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神祇官の特徴とビルド

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 ◆神祇官カンナギ

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戦場での役割:中衛or後衛支援or後方攻撃

HP:普通

MP:普通

装備可能な鎧:布鎧、和風専用装備

装備可能な白兵武器:杖、刀、魔法具

装備可能な射撃武器:和弓

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 霊と言葉を交わす〈神祇官〉(カンナギ)は、日本サーバー独自の職業である。北米サーバにおいては〈霊媒師〉(メディウム)というクラスが〈神祇官〉に相当し、スキルなどの演出が異なっている。刀や巫女装束など、和風の装備を使用できることもあって日本サーバでの需要は高く、男性キャラは「神主」、女性キャラは「巫女」と呼ばれて親しまれているようだ。

 〈神祇官〉のスキルには武器攻撃と魔法攻撃がバランスよく存在し、錫杖のほかに刀や弓も装備できるため、近接戦闘を行う「殴りカンナギ」も、見た目の華やかさもあって人気がある。しかし、なんといっても〈神祇官〉を特徴づけるのは、〈禊ぎの障壁〉をはじめとする「ダメージ遮断魔法」だろう。

 「ダメージ遮断魔法」は〈ヒール〉のようにダメージによって減ったHPを回復するのではなく、キャラクターの代わりに一定量のダメージを肩代わりする障壁を張る魔法だ。障壁のぶんだけHPが増えたと見ることもでき、障壁が健在な限りダメージに付随する毒などの効果も受けず、回復によってHPが「あふれる」ことがないため、HPが全快の仲間に使うこともできる。〈大災害〉以後は、「ダメージ遮断魔法」によって攻撃を無効化すれば痛みを感じないという現象も発見された。

 良いことばかりのように思える「ダメージ遮断魔法」だが、HP効率にすれば、回復魔法の中で最も悪い。ダメージを遮断するよりも一度ダメージを受けてから回復する方がはるかにたやすいのだ。そのため神祇官のMP消費は早く余裕はない。また障壁を張ったり更新するタイミングをつかむのは難しく、他の回復系職業以上に仲間の状態に気を配る必要がある。また〈神祇官〉は、HPを「回復する」能力は回復系職業の中で最低であり、ダメージを受けていない間はよいが、一度ピンチになってからの立て直しはやや苦手だ。

 見た目につられて〈神祇官〉を選んでしまった初心者が使いこなせずに泣きを見ることも多く、「初心者殺し」と称されることもある。

 以上のように、難しい、とっつきづらいという印象のある〈神祇官〉だが、その分、熟練してスキルを使いこなし、活躍できたときの喜びは大きい。〈神祇官〉こそ、自分が「上手くなった」ことをもっとも実感できる回復系職業だろう。


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◆ビルド:祈祷師/祈り巫女:結界防御型

 〈神祇官〉のうち、回復魔法を重視して構築されたビルドは「祈祷師」と呼ばれる。仲間が倒れるのを防ぐ、という回復系職業の基本に忠実に、「ダメージ遮断魔法」と回復魔法を駆使して、後方から支援を行うプレイスタイルだ。

 主軸となるスキルは、やはり〈神祇官〉の売りである「ダメージ遮断魔法」である。〈禊ぎの障壁〉が綻んだと見るや〈鈴音の障壁〉で修復を行い、それでも間に合わないようなら〈四方拝〉〈護法の障壁〉のような強力な魔法で凌ぎ切る。熟練した「祈祷師」は、低難度のクエストならば戦闘の初めから終わりまで障壁を絶やさないことすら可能であり、自分のHPが減らない、という他の回復系職業と一線を画する安心感を仲間に与えることができる。

 「ダメージ遮断魔法」は、張ってしまえばあとは消滅するまでダメージを吸収してくれるため、障壁が健在な間の「祈祷師」は〈物忌み〉などの補助魔法で仲間の支援を行うほか、時には攻撃魔法で敵を打ち倒すこともある。防御的なビルドのため、単純に威力の高い魔法よりは〈鏡の神呪〉のように補助的に回復効果を併せ持つ魔法がよく用いられるようだ。

 魔力を高める錫杖と簡素な布製の装束、といった装備が定番で、近接戦闘はあまり得意ではない。「ダメージ遮断魔法」を駆使して前衛の耐久力を強化し、自身を含む後衛に敵の攻撃が及ぶのを防ぐのが「祈祷師」のスタイルだ。いつ、誰に障壁を張れば有効かを素早く判断せねばならず、パーティ全体の戦況を俯瞰して把握する能力が求められるだろう。

 作中ではミノリが典型的な「祈祷師」型の〈神祇官〉だ。最初は基本中の基本たる〈禊ぎの障壁〉すら使いこなせていなかった彼女も、〈ラグランダの社〉での戦闘訓練を経て大いに成長し、「祈祷師」に必要な戦況判断の資質を開花させつつある。


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◆ビルド:戦巫女:武器攻撃型

 「戦巫女」は、近接武器を携えて戦場を駆ける、〈神祇官〉のビルドのひとつだ。薙刀や刀といった得物と和装の組み合わせは見た目にも華やかで、男女問わず人気のあるビルドである。

 鎖帷子程度の鎧しか身に着けられず、HPも決して多くはない〈神祇官〉が前線に出るのは相応のリスクを伴うが、「ダメージ遮断魔法」は自分にも使えるため、〈禊ぎの障壁〉を張ってから〈天足法の秘儀〉によって強化された移動力で一撃離脱を繰り返すことで、比較的安全に攻撃を行うことができる。

 〈凶祓い〉の名を冠した〈神祇官〉の武器攻撃特技は、回復系職業にしては威力が高めに設定されており、リスクを冒す価値は十分にある。攻撃を行いつつ自分に障壁を張る〈白蛇の凶祓い〉、命中させた敵が状態異常を発動していると威力が増す〈犬神の凶祓い〉を主軸にするキャラクターが多いようだ。危険な状況を脱するための〈飛び梅の術〉のような移動魔法が豊富に存在するのも、「戦巫女」のスタイルに適合している。

 祈祷師は神祇官の主流ビルドではあるしPTやレイドなどで求められる回復性能を備えているが、その一方でソロ行動時に攻撃力不足でストレスが溜まる。

 だが武器攻撃を行うということはその分仲間に回す「ダメージ遮断魔法」が少なくなるという事と同義のため、「やられる前にやる」前のめりな戦い方になりがちだ。「戦巫女」には、鉄壁の防御で被害ゼロを目指すのではなく、ある程度の被害は必要な代償と割り切り、敵を素早く倒すことに注力できる思い切りの良いプレイヤーが多い。

 作中では〈西風の旅団〉のナズナが「戦巫女」スタイルの〈神祇官〉である。くノ一を自称する彼女の動きは「戦巫女」の十八番たる一撃離脱の粋を極めており、高速移動で戦場を飛び回りつつ攻撃と回復を繰り返す華麗なものであるが、勘と経験で成り立っているため本人にも解説できないようだ。


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◆ビルド:弓巫女:遠隔武器・魔法型

 同じ武器攻撃型〈神祇官〉でも、近接攻撃寄りの「戦巫女」に対して、和弓を装備して後列から攻撃を加えるビルドは「弓巫女」と呼ばれる。

 〈凶祓い〉系の武器攻撃特技は弓にも対応しており、安全な後方から攻撃できることから、「戦巫女」より安定した戦い方ができる。また、敵の体勢を崩して仲間の攻撃を有利にする〈露払い〉や、〈剣の神呪〉に代表される遠隔攻撃魔法を織り交ぜることで、状況や相手に応じた柔軟な対応ができるのも強みだ。

 遠距離攻撃を行えるため、移動魔法はあまり重視されない。その代わりに「ダメージ遮断魔法」や〈石凝の鏡〉のように仲間の防御を固める魔法が好まれるようだ。タイプはそれぞれ異なるものの、援護に長けた「祈祷師」と攻撃寄りの「戦巫女」の中間に位置するビルドといえるだろう。

 ただし多くの弓はモンスターとの近接状態ではオートアタックが停止する。近すぎる敵には攻撃が出来ないのだ。弓巫女は回復と攻撃力を高レベルで手に入れた代償にソロ能力を大きく失っている。

 〈円卓会議〉十二ギルドマスターのひとり、アインスがこの弓神祇官である。〈エルダー・テイル〉のゲーム時代、装備した武器は戦闘が開始されターゲットさえ指定されて入れば、武器に設定された時間ごとにMP消費のない「通常攻撃オートアタック」を繰り出していた。遠隔武器使用の最大のメリットは、MP温存のために攻撃呪文を控えている場合でも、装備武器によるオートアタックでダメージに貢献できることだろう。遠隔武器が高位の幻想級であれば、MP吸収やそのほかの付帯効果も期待できる。ちなみにアインスは「弓巫女」という称号にお冠である。性差別反対。男だって神祇官をしたいのだそうだ。

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