回る風車の羽のように円を描く。

 この特技で意味もなく宙を舞っている盗剣士というのはモンスターの少ないエリアでは時折り見かける光景であり、触発された別の盗剣士が同じことをはじめ、また別の盗剣士が……ということもあるようだ。


〈エンドオブアクト〉

 攻撃技・必殺技_スタイリッシュな動きで敵の中に切り込み、目にも止まらぬ動きで切りまくる盗剣士の必殺技。攻撃範囲が広く、ダメージに即死判定が付与され、レベル差によって即死確率が上昇するため、ミニオン級モンスターの集団などはこれ一発で壊滅させることすら可能。広範囲掃討を得意とする盗剣士の代名詞ともいえる特技。発動時に盗剣士を中心としたブラー効果が一瞬表示され、敵に切り込んだ先では武器を振り終わったあとのモーション(残心)のみがコマ落とし状に表示される。

 全モーションが終了し、盗剣士がスタート位置に戻ったところで一斉にダメージエフェクトが発生するという非常に凝った演出がなされる。

 再使用規制時間は320秒であり、熟練段階で短縮される者の一回の戦闘で複数回遣う事は難しい。


〈ダンスマカブル〉

 攻撃技・必殺技_攻撃直前に使うことで、その後のダメージを1度だけ飛躍的にアップさせる。暗殺者のそれと比較すると2割ほどダメージ出力は落ちるが、盗剣士版〈アサシネイト〉といえる必殺技。

 武器の種別は問わず、使用時にはアサシネイトと同様のエフェクト(色違い)が表示される。再使用時間は600秒と非常に長く、戦闘中に2度使えるチャンスはまずない。


〈スラストジョーカー〉

 攻撃技・両手武器専用技_両手武器を装備している時のみ使用可能な強打攻撃。命中率がかなり低いのだが、クリティカルヒット時に防御力を無視してダメージを与えるという強烈な特徴があり、再使用時間の短さと発生ヘイトの低さから積極的に振り回していける(もちろん使用するごとにMPは消耗するので限度はあるが)。

 ヒットすると通常よりも派手なヒットエフェクトが発生し、クリティカルした際には対象と重なるようにトランプのカードが表示され、裏返ってジョーカーが見える、という演出がある。通常、クリティカル率は高レベルであっても5%前後であるため、戦術に組み込むには心許ない。〈スラストジョーカー〉を中心に据えたビルド構築をする場合、クリティカル率上昇のアクセサリをかき集めることになる。


〈ブラッディピアッシング〉

 攻撃技・行動阻害_足を中心とした下半身に切りつけ、相手の回避性能を奪う特技。ヒット時には牙やアイスピックが突き刺さったようなエフェクトが発生する。〈ヴァイパーストラッシュ〉と似たような技であり、出血効果がない分ダメージ的に不利と思われがちだが、こちらは相手の回避力を奪うことで自分のみならずパーティメンバー全員からの攻撃があたりやすくなり、総合的なダメージが上昇する。場面によって適切な使い分けが出来ることも熟練者の条件である。通称「ブラピ」


〈デュアルベット〉

 攻撃技・二刀専用技_二刀流専用技。盗剣士特有の二刀流による2回連続攻撃を行なう攻撃特技。畳み掛ける連撃が相手の防御を崩すため、命中補正が高くなっている。手数の多さから設置された追加ダメージマーカーのヒットも狙いやすい。これもまたスタンダードな盗剣士の特技である。


〈トマホークブーメラン〉

 重武器専用技_手にした斧や鎚を回転させて投げつける。武器は弧を描いて使用者の手元に戻る。〈エルダー・テイル〉において、投擲武器は投げナイフやダーツ、手裏剣などの一部の特殊アイテム扱いであったが、この特技は斧や槍などの本来投擲不可能な装備品を投げるものである。

 攻撃判定の存在する時間が比較的長く、固まった位置に立つ複数の敵にダメージを与えることも可能であるが、追加効果などはなく、いたってシンプルな特技。

 近距離ビルドの盗剣士が足止めを受けたときのため、お守り代わりにショートカットリストに入れていることも多い。


〈マルチプルデッツ〉

 攻撃技・状態異常攻撃・投擲専用技_投擲武器専用技。弱点や怪我を集中して狙い(という設定で)、出血や回避低下などのバッドステータスの効果時間を長引かせる攻撃技。実際には肉体的なバッドステータス以外でも、攻撃側から見て自分のレベル以下のバッドステータスであれば何でも持続時間を延長することが出来る。

 対人戦(とくにPKなど)で多用される特技でもあり、そういった被害を受けたことのある一般プレイヤーたちからはいいイメージをもたれていない。対人戦において「デッツハメ」「デッツ地獄」という言葉を生み出し、一時は対人戦を行う盗剣士は「デッツさん」などといわれたことも。


〈レイザーエッジ〉

 攻撃技・状態異常攻撃・移動技_短距離ダッシュから相手の頭部(喉元)を狙う特殊な武器攻撃。ダメージはほとんど無いのだが、そのかわりに相手の防御力を低下させ、詠唱妨害を行なう追加効果が発動する。距離をつめながらスムーズに攻撃が行なえるため愛用者多数。また大災害後はその「喉元を狙う」という行為のエグさから必要以上に恐れられている。


〈フラッシングドロウ〉

 攻撃技・投擲専用技_投擲武器専用技。目にも止まらぬ閃光の如き速さで懐に忍ばせた投擲武器を取り出し攻撃する特技。発動時にはフラッシュエフェクトが出る。手に白兵武器や盾を持っている状態からでも瞬時に投擲攻撃に切り替えられるため、普段は白兵戦をメインにしつつサブ武器として投擲武器も使う、遠近両用タイプの盗剣士のビルドの中核をなす特技である。なお、素手の状態で使用すると、普通に武器を取り出すよりも高速で投擲武器を構えることができるようになるため、〈大災害〉後は特に、不意打ち対策に重宝がられている。


〈オープニングギャンビット〉

 攻撃補助技・必殺技_手にした武器で敵を突くポーズをとると、対象にマーカーが付与される。続く攻撃(自分で攻撃しなくともよい)ではダメージボーナスが加算されるというコンビネーション用の設置技。素手状態もしくは片手を空けた状態でこの技を使用すると、攻撃モーションではなく光るカードを投げつける専用のモーションが用意されている。レベル上昇に従いMP消費が増えるが、それに見合うマーカーの設置数、効果対象数の増加となる。あまりにも気障なそのモーションに魅せられ、この特技を使う際にわざわざ装備変更するプレイヤーが発生するほど。


〈ライトニングステップ〉

 攻撃補助技・移動技_雷光の如き鋭い踏み込みで直後の攻撃のダメージを上昇させる盗剣士特有の移動歩方。アイコンで選択してから約1~3秒間は前方へ強制ダッシュがおこなわれる。マウスでの選択により左右にカーブすることが出来るが、上級者はさらにキーボードの操作で左右へのステップが可能。華麗な動きがプレイ動画などで配信されたこともあった。かなり早いダッシュモーションと衝撃破のようなエフェクトが特徴。


〈ターキーターゲット〉

 ヘイト操作技_敵を挑発し、一時的に使用者に注意を向けさせる特技。本来、敵を引き付けるのは戦士職の役割であるが、防御力と耐久力に劣る後衛からとっさに敵を引きはがしたい場面などで用いられる。挑発によるヘイト上昇効果は十分だが、一定時間が経過すると上昇したヘイトは失われてしまうため、敵の注意が使用者に向いている間に手早く片付ける必要がある。


〈ピンポイント〉

 攻撃補助技_敵の急所を的確に狙うことで、効果時間中は武器攻撃の威力が上昇する。特に、手数の多い〈盗剣士〉と相性が良いが、効果がわかりやすく武器攻撃職なら使って損はないため、多くのキャラクターに愛用されている。発動時、頭上に「敵を鋭く睨みつける目」のエフェクトが発生する。


〈ワイアードアクション〉

 移動技・鞭技_鞭専用技。装備した鞭を敵に巻き付け、そのそばに高速で移動する特技。この技自体にダメージはないが技後の硬直が短く、そのまま攻撃態勢に入れるので便利。しかし鞭装備という限定条件から使用人口はそれほど多くはないようだ。〈大災害〉以降は敵以外にも使えることが判明し、便利な移動手段として認識されている。


〈シャープブレイド〉

 攻撃補助技・トグル式・上級特技_有効にすると、命中率とクリティカル率を上昇させるトグル式の特技。発動中は周囲の敵からヘイトを余計に稼いでしまうデメリットが生じるため、火力を確保しておかないと最初の目標を倒しきれないうちに囲まれてしまう危険もある。発動中は武器を構える姿勢がやや力の抜けた軽やかなものに変化し、武器が青白い軌跡を描くエフェクトが生じる。


〈スウェルバックラー〉

 ヘイト操作技・防御技・盾専用技_盾専用技。盾を掲げて挑発を行い自身のヘイトを高めると同時に、一定時間、盾の防御力を上昇させる。持続時間中は盾が光沢を帯びる。こうした特技を利用することで、盾を装備した防御型の盗剣士は、戦士職に近い役割をこなすことが可能となる。


〈ディスカード〉

 ヘイト操作技_素早く敵の視界に割って入り、フェイント的なアクションで敵の気を仲間からそらす援護特技。仲間のヘイトを減らす効果を持っている。とっさの動きなので基本的に近くの仲間に対してしか使えない。


〈ユニコーンジャンプ〉

 移動技_大きく跳躍して移動する特技。ゲーム時代は敵を飛び越える、障害物を超えて移動する程度の用途しかなかったが、大災害を経た現在では幅広い用途に活用(そして悪用)されている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ