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ALIVE  作者: 清 涼
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第二章(二)

 二人は軽く食事を済ませると、再び歩き出した。

コンクリートに囲まれた近代の建物や道路、車に混じって、木造の建物や寺、神社等が今の時代に溶け込むように建っている。

江戸時代という武士や侍といういわゆる『和』一色で染まっていた時が崩壊し、いわゆる近代社会が成ってからまだ100数十年しか経っていない。

歩きながらそれらを見ていると、昨夜会った彼等は、やはり遠い遠い幻ではないかと思ってしまう。


「なぁ、司」

西本願寺の境内で、参拝を済ませた晃一が太鼓楼を見上げながら言った。

「よくこの寺の坊さん達は新選組を受け入れたよな。確か本願寺と言えば、結構な由緒正しい寺じゃなかったか?」

「まぁな。 元々京都自体が長州びいきだったからな。本願寺は特にそうだったんだろ。 けど、そこは土方さんらしく頭使って上手く脅したんだろうよ。だからこの後の不動堂村の屯所を作らせる事が出来たんだ」

「ふ~ん」

晃一は何となく感心したように頷いた。

「そういや、伊東甲子太郎で新選組は分裂するんだよな?」

御陵衛士ごりょうえじか?」

「うん。 でもって昨夜俺に刀突きつけたあの藤堂平助が一緒に殺されるんだっけ?」

「ああ、油小路の変か」

「そうそう。 でもあれだろ、藤堂平助ってホントに死んだのかなあ?」

晃一はふと思い出したように言った。

「あん?」

「だって、一部じゃ横須賀での生存説もあるんだぜ」

「生存説?」

言いながら司は目の前の木戸を押し開け、木の門をくぐった。

晃一も後に続く。

そして、砂利の中の石畳の上を歩く。

両側の緑の木立ちがさらに風情を感じさせた。空気も澄んでいる。きっとこの木立ちのお陰なのだろう、排気ガスのにおいがまるで消えていた。

「結構、涼しいな」

木陰のせいか、急に肌寒さを感じて、司は折っていた袖を伸ばす。晃一も急に冷たい風を受けた気がして腕をさすった。

「ここって、こんなに森みたいになってたか?」

大きな寺ではそう珍しくはないが、確か西本願寺と言えば街中にある筈だ。

先が分からない程の林はない筈だった。


「あ・・・れ?」


司と晃一は急に立ち止まると辺りを見渡した。

目の前の道は開け、土壁が続く。家々の屋根は木や瓦で出来ており、コンクリートのビルが一つも見えない。それに、道路もアスファルトではなかった。もちろん車は走っていない。それどころか、エンジンの音がいくら耳を澄ませても聞こえない。

「あら? ・・・、 あれ? ・・・」

「ここは?」

二人はきょとんと顔を見合わせた。

日が暮れかけているせいか、誰もいない。それに、辺りはまるで雨か雪でも降りそうなくらいにどんよりとしている。

この雰囲気からして、誰か人が現れたところで、きっとその人物は洋服を着ていないだろう。と、そう思わせるたたずまいばかりだった。

「なあ、司ぁ・・・」

「う~ん、余り考えたくないけど・・・。 また、タイムスリップしたみたいだな・・・。 しかも、いつの時代だか?」

「お~い、マジかよ・・・。 にしちゃ、寒いな。 さっきまで7月で完全に夏だったのに、今は秋っていうより冬に近いぜ。 それに、急に陰って来やがった」

晃一は肩をすぼめると、半袖のTシャツから出た両腕をさすった。

 そして、司はしばらく歩いた所で、さっきから自分達を付けて来る者を確かめようと立ち止まった。

「晃一、付けられてる。 走るぞっ」

小声で言うと同時に司は晃一の腕を掴んで走り出した。

「えっ!? ちょっとっ・・・」

つんのめりそうになって慌てたが、何とか体勢を整えると司について走った。

と同時に、背後から何人かが後を追って来る音が聞こえる。

何となく状況を察して全力で走り、角を曲がった所で不意に司が立ち止まると二人は身を隠すように壁にもたれた。


 バタバタバタっ・・・


足音が近づいた時、司は晃一を残してそのまま先程の通りに一歩出た。


 っ!?


 ガチャっ ガチャっ



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