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MONSTERS~モンスターズ~  作者: RAI
銀の息は全てを止める
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第3話 マナと理

 マナは、世界を満たすエネルギーだ。


多い少ないはあるが、動物、植物、鳥、水、風、矮小な蟲にも、無造作に転がっている石にさえ、ありとあらゆるものにマナが宿っている。


世界がマナでできていると唱える人間もいる位だ、まぁ、無能な人間どもならそう思っても仕方ないだろうと思えるほどに、ありとあらゆるものにマナは宿っている。


 そして私は、マナの保有量、質、扱い、どれもが特質して秀でたハイドラゴンだ。

そのハイドラゴンである私にかかれば、初めて遭遇した相手だろうと、そいつに宿っているマナを、私のマナで触れるだけでいいのだ。


それだけで、どれ位魔法が使えるのか、どのような属性なのか、耐性、弱点、気質、持病、家族構成、感情など、様々な情報を読み取る事ができる。


それは、たとえ神や魔王であろうと決して真似することのできない、悠久に流れる時の中で私が独自に編み出した固有能力であり、触れられたら最後、その者の秘密はなくなる。







 そのハズなのに、おかしい・・・・




 なぜだ?





    この人間からは、まったくマナを感じられない。





 ありえない・・・




 私に挑んだ、とある魔術師がそうであったように、マナが切れれば、その生命体は例外なく死ぬ。


 それは魂が、意志を持ったマナの塊だからだ。


つまり、この人間らしきモノは魂を持っていない事になる・・・・



 いや、人間なのか?


 だからと言って、ゴーレムやホムンクルスでもないだろう、マナが宿っていない魔法生物など、根本から破綻している。



 では、今、私の目の前で、氷像を観察したり、ブツブツ呟きながら同じ場所をグルグル周ったり、奇妙な行動を繰り返している“コレ”は何なのだろうか・・・


 語りかけ、直接問いただせばいいのかも知れないが、先程からこの人間らしき形状のモノがブツブツと呟いている言葉は、竜語、古代語、神語、獣語、人語、他にもありとあらゆる言語を知っている私ですら聞いた事のない言語だ、言葉の疎通は難しいだろう。



ならば、意志を魂に直接伝えるしかない。が、魂がない・・・理論上それも不可能だ。

仮に可能だとしても、こんな得体の知れないモノと魂を繋ぐのは避けたい、魂を奪われる恐れもある・・・・何が起こってもおかしくない。




 が・・・




 がだ・・・




 それでも知りたい。




 こんなにも奇妙で、まったく想像もできない、知的好奇心を刺激されるモノは初めてだ。



 あぁ・・・何なんだ?オマエは何なのだ?人間か?ホロウやレイス、アンデッドの類か?

あぁ・・・ダメだ・・マナを宿してないというだけで、すべての可能性が否定される。




 この感情は、多分、歓喜だ。


 気が遠くなるほど長い空虚な時間、得る知識を失いつつある絶望、つねに微睡(まどろみ)の中で過ごしてるような感覚。


 しかしだ、目の前の存在は、私の知っている(ことわり)全てを覆しかねない存在なのだ。


 停滞、飽和状態となっていた新しい知識が、世界を超えて私に会いに来てくれただなんて、らしくもなく浮かれてしまう。


 無くして久しい知識への好奇心、欲求がコポリコポリと湧き上がってくる。




 もう、いても立ってもいられないなんてな・・・はは!





 『おい、そこの者よ・・・お前は何なのだ?』



 



 魂を繋いだ事により、目の前の“ソレ”から、感情や思考が流れ込んでくる。


どうやら魂はあるらしいが、マナとは別の形態で存在しているみたいだ。


しかし、あまりに弱く儚い存在だ・・・



 「女性の声?」「うぉああああ!!ドラゴン!?」「怖い」「食われるのか?」「なんでドラゴンが?」「語りかけてきたのはコイツか?」「氷漬けのヤツらはコイツが?」「ここはガチでファンタジーな世界か?」「なんで?」「会社に行くはずだったのに」「どうしよう」「落ち着け」「クールだ」「平常心だ」「死ぬ時は死ぬ」「腹を括れ」「観察しろ」「10m位ありそうだな」「白銀の身体」「金色の瞳」「巨大な翼」「長い尻尾」


                「・・・・」



          「あれ・・・・俺、おかしくなったかな?」


      「こんな時に、食われるかも知れないのに、なんで俺は・・・」







            「・・・美しいなんて思ってんだろ」




 自身のマナをまったく有してないためか、“ソレ”の感情や思考は阻害される事なく、クリアに伝わってきた。


 驚愕、恐怖、混乱、乱れに乱れた感情はほんの数秒で収まり、冷静に今起きた事象と向き合う感情のコントロールには目を見張るものがある。



 そしてその結果、“ソレ”は私に見惚れてしまったらしい・・・



 美しい私も罪つくりだが・・・・まさか、こんなにも矮小な存在が私の美しさを理解するとはな・・・


やはり、普通の人間よりは高度な存在なのかも知れん、大した審美眼だ。




 うむ、やはり面白い・・・



 面白いぞ・・・ははは・・



 『お前は私のものだ・・・』






 「へぁ?」



 ずいぶんとマヌケな声を上げる・・・が無理もないだろう。




 『私の下僕になるか、さもなくば魂まで凍てつく氷像になるか、お前に選ばせてやろう。』



 はは・・みっともないほど浮かれてるな私は。






 中はどうであれ、矮小で下級で低俗な人間と同じ外見を持つ者と契約しようと言うのだから・・・

これからは、1日1話を目標にできたらいいな~なんて・・・


誤字脱字、不適切な表現、感想、意見など、くれたら嬉しいです^^

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