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渦巻く炎

「田中は拠点で待機だ。わたしと荷八田、修介と真弥子は敵陣に乗り込むぞ」

茜原が指示を出す。

それに伴い慌ただしく動き回るクラスメイト。

「準備できたぞ、茜原」

「よし、では行くぞ」

他のクラスメイトたちがBクラスの生徒たちを抑えてくれている間に俺たちは敵陣に走る。

「ぐわっ!」

「荷八田!」

荷八田くんが足を引っ掛けられ転倒する。

「俺に構わず先に行け!」

男なら一度は言ってみたいセリフ第三位を叫びながら荷八田くんはもみくちゃにされてしまった。

荷八田くんの犠牲を無駄にしないためにも俺たちは先に進んだ。




十五分程走っただろうか、ついに敵陣に到着する。委員長の茜原がここにくるのは非常に危険だが戦闘能力を考慮すれば仕方のない判断だろう。

「委員長はここにいるはずだ」

「茜原は下がっていてくれ、まずは俺と岡倉で様子をみてくる」

「注意を怠らないで、茜原さん」

「わかった」

「何かあったらカモン、茜原って言うから」

俺と岡倉は敵拠点に回り込むと中に侵入した。




息を潜め、ゆっくりと歩いていく。

ある程度足を進めると、人の気配を感じた。

俺は気合を入れ飛び出した。

「来たか……」

そこには金髪のツインテールの少女がいた。茜原と同じくらいのちっこい身長。

手にはわかりやすいくらい電撃を纏ったレイピア。それを退屈そうに弄んでいる。

「お前が委員長か?」

「ああ、そうだとも。わたしの名は相原柚綺。Bクラス委員長を務めている」

目の前の少女は薄く笑う。

こいつは強い。簡単に予想できた。

「お前を倒せば俺たちの勝ちだ。全力でいかせてもらうぞ」

「ふむ、確かにわたしの相方は既にやられてしまったようだな」

「二対一。あなたに勝機はほとんどない」

「ははっ、言うではないか。だがわたしが相手をするまでもない」

その言葉を相原が言うのと同時に一人の男が飛び出してきた。

かなりの大男で全身をぶよぶよとした脂肪の鎧で守っていた。

ていうか、ただのデブだ。

「はっ、こんなデブ、一撃でダウンさせてやんよ」

俺は剣を形成、デブに攻撃を仕掛けた。

「おらあっ!」

一閃。デブはその場に倒れた。はずだった。

「な……に……?」

「この程度か……?」

低い、地獄の底から響いてくるような声。

「俺の能力を使うまでもない……貴様のような非力な凡夫は徹底的に叩きのめしてやる」

邪悪なオーラと共に迫ってくるデブ。

「ふんっ!」

「ぐああっ!」

強力なパンチになす術なく吹っ飛ぶ。

「げほっ! ごがっほ!」

呼吸が……!

「わたしが相手……!」

岡倉が俺を庇うように前に立つ。

「女を殴る趣味はない。下がれ」

「下がらない……!」

剣を形成する岡倉。その手には淡い水色の剣がある。

「はあ……仕方あるまい」

再び構える男。

「はっ!」

「ふぬんっ!」

剣と拳がぶつかり合う。

いくら剣を使っているとはいえ、小柄で細身の岡倉が勝てるわけがない。

だが意外にもダメージを与えたのは岡倉の剣だった。

「なんだと……」

一瞬だけ、岡倉の剣が男の拳を通り抜けた。

それこそが岡倉の能力、剣の液状化だ。

「終わり……」

溶けた剣が、男の体を包み込む。

そして、元の切れ味を取り戻させる。

「ぬおおっ!」

男は倒れた。

「やった……」

岡倉がほっと安堵の息を吐く。


「やるではないか……」

「え……?」

倒れたはずの男がそこには立っていた。

「能力を使わねば危なかった」

男は脂肪の鎧を脱ぎ捨てていた。

「余分な脂肪を体から切り離し、緩衝材として使う。これが俺の能力」

「うそ……いや……」

その場にへたり込んでしまう。

「悪く思うな。一度闘った相手は全力をもって倒す。それが流儀だ」

拳を振り上げる。

「おっと、ストップだ」

俺はなんとか立ち上がり、間に入った。

痛みはまだ続くがそうも言ってられない。

「ん? 貴様のような軟弱者に興味はない。失せろ」

ギロリと睨まれる。

「軟弱ね……まあ、そうかもな。だけど俺はお前に絶対負けない」

「なに……?」

「理由はな、俺がお前より強いからだ!」

「はははは! なにを言っている! 貴様がこの俺に勝てるわけがないだろう!」

大笑いだな、おい。

「よそ見、してんなよ」

俺は空中に放り上げておいたアイスキューブを落下速度を一気に上げ男に叩きつけた。

アイスキューブのサイズは特大。

バレーボール程の大きさだ。

「ぐうっ⁉」

突然の衝撃にたじろぐ男。

その隙に後ろに回り込み剣で後頭部をぶっ叩く。

「かはっ!」

今度こそ白目を剥き気絶する男。

「後方、ご注意をってね」




「まさか……」

相原が神妙な顔でつぶやく。

「残りはお前だけだ」

「そうだな、だが二人ともボロボロだぞ。そんな状態でわたしと戦っても無駄だと思うが」

俺たちをせせら笑う。

「だろうな、だけどそういう時にはとっておきがくるものだ」

「あっ……!」

岡倉がピンときたのか声を上げる。

「カモン、茜原!」

俺は大声を張り上げる。


「今、行くぞぉ、修介ぇ! 真弥子ぉ!」

そんな叫びが聞こえたかと思うと壁を壊して我らが委員長がやってきた。

「待たせたな!」

炎の大剣を持ち、颯爽と現れるちっこい少女。その名は茜原紅葉。息を切らせながらも無傷のためいい勝負ができるはずた。

「さあ、やっちゃてくだせえ、ボス」

俺はさっとその場を離れ、岡倉と共に陰に移る。

「茜原さん、勝てるかな」

「負けないさ、きっと」


「行くぞ!」

「相手してあげるわ、小さい委員長さん」

「なっ! お、お前だってチビだろう!」

「わたしは小さくなんかないわよ!」

「どの口が言う! わたしとほとんど変わらないではないか」

「な、失礼な人ね……」

「お前の方こそ……」

ぐぎぎと睨み合う茜原と相原。


「どんぐりの背比べ……」

ボソッと岡倉が呟く。

「いってやるなよ……」


「負けた方がチビだ!」

「いいですとも!」

なんかそういう風になったらしい。

ようやく戦いが始まる。




茜原の火球が相原を攻撃するが、全て空中で電撃に打ち落とされる。

炎を壁として、電撃を防ぐものの逆に炎の壁のせいで敵の姿が見えずに相原のレイピアが茜原を襲う。

「なっ!」

「そこだぁ!」

一撃を体を捻って、躱す。

すぐに体制を立て直し、攻撃に備える茜原だが、相原は電撃を剣から伸ばし予想できない技を使う。

剣で防ぐもつばぜり合いとなり力押しだ。

実力は拮抗している。

決め手に欠けているのでどちらが勝つのか。

茜原が剣から炎を出し、距離をとる。

「そろそろ決めさせてもらう!」

「ほう? やれるものならやってみろ!」

茜原の剣が炎を纏い一撃必殺の技を繰り出す構えをとった。


「あんなのが当たるのか……?」

「何か考えがあるはず」

俺と岡倉は成り行きを見守る。


「はあっ!」

振り下ろされる大剣。

だが、重たい一撃は相原には当たらない。

その時、剣の纏っていた炎が揺らめき震えて相原を追尾した。

躱した後のため、隙が生まれた相原を容赦無く包み込み焦がしていく。

「ぎゃあああ!」

相原は倒れた。

「わたしの勝ちだな!」

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