幼馴染と
俺たちCクラスの勝利が確定した。
初のクラス対抗戦を勝利で飾ったのだ。
綾子ちゃんもご機嫌だった。
「先生は、信じていましたよ! 絶対勝つって!」
涙ながらにそんなことを言われると悪い気はしない。
「今日は疲れたでしょう。 みなさん帰って体を休めましょうねー。明日は休日なのでゆっくりしてください」
それでその日の授業は終わった。
「これからどっか行こうぜ!」
教室から出ると、栗壺が言った。
「悪い、今日は疲れた。 体がボロボロだ」
明日は全身筋肉痛だろう。
「うーん、まあ、そうか。 俺は後方支援だったから平気だけど、お前は前線だもんな」
納得したらしく、諦める。
「さっさと帰ろう」
二人で寮に帰った。
「痛え、体が痛え」
ベッドにごろんと横になり呟く。
「なら、俺がエネルギーを分けてやろう」
栗壺がそう言い剣を形成する。
「なんで剣出してんだよ!」
「いいからじっとしてろ」
栗壺は剣を構え、俺に近づいてくる。
「やめろ……!」
「おらあ!」
そして俺に向かって剣を振り下ろした。
「ああん!」
「どうだ? ここか? ここがいいんか?」
「そっ、そこぉ! ひぎぃ!」
栗壺の能力で俺の体の痛みがみるみる引いていった。
これはすごい。
気持ちよすぎてやばいな。
「うっ、うう! あっ」
「修介ー! いるかー!」
俺が栗壺の剣に切られていると茜原が来た。
「……」
その表情が固まる。
茜原の目には剣で切られて喜ぶ変態ドMホモ野郎が写っていたことだろう。
「ま、待て、茜原、これには事情が……!」
「な、なな、なにをしているんだー!」
茜原は顔を真っ赤にして叫ぶ。
「そ、そんな不健全なことをするなんて、修介! 見損なったぞ!」
「話を聞け!」
暴れる茜原をなだめて説明をする。
「まったく、紛らわしいことをするなっ!」
なんとか理解してくれた茜原は椅子に座りながら手に持っていた袋からプリンを取り出した。
「気を取り直して……今日はご苦労だったな
修介、栗壺。 ささやかながらこんなものを用意した」
「おお、ありがとう」
お礼を言い受け取る。
「ていうか、女子が男子寮来て良いのか?」
「わたしは許可を貰ったから平気だ」
そう言うと立ち上がる。
「それでは他の人にも配ってくるから。 しっかり休むんだぞ」
茜原は帰っていった。
「いつのまに仲直りしたんだ?」
「クラス対抗戦が始まる前だ」
「へー、そうか」
栗壺はどうでも良さそうに答える。
「茜原ってさ、俺の幼馴染に似てるんだよな。 もう随分会ってないけど」
「へえ、ということは可愛い幼馴染じゃん!」
急に食いついてくる。
まあ、可愛かった記憶がある。
「似てるっつても最後に会ったの七歳くらいだけどな」
「それ、茜原が幼馴染なんじゃねえの?」
栗壺が笑いながら言う。
「茜原の名前は紅葉だろ。 俺の幼馴染は茜」
「似てね?」
「たまたまだ」