プロローグ
海は夕焼けでオレンジ色に染まっていた。
ユウナは一緒について来たがった六歳年下の妹を振り切って、お気に入りの砂浜を散歩していた。
今は高校が夏休みに入ったばかりの時期だが、ユウナの取って置きの秘密の砂浜には人はいなかった。
いつものようにぼんやりといろいろ空想しながら歩いていると、砂浜に流れ着いたビンを見つけた。
高さ約10センチ、丸い底の直径は約5センチくらいだろうか? 中に何か紙が入っていた。
「手紙かな?」
ユウナは物語の主人公になったような気分でワクワクしながら、ビンの中身を確かめてみると、中から出てきたのは、比較的近所にある海に臨むところにある、中規模の遊園地の二日間フリーパスの券だった。
「このフリーパスは使えるのかなぁ?」
そのチケットは金色でゴールデンチケットと書いてあり、さまざまな注意書きがあったが特に不審だったのは
・本チケットはお一人様のみ有効です。同行者の方がいると無効になります。必ず一人でお越しください。
という点だった。
しかし、比較的近所でもあるし、一人で遊園地に行くことには抵抗はなかった。
何しろユウナは一人カラオケが好きだし、一人焼肉にも行ったことがある。
「明日行ってみよう!」
ユウナは好奇心に駆られて、そのチケットが使えるのかどうかも含めて確かめてみようと決心したのだった。