表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

第3話

「そ、その、ドレイクさんが何かようなのかな?」


「は、はい。そうですね。あ、あの、失礼ですが、お父様とお母様は御在宅でしょうか?」


ジークは恐る恐るドレイクの少女にこの村を訪れた理由を聞く。彼女は店の中をキョロキョロと見回すとジークの両親に用事があるようで、ジークに2人の事を尋ねる。


「い、いや。い、いないよ。うちに帰ってきた事なんてないから、どこかで冒険とかしているんじゃないかな?」


ジークの両親は生まれたばかりの彼を祖母に預けて1度も村に帰ってこないため、両親はどこで何をしているかはわからないと首を振った。


「帰ってきた事がないですか? そ、それじゃあ……す、すいません。ジーク=フィリスさんでよろしいんですよね? 名乗るのが遅れてしまい申し訳ありません。わたし、『ノエリクル=ダークリード』と言います。ノエルと呼んでください」


「は、はい、ご丁寧にありがとうございます」


ドレイクの少女は『ノエリクル=ダークリード』と名乗ると深々と頭を下げた。その行動があまりに自然のためか、ジークはつられて彼女に向かって頭を下げる。


「ちょっと、ジーク、あんたは何をしているのよ。あの娘はドレイクなのよ」


「い。いや。わかっているんだけど、なんかあの娘のペースはずれていると言うか、完全に巻き込まれている気がする」


フィーナはこの状況は絶対におかしいためかジークの首をつかみ、耳打ちをする。しかし、彼の頭のなかにあったはずのドレイクへの警戒心はノエルのまとっている、ゆったりとした空気に完全に流されているようでジークは眉間にしわを寄せた。


「それで、そのドレイクのノエルがおじさんとおばさんに何かようなの?」


「ちょっと、フィーナ、押すなよ!?」


フィーナはノエルを警戒しているようで敵意の視線を込めながらも絶対に自分程度では敵わない事も本能が理解している。そのため、ジークの背中に隠れて彼を盾にしながら、ノエルがジークの両親を訪ねてきた理由を聞く。


「えーと、あの、わたしは名乗ったんですが、何と御呼びしたらよろしいんですか? あのできればお名前を教えていただけないでしょうか?」


「フィ、フィーナ=クロークよ」


ノエルはフィーナの事をなんと呼んでいいのかわからないようで行儀よく聞き返し、フィーナは逆らうと自分の命が危険だと思っているようで素直に名乗る。


「フィーナさんですね。よろしくお願いします」 


「えーと、こちらこそよろしくお願いします」


ノエルはフィーナにも深々と頭を下げ、フィーナは先ほどのジークと同じようにノエルの行動に引っ張られて頭を下げた。


「……フィーナ、お前だって俺と同じじゃないか」


「し、仕方ないでしょ。そ、それより、ジーク、この娘、何なの? ペースが崩されるわ。意味がわからないわ」


2人の様子にジークはため息を吐いた。フィーナはその言葉にノエルがドレイクからかけ離れすぎているためだと言い訳をするとジークにどうして良いのかと聞く。


「俺に聞くなよ。それでノエルはこの村にと言うか、俺の両親に何の用?」


「は、はい。わたしがここにきたのは、ジークさんのご両親に無駄な火種を起こして欲しくないからです」


「無駄な火種?」


ノエルの様子にジークとフィーナの警戒心は完全に取り払われてしまったようで、先ほどまで使っていた敬語はすでにどこかに行ってしまったようであり、ジークは友人に話かけるようにノエルにもう1度、この村に訪れた理由を聞くとノエルの口からは予想外の言葉が発せられた。


「はい。えーと、ジークさんのご両親だけではないのですけど、部族間で違いはありますけど、基本的に私達は争いを好みません。それなのにドレイクだから、魔族だからと言われて多くの仲間達が争いに巻き込まれているんです」


「へ?」


「……ジーク、どう言うことかしら?」


ノエルは世界平和や種族間の争いを止めたいと話を続けるが、予想の斜め上を行くノエルの言葉にジークとフィーナは頭が処理しきれないのか間の抜けた表情をしている。


「どうかしましたか?」


「ちょ、ちょっと待ってくれ!! ドレイクは人間に敵対していて俺達人間を餌とかくらいにしか考えてないんじゃないのか?」


2人の反応にノエルは首を傾げるが、ジークは捲くし立てるように自分の常識の中にあるドレイクの事を話をする。


「それは大きな勘違いですよ。わたし達ドレイクは竜族の血をひいていると言われているため、攻撃性に特化しているとか凶暴だとかは言われますけど、わたし達にだって文明はありますし、家畜の飼育くらいはしていますよ。人族のお肉なんて食べません。それはあれです。ふーひょーひがいです」


「風評被害?」


「そうです。それです」


しかし、ノエルはジークの言葉に頬を膨らませて反論しようと声を上げた。


「……そうなの? でも、文献にはドレイクは人族の血肉を好むって、そう言って、油断させるつもりなのね」


「違いますよ。それは先ほども言いましたが、ドレイクは竜族の血をひいているためか、強さに憧れる人も多くて強い相手の血肉を自分のなかに取り入れ。さらに高みを目指すと言う困った風習がありまして」


「そ、それって、おじさんとおばさんを殺しに食べにきたって事じゃない!?」


ノエルの言葉を信じ切れないジークとフィーナは顔を見合わせた。フィーナはジークとは違い、ノエルをまだ警戒しているようで恐る恐る自分の知っているドレイクの好物が人間だと聞く。ノエルは困ったような表情をしてフィーナの疑問に答えた。その言葉にフィーナの警戒心は一気に引き上げられ、ノエルに向かって怒声を浴びせた。


「ち、違います!? わたしはそんな風習信じていませんし、何より、わたしは菜食主義者ベジタリアンですし」


ノエルは慌てて自分は菜食主義者ベジタリアンだと言い、その言葉はジークとフィーナと言った人族から見ると信じられない事であり、2人はどう反応して良いのかわからないようで唖然としている。


菜食主義者ベジタリアンって事は肉や魚は食べられないのか?」


「はい。健康の事を考えるとお肉やお魚もバランス良く食べないといけないのは理解しているのですが、どうしてもダメで……」


ジークは1つ、深呼吸をするとノエルが菜食主義者か改めて確認し、ノエルは本当に苦手なようで目を伏せた。


「……菜食主義者のドレイク? どうしたらいいのかしら、今日で私の中にある常識がすべて崩れて行く気がするわ」


「……奇遇だな。フィーナ。俺も同じ感想だ」


彼女の様子にジークとフィーナの持っていたドレイクと言う種族への価値観は完全に瓦解している。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ