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MONSTERS~モンスターズ~  作者: RAI
銀の息は全てを止める
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第1話 氷の女王

 迫り来る人間達の足音に、私はガラにもなく歯噛みし口角を歪み上げる。



 元はと言えばあの、交尾の事しか頭にない低能な雄火竜のせいだ。繁殖期になると必ず、私の家まで来て交尾を強要する。


冗談ではない!!あのような言葉も解せぬ、ただ図体がデカイだけの竜と、なぜ、この高貴で美しい私が交わらなければいけないのだ!!考えただけでおぞましい!!



 だから私は繁殖期前になると、別荘の方へ一時的に移動する。

いくつもの魔法術式を組んでいる家の中であやつを撃退する事は容易い・・・


が、自慢の家を破壊されたり、あやつの汚らわしい血で穢れたりする事だけは避けたい。


だから今回も別荘へと移動した。そうしたら、どうやって知ったか、別荘の方に先回りされていた。

悔しいが、単純な力勝負となると分が悪くなる。魔法術式もまともに組めない空中で、何とかあやつを撒く事ができたのが不幸中の幸いか・・・・・。



 しかし、翼の骨を折られ、満身創痍で辛々たどり着いた名も知らぬ山は、どうやら人間どもの縄張りだったらしく、次から次に冒険者と呼ばれる低脳で野蛮な、まるであの雄火竜の様な輩が私の所へやってくる。


もちろん、氷漬けにしてやるのだが、ただでさえ同属にやられた傷は治りが遅いというのに、人間の相手などしてられない。

かと言って移動できるワケでもなく、もたもたしている間に、どうやら人間達は群れを成して攻めてきたらしい。





 「お前ら心してかかれよ!!相手はアーテスタ山脈に住んでいた、かの有名なドラゴン『氷の女王』だ!!ヤツのブレスを浴びれば骨の芯まで氷漬けにされる、先行隊は慎重に、しかし確実に巣穴の奥までドラゴンを追い詰めろ!!魔術師団は防御結界を展開しつつドラゴンの術式を解除、第二術師団は先行隊撤退と同時に巣穴の奥で『古の獣』を召喚だ、あわよくばドラゴンと同士討ち、どちらか生き残ったとしても瀕死は間違いない、追い討ちをかけ討伐だ!!先行隊はできるだけ粘れ!!第二術師団は迅速に召喚術式を組上げろ!!そこが勝負のカギとなる!!以上だ、それでは配置に付け!!」



 人間どもの怒声が聞こえてくる、奴等はどうやら『古の獣』を使うらしい。

原始的で暴れるだけしか能のない滅びた種族など本来なら敵ではないが、今は少々厄介だ、呼び出される前にかたをつけるとしよう。


 人間どもが入って来る前にこちらから奇襲をかける。

暗くて一寸先さえ見えない洞窟内からブレスを吐くと、先頭にいた鎧で身を固めた奴らの半数を氷漬けにする事ができたが、残りは魔術師が張ったのだろう結界により逃げ延びたようだ。


中々に反応が早い、奇襲にも混乱せずに素早く隊列を組み直すと、後ろでは召喚術式を組み始めている。それどころか、私の防御結界の解除まで始めている。


臨機応変に行動できる戦いなれた精鋭部隊といったところか、早く潰してしまわないとこれはかなり手強い敵だが・・・・いいだろう、格の違いを思い知らせてやろう!!



 「隊長!!ヤツの結界が強固になりました!!解除どころか、こちらの結界の方が削られてます!!1匹で結界を張りながらこちらの結界を解き、なおさらブレスまで吐いて攻撃してくる、見たままなんで言いたくありませんが、ヤツは化物です!!」


 「魔術師団はできるだけ派手な攻撃魔法でヤツの気を散らせろ!!第二師団は召喚術急げ!!先行隊は・・・・クソッ!!全滅か!!結界はどの位持つ?」


 「持って30秒ほどです」


 「1分持たせろ!!召喚の方は?」


 「3分ほどいただけ」


 「バカを言うな!!55秒でやれ!!」



 人間どもの張った結界の中から一人の男が飛び出してきた。コイツは指揮官だ、己が身の丈ほどあろう大剣を担いでいながらも、素早く私の足元へ潜り込むと、その剣を振るう。

が、硬い鱗と結界に守られた私の身体には傷一つつけられない、尻尾で払うと剣でガードしながらも吹き飛ばされる。

と、視界を爆発が覆う、ダメージはないが音と光が邪魔で気が削がれる。



 「ゴミムシの分際でやってくれる!!いいだろう、貴殿らの無駄な努力に免じて少しばかり本気を出してやろう!!」


 「しゃ・・・喋った・・・」


 「いかん!!結界に集中しろ!!」




       全てが静止する白き世界を呼ぼう


             静かに凍てつく世界を呼ぼう


                   キルリキルリ・キルリキルリ・・・




 とたんに世界は白く、そして静寂が支配する。


一瞬で魂まで凍てつかせたのだ、己がいつ死んだのかすら分かるまい、私の後ろに飛ばされた指揮官以外は。



 「カッカッカッカ・・・コレが私と、お前らゴミムシとの力の差だ、去れ、お前は絶望を伝えよ。」


 予想以上に魔力を消耗してしまった。しかし、これでも私に挑もうと思うほど愚かではないだろう。



 「・・・それはできねぇな。」



 「分からぬな、もはやお前に手は残されていまい?」


 「部下を皆殺しにされて、俺だけおめおめと逃げ帰るワケにはいかねぇんだよ・・・・それに」


 魔方陣が光り出す、凍てつき歪んだ魔方陣が作動するとは・・・


 「はは!!まだ手は残されているんでゲッ!!」


 鳴き声が癇に障ったので尻尾で叩き潰す。ゴミムシの汚らわしい体液が付着してしまった。



 複雑に組み込まれた術式が光を纏い、空間に穴を開ける。


あれは次元や時空を超えて作動する高度な術式だ、人間ごときが扱える代物ではないハズなのだが、現に目の前で『何か』が呼び出され形を成してゆく。


しかしソレは古の獣ではない、小さく、まるで人間の様な・・・いや、人間だ。


黒い髪、黒い瞳、そして黒い衣を纏っている。

人間の亜種だろうか?見た事のない色素ではあるが、たしかにソレは人間だ。



 「ッ・・・何だ?何が起きた?」



 聞いた事のない言語


 どこかの世界のいつかの時間


 偶然呼び出された人間は






 白い世界で不自然なほど黒く浮いた存在だった・・・

 小説を書く事に不慣れな初心者ですので、誤字脱字、おかしい文法、ご意見ご感想ございましたら、遠慮なく書き込んで下さいまし。


 そうしていただけると、助かる&やる気が出ます^^


 初心者なりに頑張りますので、よろしければお付き合い下さいまし。


 よろしくお願いします。

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