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MONSTERS~モンスターズ~  作者: RAI
銀の息は全てを止める
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第6話 思惑の英雄

 やっとだ・・・・やっと召喚術が使えるほどに力が戻った。


 一時はどうなる事やらと正直肝を冷やしていたが、あれ以来人間どもが来なくなり、光秀を上手く使えた私の手腕も回復を早める要因となった・・・さすが私だ。


翼を失ったのは筆舌に尽くしがたい屈辱、憎悪、怒り、苦痛・・・・下手したら堕ちてしまいそうなほどの荒れ狂う負の感情に押し流されそうになったが、光秀の情けない面を見たら急にバカらしくなった。







 あぁ・・・・・分かってる、ただ認めたくないだけだ。





 身体も軽くなったし、光秀に頼りっきりというのも癪だ。

だから、少し早いが“アレ”を召喚するとしよう、遅かれ早かれいずれは使う事になるのだからな。




        器よ、我が眠りし器よ


            楔を解きて現われ出でよ


                ウロ・トラトゥ・ウロ・トラトゥ・・・・




 最後に使ったのが62年前、細胞組織が劣化していなければよいのだが・・・



 魔方陣がめまぐるしく形を変え、光を放つ。

ここから遠く北のアーテスタ山脈に眠る私の人間としての器が、瞬時に呼び出され形を成す。



 『うむ、62年前と寸分違わぬ姿、状態も良好だな』


 さすが私の封印術だ、あとは“コレ”に入れば・・・


 「ただいま~~~~っと・・・」


 帰ってきたか、なかなかタイミングのいいヤツよ。




 「おい、レステア?どうした?傷でも痛むのか?」


 ふふ、動かない私を見て動揺しているな、傷などすでに治っておるのにな。



 「おい!!」



 本当に光秀は不思議なヤツだ・・・。

ハイドラゴンである私を怖がるどころか、しなくてよいと言っておるのに、かってに傷の手当てまでやり


 「やるなと言われようがやる、俺の命もかかってるんだ、大人しく塗られてろ。」


 などとほざく、私があやつに命令した事は、「食事を運んで来い」これだけだ。




 そのくせ、記憶を見せろと言えば


 「そんな生き恥さらす位なら死んだ方がマシだ!!」


 などと命令を拒否する。契約しているのにだ・・・・・

契約は絶対なのだ!私の命令を拒否する事など絶対にできないのだ!!魂まで掴んでいるのだぞ・・・




 まぁ、そういうところが、光秀の面白いとこでもある。


 私の知っている理をことごとく壊していく、ここまでくれば爽快なほどだ・・・



 光秀の話も面白い、私さえ知らぬような理、本当か嘘か宇宙の誕生まで語る。


 しかし信じられない、今より発達した文明から来たとは言っておったが、人間ごとき矮小な存在が、宇宙へ飛び立ち、宇宙の神秘を解き明かすほどのポテンシャルを秘めているなどと・・・


 いや、光秀の心を読めるのだから、それが、少なくともあやつが事実だと信じている事だというのは分かる。



 光秀は、いい加減で、愚かで、そのクセ妙なとこで几帳面で、お人よしで、今も動かない私の事を本気で心配している・・・




 あぁ・・・・・分かってる、ただ認めたくないだけだ。








 私が、彼に救われているという事を・・・・













 「ふふ、動揺しすぎだな」


 光秀の背中に声をかけると、彼は慣れない手つきで剣を抜いた。


 あぁ、鈍い鈍い、剣を抜くのに、そんなに手間取ってたんじゃ斬り殺されるぞ?


 振り向きざまに剣で斬りかかってきたが思いっきりがない・・・当たったら危ないかな?なんて甘い事考えるな、そんな腑抜けた剣戟など3本指で十分だ。



 「だ!?・・・・・誰だアンタ!?」


 バカもの、自分のご主人様位一目で見分けろ。



 「ふふふ・・・・まだ気付かないのか?アホゥが・・・」




 「え?・・・・・・・・・レス・・テア・・・・?」


 ふふふ・・・なんてマヌケ面・・・



 「いかにも・・・しかし、ご主人様に剣を振るうとは、躾のなってない犬だな。」



 「どんなファンタジーだよ・・・・」



 なんて言いつつ「犯罪的な美しさだな」なんて思ってるんだからこの男は面白い。



 「本格的にここを私の家にしようと思ってな、それにはクローラーやサンドワーム、モールといった手駒がほしいのだが、この近くだと王都近辺にある『エルザイアの迷宮』と呼ばれるダンジョン位にしかいないのだ・・・・」


 「もしかして、その手駒とやらを手に入れるために」


 光秀が心底嫌そうな顔をする。


 「そうだ『エルザイアの迷宮』に入る。迷宮内で、元の身体では窮屈だしな、空も飛べない今となってはコッチの方が小回りもきくし何かと便利だ。」


 「えぇ~~~~~~~~~~~」


 危険なのは嫌だな~~~なんて思っている。


 「それに、ドラゴン討伐隊の募集をしてたのだろう?では、冒険者として内部に入り込み情報収集をするのもよかろう?」



 ひさしぶりなのだ



 「どうせ、俺に決定権はないんだろ?」



 こんなに充実した気分は



 「もちろん、強制だ」



 とびっきりの笑顔で答えてやる。



















 「ふぅ~~~~~手間とらせやがって・・・」


 全長30mはありそうな怪鳥は、ヴォルトバレットにより、ようやくその鼓動を止めた。


 「流石ロレッツォ殿です!!まさか怪鳥ヴァーヴァログを御一人で倒すとは!!」

 「ロレッツォ様は我れらの英雄です!!」

 「英雄誕生の瞬間を目の前で見れるとは!!」


 オリードの王が気休め程度によこした雑兵どもが俺の勇姿に酔いしれ歓喜を上げる。



 「英雄ロレッツォ!!我等が英雄ロレッツォ!!」

 「英雄ロレッツォ!!我等が英雄ロレッツォ!!」

 「英雄ロレッツォ!!我等が英雄ロレッツォ!!」



 このボンクラどもは、戦闘に関してはクソの役にも立たなかった・・・が、それでいい。


大切な事は俺が一人で倒したという事、そしてそれを見ていた人間がいるって事だ。


これで、怪鳥ヴァーヴァログを倒した英雄は俺、ロレッツォ・パールナッツって事になった。


 ポシェットから、英雄に屠られし魔獣のリストを出す。


 書き変えた英雄伝説はこれで3つ目、そろそろ頃合なのが『ケベレスの邪竜』、せっかく召喚術教えてやったんだ、いくら役立たずのエルベナル騎士団でも、多少は弱らせてくれただろう。

しかし、邪竜による大きな被害はまだ出てない。






        歴史に余計な齟齬(そご)がでてきてるって事か・・・







 まぁいい、大した被害の出てない今、コイツを倒しても旨味がねぇ・・・・コレは先送りにして・・・・


 次はコイツだな・・・






 ページをめくり、次のターゲットを確認する。





  エルザイアの鬼・・・・







 「ロレッツォ殿!ヴァーヴァログの首、馬車に乗せ終わりました!!」


 「お~~~し、さっさと帰って、宴にしようや」


 「はい!!皆、ロレッツォ殿の帰還を心待ちにしているでしょう!!」





 「そうだな~~なんてったって、英雄だからなぁ~俺は」



5話投稿した後から、すごくお気に入り登録してくれる人が増えて、いつの間にか日刊13位・・・・


本当ですか?私は、夢でも見てるんじゃないのだろうか・・・・




とにかく!!読んでくださってる皆様に感謝感謝です!!

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