強い男の子になる
「て、天井が高いな……」
吹き抜けとなっているフロアで上を見上げて驚く茜原。
「ほら、行こう」
「あ、ああ」
初めてこういうところに来ただけあって戸惑っているようだ。
「どこか、行きたいところはあるのか?」
「うーん、適当に回ろうと思ってるけど」
「そうか、なら、お前に任せよう」
茜原は俺の速さについてこようとしている。
ちょっとイタズラしてやりたくなった。
少し速歩きになる。
それに合わせようと茜原と足速になる。
そこで俺は急停止した。
「ふぎゃ!」
あまり女の子が発するべきでない悲鳴。
「きゅ、急に止まるな……!」
鼻を押さえながらの抗議。
「悪い悪い、大丈夫か?」
「む、これくらい平気だ」
胸を張ってみせる茜原。
「お詫びにそこの店でソフトクリームでも奢ろう」
「いいのか⁉」
「ああ、構わない」
「わたし、実はソフトクリームに少し憧れを持っていたんだ!」
目を輝かせながら俺の手を取り振る。
「お、おい……」
「早く行こう!」
「……ああ」
ソフトクリームなんかでここまで喜んでもらえるなんてな。
茜原は、茜なんじゃないか?
そんな疑問が出てくる。
触れた手、笑う顔。
すべてが俺の知ってる茜と被る。
そんな思いを抱きながら、俺は茜原とバスに乗り込み、学園に帰ってきた。